サブリミナル・インパクト の商品レビュー
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サブリミナル・インパクト 1⃣快 ・新規性と親和性のどちらにも人間は快を感じる ・近年、人はリアルなものよりも、実物のものに、人が求める部分をより過度に付け加えたものをリアルとして求めるようになっている。→ニューラル・ハイパー・リアリズム 2⃣刺激の過剰 あらゆる分野で刺激の過剰が進んでいる。 これには上限があるものと思われているが、火事場の馬鹿力のように一概にそのような考え方は危険 どれだけ刺激が増えても刺激への馴化は進む 3⃣刺激の過剰の使われ方 情動報酬、記憶、後付けの認知過程も選択に影響する。 現代の市場でみられるのは巧妙な選択肢の制御 4⃣政治の世界での使われ方 潜在的なイメージの形成に作成に使われている(イスラム=テロ=危険)のような たとえ嘘がバレようとも、そもそも1度この考えが形成されてしまえば、なかなか変更させづらい この潜在には気づけないので、顕在に顕在で抵抗する 5⃣独創的 独創性はどこからくるのか 意識-前意識-無意識 のせめぎあいから、意識していなかった前意識を意識化することで、独創性を得る 夢から着想をえるのはこれから? 顕在知から潜在知に移すことが、独創性へのヒント?
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ほとんどが駄文 実験結果に基づいた知見は第一章ほか僅かに留まり、あとは著者の感覚に基づく物語のような記述 第一章は面白く、脳が元々の機能を他の目的に転用したり、快を脳内で完結するに至る流れは刺激があった。
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下條信輔(1955年~)氏は、東大文学部卒、東大大学院文学研究科修士、MIT大学院博士課程修了(実験心理学)の認知心理学者。専門は、実験心理学的な手法による人間の認知過程についての研究。カリフォルニア工科大学教授。『<意識>とは何だろうか』でサントリー学芸賞(1999年)受賞。 ...
下條信輔(1955年~)氏は、東大文学部卒、東大大学院文学研究科修士、MIT大学院博士課程修了(実験心理学)の認知心理学者。専門は、実験心理学的な手法による人間の認知過程についての研究。カリフォルニア工科大学教授。『<意識>とは何だろうか』でサントリー学芸賞(1999年)受賞。 本書がテーマとする「サブリミナル(subliminal/潜在意識の)効果」とは、意識と潜在意識の境界領域より下に刺激を与えることで表れるとされている効果のことを言い、19世紀半ばから研究が始まったが、21世紀に入った現在においても、その効果の有無や程度に関して、研究者の間で必ずしも共通した見解に至っていない途上の研究分野である。 著者は冒頭で本書の狙いについて、「情動と潜在認知をキーワードに、身近の日常と現代社会を見直す。これがこの本のプランです。本人も与り知らない無意識の認知メカニズムの存在が、ヒトの本性を規定するとともに、現代社会に特有の諸現象にも深くかげを落としている。この本全体を通して、このことを明らかにしていくつもりです。」と語っている。 そして、前半では、情動と潜在意識が我々の行動にいかに影響を与えているか、また、情動と潜在意識が我々の「快」という感覚にどのように結びついているかを、これまでの様々な実験・研究の結果を示して説明し、後半で、現代社会においては、それらがマーケティング戦略や政治にも利用され、極めて巧妙な形で大衆の選択を誘導し制御していると、警鐘を鳴らしている。 私はこの分野に関する特段の専門知識は持たないが、人間には意識下の領域に潜在意識といわれるものが存在し、その(先天的に保有する)潜在意識が、本人が意識しないうちに各人の判断・行動に影響を与えていることは、人類が、基本的には意識を持たないとされる動物から進化してきたことを考えれば明らかである。しかし、本書で取り上げられているような、(先天的に保有していたのではなく、後天的に)本人に知覚できないような刺激を意識下に加えることによって、潜在意識に影響を与える(変化させる)ことができる、という点については、専門外の立場からは消化不良感が残った。 ただ、この「サブリミナル効果」は、政治における大衆誘導・世論操作にも利用されているといい、実際に、この4年間の異常ともいえるトランプ現象などを振り返ってみると、そのような誘導・操作が影響を与えていたのかも知れず、同じような過ちを繰り返さないためにも、一層の解明が求められる分野であることは間違いないだろう。 本書をきっかけに、この分野の今後の研究進展に高い関心を持っていきたいと思う。 (2020年11月了)
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・CMでは有名人が目新しいシチュエーションにいる.それが一番効果があるから. ・マクドナルドの椅子は固い.だから回転率が上がる. ではその店の戦略を知っている(Awareness)場合対抗出来るか. →答えはNO.結局知らずしらずのうちにお尻が痛くなって帰ることになる. 対...
・CMでは有名人が目新しいシチュエーションにいる.それが一番効果があるから. ・マクドナルドの椅子は固い.だから回転率が上がる. ではその店の戦略を知っている(Awareness)場合対抗出来るか. →答えはNO.結局知らずしらずのうちにお尻が痛くなって帰ることになる. 対抗するには同じく潜在レベルで.座布団を持ち込むという策によってそれが可能に. つまり,知っているだけではだめで,潜在レベルではどうかということ.
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「自覚」には、顕在的に認知していることと、潜在的に認知していることがあり、「自覚」しているといった感覚のない潜在領域に訴えるCMによって、人の行動に影響を与えている、という意見には納得できた。ただし、本書は、結局、この潜在意識について述べているだけで、1冊の本として、得られた知識...
「自覚」には、顕在的に認知していることと、潜在的に認知していることがあり、「自覚」しているといった感覚のない潜在領域に訴えるCMによって、人の行動に影響を与えている、という意見には納得できた。ただし、本書は、結局、この潜在意識について述べているだけで、1冊の本として、得られた知識は小さかった。また、心理学の素人である私には、読み進めずらい、理解しにくい表現が多く、また、時々口語体(講演調)になる文章には違和感がある。更に、日米領政府のとる政策に悪意をもった表現も独善的に映るので、(国際)政治の分野の専門家でないならば公正な発言が必要であろう。(極端なことを言えば、日米政府が世界を良い方向に導くために潜在意識を利用していることは賞賛できるとも言えるということ。)
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「まなざしの誕生」での早期教育論や、「意識とは何だろうか」の薬物論からも察しのつくことだが、狭義の認知神経科学の枠を越えて社会問題に真正面から取り組もうとしている。その分だけ未完成で取り止めがなくて、隙のある印象は残ったが、著者の挑戦が実を結ぶとしたら大変に楽しみだ。
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途中まではところどころ「ふむふむ、なるほど」と思うものの、理系寄りな内容が多かったため正直しんどかった。でも最終章で一気にパアッと開けた感じ。天才や天才的発想というのはいち個人のアタマの中にのみ存在するものではない、という考察がとても興味深かった。運命論じゃなくて関係性の問題って...
途中まではところどころ「ふむふむ、なるほど」と思うものの、理系寄りな内容が多かったため正直しんどかった。でも最終章で一気にパアッと開けた感じ。天才や天才的発想というのはいち個人のアタマの中にのみ存在するものではない、という考察がとても興味深かった。運命論じゃなくて関係性の問題ってことかな。 サブリミナルというと「メディア・セックス」(懐かしきトンデモ本)を思い出すが、こっちは至ってまじめな本です。
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サブリミナル・マインドが潜在認知についての研究の基礎本とすると、こちらはそれが現代社会でどのような影響を持っているかの応用編。 応用編だから仕方ない部分もありつつちょっと話が拡散気味だったり筆者の想像の域をでなさそうな話もあった。けど考えるベースとしては面白い。 親近性と新規性...
サブリミナル・マインドが潜在認知についての研究の基礎本とすると、こちらはそれが現代社会でどのような影響を持っているかの応用編。 応用編だから仕方ない部分もありつつちょっと話が拡散気味だったり筆者の想像の域をでなさそうな話もあった。けど考えるベースとしては面白い。 親近性と新規性を快とするバランスに興味があるけど自身と環境の状況によるんだろうなと。 • 前著はより基礎的な人間の動きについて、これはその応用 • 言語は元々情動を伝えるもので、事実伝達がメインになるにつれて情動的な機能として音楽や踊りが発達したのでは • 「より進化した動物ほど外部からの刺激よりも内部刺激を重視しているのではないか」仮説 • 親近性と新規性は確かにどっちも快の要因になる。初めはそれは外部刺激と接続していたけどだんだん「機能の乗っ取り」がおきて内部刺激化したんじゃないかと。 • 情報量の過剰からストレスはむしろ増えている。それに合う刺激を与えるように情報のCM化(細かいコマ割り)が進んでFBされる • 暗黙知っていうと自転車の乗り方とか体に関するものをイメージするけど物事の捉え方という意味では数学の問題の解き方とかも同じようにある • 天才の定義は環境に寄ってしまう。天才の遺伝子を使えば天才が生まれるかというとそういう訳ではなさそう。
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過去の著書と同じく刺激的で面白い。 ただ3章「消費者は自由か」と4章「情動の政治」はややありきたりで退屈。読み飛ばしてもいいかも。 5章「創造性と暗黙知の海」は楽しめた。
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2008年刊行。著者はカルフォルニア工科大学生物学部教授。◆人間(脳内)に生じる快を検討し、その「快」刺激をうまく利用する他者(財・サービスの提供者、政治権力側)による影響と、人間の碁軸たる創造性について検討する。一般なら脳内活動だけ、あるいは社会だけというのが多い中、その脳内活動と社会との連関の叙述する書としては明快な内容な方。
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