蝶 の商品レビュー
大人になれないものうつろうものそして空はあり時はある 時流に追いつくことができない たとえ居場所がなかったとしても美しいもの 死の隣で生きる 幻想における嘔吐
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最初の2篇だけ読んで断念。 なんかこう…スラスラと頭に入ってこない文章。カロリーが高いというか。 んでもって幻想…?となる。 漂ってくる雰囲気の良さは伝わる…が、刺さりはしなかった。 描写で見せたいのか幻想みで見せたいのか…よう分からんかった。 もうちょいいろんなもの読んだ後に...
最初の2篇だけ読んで断念。 なんかこう…スラスラと頭に入ってこない文章。カロリーが高いというか。 んでもって幻想…?となる。 漂ってくる雰囲気の良さは伝わる…が、刺さりはしなかった。 描写で見せたいのか幻想みで見せたいのか…よう分からんかった。 もうちょいいろんなもの読んだ後に読みたくなったら戻ってこよう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
詩句が引用され、そこから紡がれた物語はどれも暗い影が射し複雑な感情を引き出す。 戦前から戦後と移ろう中で、人々の感情には容易に切り替えられない虚しさや悲哀が見て取れ、やり切れない。 研ぎ澄まされた文章の裏を探りたくなる艶かしさがある。多くを語らない部分に奥深さを感じる。読後は悲しみに包まれ、今もふと考えてしまう。
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先の大戦前後の日本を舞台にした短編集。 谷崎潤一郎のような悪魔主義的な背徳の美を綴る。 筋書きや文章でなく、雰囲気を堪能する作品に思える。 ひたすらに美しく、通州事件の生還者である令嬢が凄惨な最期を遂げる一篇「遺し文」にて、彼女の描写として選ばれる凄艶という語が、全作品の評価とし...
先の大戦前後の日本を舞台にした短編集。 谷崎潤一郎のような悪魔主義的な背徳の美を綴る。 筋書きや文章でなく、雰囲気を堪能する作品に思える。 ひたすらに美しく、通州事件の生還者である令嬢が凄惨な最期を遂げる一篇「遺し文」にて、彼女の描写として選ばれる凄艶という語が、全作品の評価として最も相応しいのではないかと。 現と幻、生と死、美徳と悪徳とが等価に溶け合い、その境界が曖昧であるために全作品が、一つの短編の題名である「幻燈」の如くに非現実的な色合いを帯びている。 たまゆらの白昼夢に魂を奪われるかのような怖さを宿す一冊。
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8篇から成る短篇集。それぞれに俳句、詩の引用が載せられている。 皆川博子さん初読。大満足。まず「空の色さえ」から、灰まみれになった他人の想い出でも覗いているかのような感覚を覚え、物語に引き込まれた。片目のない叔父、小間使いと戯れる奥様……。「妙に清らの」と「幻燈」には特に惹かれ...
8篇から成る短篇集。それぞれに俳句、詩の引用が載せられている。 皆川博子さん初読。大満足。まず「空の色さえ」から、灰まみれになった他人の想い出でも覗いているかのような感覚を覚え、物語に引き込まれた。片目のない叔父、小間使いと戯れる奥様……。「妙に清らの」と「幻燈」には特に惹かれた。幻想的な世界に夢中になって読んだが、自分に詩句の知識がないことが悔やまれる。どういう意図があってこの詩や俳句が引用されているのか、というのを知りたい。 皆川さんのほかの作品も読みたいと思った。 空の色さえ/蝶/艀/想ひ出すなよ/妙に清らの/龍騎兵は近づけり/幻燈/遺し文
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ずっと読みたいと思っていた皆川作品をようやく初読みしました。 自分の読書力と日本語力の未熟さを痛感させられたというのが、最初の、そして正直な感想です。 いやぁ〜まいった。 深い、実に深い。 皆川文学を読むにあたって、手始めにと手にした理由は本書が短編集である事。 さらっと読み進められると思っていた自分が情けないやら、恥ずかしいやら(苦笑) それぞれの物語に密接にかかわり、深みを増すのが添えられた俳句や詩。 叙事詩的な文体であるが、これぞ日本の純文学なのであろう。 現段階では最後に記された「遺し文」のみが、少し理解出来た気もするが、本作を読み取れる読書力を身につけ、再読した時にはきっと違った景色を想い描き、空気を感じ、涙することが出来るのだろう。 その日を楽しみにこれからも読書を続けていきたい。 説明 内容紹介 インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に住みつく。ある日、そこに映画のロケ隊がやってきて……戦後の長い虚無を生きる男を描く表題作ほか、現代最高の幻視者が、詩句から触発された全八篇。夢幻へ、狂気へと誘われる戦慄の短篇集。 目次 空の色さえ/蝶/艀(はしけ)/想ひ出すなよ/妙に清らの/龍騎兵(ドラゴネール)は近づけり/幻燈/遺し文/解説・齋藤愼爾 『蝶』は、現代文学の砂漠の沖に光輝まれなる孤帆として、美の水脈を一筋曳いてきた皆川博子文学の一頂点といえる短篇集である。──解説より 内容(「BOOK」データベースより) インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に住みつく。ある日、そこに映画のロケ隊がやってきて…戦後の長い虚無を生きる男を描く表題作ほか、現代最高の幻視者が、詩句から触発された全八篇。夢幻へ、狂気へと誘われる戦慄の短篇集。
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遠い水平線の彼方の幻想の世界に誘い込まれるような【皆川博子】による八編の短編小説集。表題作『蝶』に登場するインパ-ル作戦から帰還した敗残兵は、戦後日本で魂の抜け殻が彷徨うように虚無に生きる男を追った、いたたまれなく切ない作品である。
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戦前戦中戦後の混沌とした空気と、残酷な昏さと静かな狂気に絡めとられる短編集でした。 大好きな空気です。 作中で使用される詩や句も素敵です。 「想ひ出すなよ」の少女たちの残酷さ、「妙に清らの」の凄絶に美しい綾子叔母と叔父のラスト、「龍騎兵は近づけり」の勝男のバグパイプ、「遺し文」も...
戦前戦中戦後の混沌とした空気と、残酷な昏さと静かな狂気に絡めとられる短編集でした。 大好きな空気です。 作中で使用される詩や句も素敵です。 「想ひ出すなよ」の少女たちの残酷さ、「妙に清らの」の凄絶に美しい綾子叔母と叔父のラスト、「龍騎兵は近づけり」の勝男のバグパイプ、「遺し文」もその後が切なくて切なくて…皆川ワールドを堪能しました。 皆川さんは幻想小説も美しくてとても良いです。 もう逃れられません。
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回りくどくてちょっと抽象的だけど色気のある話 皆川さんの本て、みんなこんな感じなのかな 二度借り? でも読んだ記憶がない
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初めて読む皆川博子で、本書は8編からなる短編集。 大半の作品は戦中・戦後が時代背景になっている。 価値観が180度変わってしまった、いや180度変えなければならなかった時代に、上手く溶け込むことが出来なかった、あるいは迎合することが出来なかった人々の話が多い。 著者の...
初めて読む皆川博子で、本書は8編からなる短編集。 大半の作品は戦中・戦後が時代背景になっている。 価値観が180度変わってしまった、いや180度変えなければならなかった時代に、上手く溶け込むことが出来なかった、あるいは迎合することが出来なかった人々の話が多い。 著者の作品に対して、幻視、夢幻といった単語が散見できるが、確かにそう呼ぶ以外にない作品がある反面、現実そのものを描き上げたと思しき作品もある。 ここに登場する、少年や少女、男や女たちは、きっとあの時代に実際に現実として存在していたのだろう、と思わせてくれるのだ。 どの作品も壮絶であり、凄みがあり、妖しくも哀しい。 どの作品も強く胸を締め付けられる。
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