蝶 の商品レビュー
なんて幻想世界… ずっと入り浸っていたい(それは、出来ないけれど) 薄暗くて、ねっとり湿っていて、甘くてキツい香りー 毒々しくも、魅力的な物語ばかり。 例えば、こんなの。 蝶の胴だけ食べる伯母 二階に住む住人 足の傷口に食いつく何か 眼窩に挿す花々 … うん、いい。 何か覗...
なんて幻想世界… ずっと入り浸っていたい(それは、出来ないけれど) 薄暗くて、ねっとり湿っていて、甘くてキツい香りー 毒々しくも、魅力的な物語ばかり。 例えば、こんなの。 蝶の胴だけ食べる伯母 二階に住む住人 足の傷口に食いつく何か 眼窩に挿す花々 … うん、いい。 何か覗いちゃいけないものを好奇心で見てしまう、背筋がゾクっとする感じ。クラクラする。 8篇あるうちの「妙に清らの」、「龍騎兵は近づけり」が特にお気に入り。
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幻想的であり陰鬱であり濃厚である。 一つ一つの作品が 個々に世界観があり、 でも一冊の本として しっかりまとまりもある。 しっかりした描写なのに 輪郭がぼやける。いい意味で。 この作家さんの作品を 今まで読んだ中で一番好き。
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美しい。ほんとうに、美しい小説集だ。 作者や作品についてなんの予備知識もなく読み始めて、ひといきでその匂いに引き込まれた。さまざまの美しい詩句が、解説にある通り一篇の中に「象嵌」されている。詩句の呼び起こす情景、それを借景として、あるいは幽霊のごと溶け込むように同化して、はるか...
美しい。ほんとうに、美しい小説集だ。 作者や作品についてなんの予備知識もなく読み始めて、ひといきでその匂いに引き込まれた。さまざまの美しい詩句が、解説にある通り一篇の中に「象嵌」されている。詩句の呼び起こす情景、それを借景として、あるいは幽霊のごと溶け込むように同化して、はるか過去にあったはずの場面をここに現存させる。 それぞれの物語には歴史の翳さす暗い色調のものが多く、黴臭い死の匂いがまつわりついて、決して清潔ではないのに、この美しさはいったい、なんなのか。 どの話もひとしい密度をもって訴えてきた。八篇、どれも好きであまり差がないというのもすごい。あえてあげるならやはり「龍騎兵」かしら。 よい出会いを得ました。
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陰美さがほの暗く薫り立つような短編集。読む側の精神状態によってものすごく好き嫌いが分かれそう。嫌いではないけど今の私には読解力が足りず、この世界観に浸りきることが出来なかった。「蝶」「空の色さえ」「幻燈」「遺し文」が好き。「龍騎兵は近づけり」はよくわからなかった…。
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とても美しい短編集。 そして、どれも、戦争の頃の話です。 8月15日にこの本を読んだので、尚更、感慨深いです。
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日常の中の美しくも妖しい世界を女性的な視点で切り取った短編が8編。この時代の良家のお嬢様独特の刺々しい感性が光るものばかり。眼帯をしている叔父との暮らしを綴った「妙に清らの」が印象的。この編に限らず、一瞬ドキッとするようなショッキングな描写があったりして油断できない。気軽に楽しむ...
日常の中の美しくも妖しい世界を女性的な視点で切り取った短編が8編。この時代の良家のお嬢様独特の刺々しい感性が光るものばかり。眼帯をしている叔父との暮らしを綴った「妙に清らの」が印象的。この編に限らず、一瞬ドキッとするようなショッキングな描写があったりして油断できない。気軽に楽しむものというよりは、恐ろしい世界にはっとするものばかり。
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表題作のほか、7つの作品が収められた短編集です。舞台はいずれも第二次大戦前後の日本。退廃的で、死の匂いのするこのような作品を美しいと思うのは、生きることは罪深く、哀しいことだと、誰もが知っているからかもしれませんネ。詩のように紡がれた言葉が描く、密やかで耽美な幻想世界に、どっぷり...
表題作のほか、7つの作品が収められた短編集です。舞台はいずれも第二次大戦前後の日本。退廃的で、死の匂いのするこのような作品を美しいと思うのは、生きることは罪深く、哀しいことだと、誰もが知っているからかもしれませんネ。詩のように紡がれた言葉が描く、密やかで耽美な幻想世界に、どっぷり浸ることのできる1冊でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
昭和初期が舞台の幻想的な短編集 とにかく文章が綺麗で、グロい展開でも切ない展開でもとにかく綺麗なイメージは崩れない 全体的に仄明るいような仄暗いようなイメージ 私は表題作ももちろんですが、『妙に清らの』『龍騎兵は近づけり』『幻燈』が特に好きです 「わたしはもう、何も怖くはない。」 「いつまでもお若くておいであそばしますねえ。」 という終わりかたも凄く好き 幻想的で切なくてとにかく綺麗で… いい読書ができました
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戦前〜戦後にかけての個人の喪失感を描いた作品群。ただひたすら文も話も美しいです。割とどの話も後味の悪い終わり方をするのですが、読後感はさらっとしてます。久しぶりに当たりを引いた気分で、他の作品も読んでみようかと思ってます。
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乱歩の「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」がしっくりくる短編集。 作品はすべて戦前から戦後を舞台に、戦前の生活は夜の夢のように追想される。 各作品に引用された詩歌が印象に残って、1編は20分くらいで読めるみじかさでも読んだ後に想像が広がった。 時代背景は共通しているが、連続...
乱歩の「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」がしっくりくる短編集。 作品はすべて戦前から戦後を舞台に、戦前の生活は夜の夢のように追想される。 各作品に引用された詩歌が印象に残って、1編は20分くらいで読めるみじかさでも読んだ後に想像が広がった。 時代背景は共通しているが、連続性はないのでどこからでも読むことができるが、「艀」と「想い出すなよ」や、ラストの「遺し文」の並びも美しいと思う。 特に気に入った「幻燈」は映像作品でも見てみたい。
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