蝶 の商品レビュー
「死の泉」が初・皆川博子体験。 たしかにぞくぞくしたけど、ちょっと物足りない気がしてた。幻想やホラーを読み慣れてなかったのもあったと思う。 その後、この作品とか短編を読むにつけ、幻視能力の半端なさに唸り、著者の年齢に気づいて唸り。創元の年間日本SF傑作選に収録された、指が泳ぐ短編...
「死の泉」が初・皆川博子体験。 たしかにぞくぞくしたけど、ちょっと物足りない気がしてた。幻想やホラーを読み慣れてなかったのもあったと思う。 その後、この作品とか短編を読むにつけ、幻視能力の半端なさに唸り、著者の年齢に気づいて唸り。創元の年間日本SF傑作選に収録された、指が泳ぐ短編が忘れられません。
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あさましくも美しい人間の心の闇、そして狂気を、鉱物に喩えられるような硬質な文章で描いた短編集。 なかでも個人的に大好きなのが『妙に清らの』。ため息が出るほど美しい。 ゾクゾクするぜ!
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一つ一つが濃密な短編集。皆川さんの物語には透明な狂気を感じる。個人的には『竜騎兵は近づけり』が忘れられない
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短編が八篇収載されているが、どれも一本の映画になりそうなくらいにドラマティックだ。日本、近代の闇から生まれた人間像を、美しく哀しく垣間見せてくれる文章は、直裁でありながら鮮やか。各々の物語に散りばめられた、詩や短歌も美しい。
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すべてにおいて幻想かと思うような話だったけど、そのなかでも「妙に清らの」がいちばんよかった。 まさに「痙攣的な美を感じ、金縛りになる」珠玉です。 ■概略 インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海にほど近い「司祭館」に住みつく。 あ...
すべてにおいて幻想かと思うような話だったけど、そのなかでも「妙に清らの」がいちばんよかった。 まさに「痙攣的な美を感じ、金縛りになる」珠玉です。 ■概略 インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海にほど近い「司祭館」に住みつく。 ある日、そこに映画のロケ隊がやってきて……戦後の長い虚無を生きる男を描く表題作のほか、現代最高の幻視者が、俳句から触発された全八篇。夢幻へ、狂気へと誘われる戦慄の短篇集。
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内容は 詩片に沿って書かれた短篇集で いつもの皆川さんのごとく綺麗グロ怖い切ない けれども、今回のこの短篇集はホント絵になる。 そしてそのえが美しすぎて、好みすぎて震えちまう。 例えば、「妙に清らの」という話では 義眼の夫が看護婦と浮気していて 看護婦が眼窩に舌を突っ込み、義眼を...
内容は 詩片に沿って書かれた短篇集で いつもの皆川さんのごとく綺麗グロ怖い切ない けれども、今回のこの短篇集はホント絵になる。 そしてそのえが美しすぎて、好みすぎて震えちまう。 例えば、「妙に清らの」という話では 義眼の夫が看護婦と浮気していて 看護婦が眼窩に舌を突っ込み、義眼を舌で救い取る場面がある。 嫁は、静かに涙流して歌を歌ったりしてるのだが ある日、死んだ夫の顔を膝に乗せ、眼窩に紫陽花の花の小さな花弁を 1つずつ生けていくというような描写が あたしでは説明口調だが、誠に美しい表現で描かれている。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
文章から立ち上る貫禄と美しさに圧倒され続けて、最後のお話にやっとこの作品群を言い表せるような言葉を見つけた。「凄艶」。 「想ひ出すなよ」「幻燈」が特に好き。どちらのラストも衝撃的で、頭をくらくらさせながら何度もその終りを繰り返し読んだ。
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山尾悠子と雰囲気が似ている。 静謐で美しい文章。 どの小説も終わり方が印象的だが、 「蝶」のラストと「妙に清らの」はもう あっ としか言えなかった。 紫陽花のひんやりした感触を思い出して。
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ほの暗さとどこか幻想的なお話たち…でも現実的な描写もしっかりしてあって妙に生々しい部分もあります。 自分に詩が理解できたらよかったなあ…。 「想ひ出すなよ」「妙に清らの」「幻燈」が好きですが話の最後はすべて印象的でした。
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周囲にある醜い物をひしひしと感じさせながら、奇麗な部分だけをくっきり浮き上がらせる。 心情描写は確かにあるのにどこか無機的で、それが心地良い。
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