猫泥棒と木曜日のキッチン の商品レビュー
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お母さんが家出した。私と弟を置いて。お父さんはずっと前にいなくなった。みづき17才。 でも、みづきは淡々と現実を受け止めている。 なんだ、この設定は? 私は、子供が子供でいられず、早く大人にならなくてはいけないような親の話が嫌いだ。 でも、そんな過酷な環境に置かれた子供たちがたくさんいるのが現実だ。 その現実に私はなすすべもない。 助けた猫が死んだとき、初めて、みづきは今まで自覚していなかった自分の心のいたみに気が付く。みづきが試みた猫たちを救うための作戦、それは、同時にみづき自身を救う作戦であり、心のいたみを乗り越える儀式でもあった。 そして、ラストのみづきの覚悟が私を励ましてくれる。 「わたしは生きていくだろう。いつか運命のタイヤがわたしを押し潰すそのときまで、できるかぎり呑気に生きていこうとするだろう。それでいい。」 なんと、強く、逞しいことか! 現実に悲観ばかりしてはいられないと思った。
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不倫する母親が家出をし、高校生のヒロインと弟の二人で暫く暮らすことになり、ヒロインの友達である男子高校生と車で轢かれた猫を弔って、寄り添いながら物語は進行する。 高校生の甘酸っぱい恋愛小説と云ったところ。人間の作り出したもので、自然動物が亡くなっていくのも灌漑深い。
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みずきは小学生の弟と二人暮らし、最初の父は死に、次の父は家出、母は最近家出して不在。そんな日常のお話し。大変な日常だけど楽しんで暮らしている感じが良かった。そうやって何とかなっていくんだと希望が持てるようなお話だった。
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中盤までの淡々とした空気は好きでしたが、終盤があまりに淡々としすぎていてちょっと置いてけぼりな気分。 サッカーができなくなったことをそのまま呑み込むということは、まあできるのかもしれないな、とは思えた。 でも、いくら達観しているとはいえ、突然帰って来た母親を、あんなに自然に受け止めることができるものだろうか。自分にはとてもその心境を想像することができなかった。
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親に捨てられた兄弟の話しだけれどもその事については悲壮感無し。行先も告げずにいなくなるなんて言語道断だけれどもこの話の主体はそこでは無い。どちらかというと猫泥棒をする方が主眼。何故猫泥棒をする必要が有ったかが重要で、そのシーンはどきどきした。 子猫を拾うシーンは痛ましくて胸が痛ん...
親に捨てられた兄弟の話しだけれどもその事については悲壮感無し。行先も告げずにいなくなるなんて言語道断だけれどもこの話の主体はそこでは無い。どちらかというと猫泥棒をする方が主眼。何故猫泥棒をする必要が有ったかが重要で、そのシーンはどきどきした。 子猫を拾うシーンは痛ましくて胸が痛んだ。避妊治療ほんと必要だから。
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ある日、お母さんがいなくなった こんな一文からはじまるにもかかわらず、淡々と生活していく主人公のみずき。 でも心のなかではいろんな感情がうごめいていたりする。 猫に自分を重ねているのか、猫に希望を託しているのか。 切ないけれど、どこか共感できる作品。
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ずっと読みたかった本 想像してたよりもちょっと重い話でしたが読んだ後はなんだかあったかくなりました 料理描写はさすが橋本紡
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突然母がいなくなって弟と二人で生活することになったけれど、全く動じない主人公とそこへよくご飯を食べに来る友人の話。 私も猫を飼っているので無責任な飼い主は憤りを感じます。出来る事なら、こうなりましたよって見せてあげたくなりますね。 最後猫を連れてきて飼う事になってから、あのおばさ...
突然母がいなくなって弟と二人で生活することになったけれど、全く動じない主人公とそこへよくご飯を食べに来る友人の話。 私も猫を飼っているので無責任な飼い主は憤りを感じます。出来る事なら、こうなりましたよって見せてあげたくなりますね。 最後猫を連れてきて飼う事になってから、あのおばさんはその後の描写がなく、わかってて探せないってことなのかちょっとその後の猫屋敷がどうなったのか気になります。健一くんはこのまま家に住み着く流れでしょうか。
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これといって大きな出来事が起きるような話じゃない(猫泥棒のみ) 主人公は母親が家出しても淡々と暮らしている。 でも、瀕死の子猫と出会ったことで、主人公の中の何かが変わっていく。 この人の文章は好きだなぁ。 でも、そんなに自分には響かなかったです。。。
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【本の内容】 お母さんが家出した、わたしたちを置いて。 お父さんはずっと前にいなくなった。 けれどもわたしは大丈夫。 弟のコウちゃんと二人で生きていく。 友だちの健一君だって応援してくれる。 そんなある日、わたしは道ばたで「絶望」に出会ってしまった―。 失くした希望を...
【本の内容】 お母さんが家出した、わたしたちを置いて。 お父さんはずっと前にいなくなった。 けれどもわたしは大丈夫。 弟のコウちゃんと二人で生きていく。 友だちの健一君だって応援してくれる。 そんなある日、わたしは道ばたで「絶望」に出会ってしまった―。 失くした希望を取り戻すために、拒まれた願いを実現させるために、高校生・みずきの戦いと冒険が始まる。 生きることへの励ましに満ちた物語。 [ 目次 ] [ POP ] 母親が家出して、5歳の弟と二人で暮らす女子高生みずきが主人公ですが、彼女の場合、母親がいた時も家事は自分がしていて、お金も母親が残していった貯金があり、裕福ではないけれど生活できる状況で、暗い感じはしません。 ただ、みずき自身、気づいていないだけで、猫の死骸を庭に埋めるという行為で心の空隙を埋めていたんではないでしょうか。 私たちは生きていく中で色々な物を失って、それでもそんなことはおかまいなしに人生は進んでいき、またそれでも生きていればその中で自分にとってかけがえのない何かを得ることもあります。 著者の作品は8月の課題書『流れ星が消えないうちに』と本作しか読んでいませんが、どちらもそういったことを感じさせてくれる作品のような気がします。 読んだ後に、ものすごく感動したとか、涙が止まらなかったとか、そういった作品ではないのかも知れませんが、静かに心に染み入ってくるお話でした。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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