凍りのくじら の商品レビュー
初、辻村作品。良かったです。
共感できないヒロインに不安になりながらも読了。少しファンタジーな心の温かくなるお話です。辻村作品は登場人物が他の作品とも少しずつリンクしているのでそれを見つける楽しみもあります。
yuki
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解説で自分の人生と重ならない、けどハマるみたいな書き方をされてましたが 私は自分の感覚と主人公の気持ちや考えが当てはまっていてすごく面白かったです。 片親で育った気持ち、思春期の年齢で突然父がいなくなった気持ち、母親のことは好きなのになぜかこの環境に許せない気持ちと交互して母親とぶつかる気持ち。。。 別所が父親の幽霊だったと郁也くんを助けた時にようやく気づきましたが、 なんとなく郁也くんのピアノを聴きながら郁也くんの家で数ヶ月で過ごして聞いていた別所のことをあきらと平仮名で書いている文面に読みづらさを感じていたのと 郁也と里帆子が出会うシーンでタエばあちゃんが別所に何も触れなかったシーンが気になっていたのとで ラストに幽霊だったんだとわかり、なるほど筆者の意図がここに繋がっていたのかとクリアになりました。 最初から最後まで若尾は一体何をしでかすのか?とハラハラドキドキしていたけど、郁也を狙った時にそこを狙うのか!という若尾らしい人とは違いすぎる変人さも奇妙で面白かったです。 でもそんな若尾に振り回されて結局好きになったことのあるりほこちゃんもどうしようもない気持ちで生きていたんだなと辛くなる気持ちもありました。 私も思春期の時に片親になった経験があり自分と重なる親のジレンマや世間に対する諦めなどいろんなりほこちゃんの感情もわかる本ですごくすごく良い本でした。 またドラえもんのことを重ねることで夢や暖かさも感じる本で最後は涙なしでは読み進められない愛溢れる本でした。
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少し・不思議だけどすごく面白い。つっかかったフレーズや気になっていたことが、すべて最後に納得できた。そして、驚いたけど本当に面白かった。読み直しても面白いなと思った。
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辻村さんは読みやすい!!! 感情移入できないタイプの主人公なのにとても感情揺さぶられました。 主人公がすれてる女の子すぎて最高でした
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とにかく心が激しく揺さぶられた。 まさに辻村深月流のSF。 各章のタイトルはドラえもんの道具の名前だ。そして、主人公の理帆子は、藤子・F・不二雄にならい、ひとの個性をSFになぞらえて名づけている。少し・不幸、少し・腐敗、少し・不在……。 この二つが物語を支えている。理帆子のさめ...
とにかく心が激しく揺さぶられた。 まさに辻村深月流のSF。 各章のタイトルはドラえもんの道具の名前だ。そして、主人公の理帆子は、藤子・F・不二雄にならい、ひとの個性をSFになぞらえて名づけている。少し・不幸、少し・腐敗、少し・不在……。 この二つが物語を支えている。理帆子のさめた目線、どこにいても不在な自分。一番ぐっときたのは「私が持っていたのは『オールマイティーパス』に過ぎない」と気づくシーン。こんな表現があるなんて! そして、理帆子はさめているのに、その傍らで、父親との思い出と離れられない。SFの遊びも、ドラえもんも道具も、父親との思い出が下敷きになっている。これは、苦しい。想像するだけで苦しい。 鬱屈した想い、大切な人たちとの別れ、あたたかな出会い、そして辻村作品といえば、の仕掛け。 あのラストシーンには、何度読んでも泣かされる。
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読み終わった後の衝撃が鳴りやまない感じを久しぶりに味わった。 人に固執することは良くない。警告を感じ取ったらすぐに身を引く。 でも、人との関わりをないがしろにしてはいけない。 時間が経って、また読み返したい本
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ドラえもんの道具が登場するので、小説を読んでいるはずなのに、所々でドラえもんの絵が頭を過る。 今まで読んだ作品は、主人公に感情移入しやすかったと記憶しているが、この作品は少し違った。 色んな意味で初めての感覚を味わった作品。
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分厚い本!読み終わるかな〜と 思っていましたが、なんのなんの 引き込まれてあっという間に読んじゃいました! 若尾のそれからが気になる〜
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理帆子が写真家になった理由、別所との恋仲ではないがお互い通じ合う関係性、郁也との出会いと親睦を深める様子、若尾への接し方、写真家の父と余命短い母、など出てくるエピソードや場面がたくさんあるものの、話のメインがどこにあるのかわからずモヤモヤしながら読み進めていましたが、 終盤から全...
理帆子が写真家になった理由、別所との恋仲ではないがお互い通じ合う関係性、郁也との出会いと親睦を深める様子、若尾への接し方、写真家の父と余命短い母、など出てくるエピソードや場面がたくさんあるものの、話のメインがどこにあるのかわからずモヤモヤしながら読み進めていましたが、 終盤から全てのエピソードが関係性を持ち始めて面白かった。
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ざらっとした不快感と理帆子が壊れてしまいそうな痛々しさ。読むのが重いのに止めることができず引き込まれた。 後半は気がつけば泣いていました。 涙が自然と流れていた。
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