まず石を投げよ の商品レビュー
私にとって、「無痛」に続く久坂部作品2作目。 「無痛」は医師のエゴがどうしても受け入れられず、この作品も読むかどうか迷ったけど、今回は主人公を医療系のフリーライターに設定しているせいか、「無痛」よりも視点の偏りを感じなかった。 たまたまテーマも「DIC(播種性血管内凝固症候群)」...
私にとって、「無痛」に続く久坂部作品2作目。 「無痛」は医師のエゴがどうしても受け入れられず、この作品も読むかどうか迷ったけど、今回は主人公を医療系のフリーライターに設定しているせいか、「無痛」よりも視点の偏りを感じなかった。 たまたまテーマも「DIC(播種性血管内凝固症候群)」で、知識もあったことから、非常に読み易く、個人的には医療ミステリーとしては合格点だけど、何の知識もないで読むと、ちょっと難しいかも・・・
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医療過誤をテーマにした小説あいかわらず良い題材だし、屈折した心理状態の描写もよい。が、これまた相変わらず、キャラが濃すぎる登場人物が多すぎて、すんなり入り込めない。(あらすじ)医療問題ジャーナリストの綾乃は、自らのミスを告白、賠償を行なった医師三木の存在を知り、調査を始める。これ...
医療過誤をテーマにした小説あいかわらず良い題材だし、屈折した心理状態の描写もよい。が、これまた相変わらず、キャラが濃すぎる登場人物が多すぎて、すんなり入り込めない。(あらすじ)医療問題ジャーナリストの綾乃は、自らのミスを告白、賠償を行なった医師三木の存在を知り、調査を始める。これに平行して、ミルグラムの実験の医療版(以前見たレントゲンに癌の見落としがあり、訴訟になりそう、と告げられたときの医師の反応(隠蔽体質)を暴露する)を企画、実行するが、その中で自殺者を出してしまう。聖書には「あなた方のうち、罪のない者からまず、石を投げよ」の一節があるが、それは体のよい言論の封殺に過ぎないのか、まず、自らがオープンになり、自殺者が出たことなどを告白しないと医療批判の資格もないのではないか、などの苦悩が吐露される。三木は苦痛をとる究極の方法は死である、医療過誤は患者に対する医療者の嫌悪が無意識のうちに現れたものだ、などの考えを綾乃に語り始める。
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デビュー作の「廃用身」以降、「破裂」「無痛」と、医療をモチーフに過激な描写をレベルアップさせてきた著者が、ベクトルを変えてキタ。過激さを抑えて、真っ向から展開の面白さで引っ張っていく物語を完成させた。 個人的には、久坂部作品の中でベスト。 傑作を書いてくださいました。
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