元職員 の商品レビュー
海外に行った時の人間の反応は2種類だ。自分を見つめ直すか?自分を見失うか?異国・異文化という環境で善と悪で揺らぎながらも自分をダマシながらお互いがお互いを見下す人間の性が見事に表現されており、これが人間の本質なのかな?と思うと、軽い憂鬱に襲われる。それにしても吉田修一ってなんでこ...
海外に行った時の人間の反応は2種類だ。自分を見つめ直すか?自分を見失うか?異国・異文化という環境で善と悪で揺らぎながらも自分をダマシながらお互いがお互いを見下す人間の性が見事に表現されており、これが人間の本質なのかな?と思うと、軽い憂鬱に襲われる。それにしても吉田修一ってなんでこんなにイタイ人間の描写が上手いんだろうなあ。この人はどこまで人間をクズに描けるんだろう。道尾秀介の読みすぎなのかストーリーにイガイ性を感じなかったのが難点か。
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手元で管理する通帳の中の、514円のオーバー金。 ささいなその金額に引き寄せられた、大きな罪。 バンコクのうだるような暑さと、ミントという言葉の通じない女性とのやりとりの中では忘れられた現実も、ふとした隙に目の前に現れるようになり・・・というストーリー。 描き下ろしの作品...
手元で管理する通帳の中の、514円のオーバー金。 ささいなその金額に引き寄せられた、大きな罪。 バンコクのうだるような暑さと、ミントという言葉の通じない女性とのやりとりの中では忘れられた現実も、ふとした隙に目の前に現れるようになり・・・というストーリー。 描き下ろしの作品とのことですが、バンコクの暮らしぶりが結構な割合で描かれていたので、観光を一緒に楽しめたような感覚をもてたのでその点はよかったですね。 異国で一時自分の罪を忘れている主人公の紳士ぶりも堂に入っていたし、地元の若い娼婦とのやりとりも、スマートで格好良かったのにな。 後半の、低俗な日本人への変貌にびっくりですよ。 あー、やっぱり異国で違う人間になれたような気がしても、あくまでそれは気のせいなんですよね。 バンコクマジックも、日本に帰国したら解けてしまうんだろうなぁ。 ラスト、主人公の行く末ははっきりとは描かれていませんでしたが、きっとこの人が新聞の一面を飾る日も近いんでしょうね。 日常にひそんでいる小さな落とし穴にはまった小さい男が、意味もなく「自分は大丈夫」と信じ込む愚かさに顔を歪ませられたお話でした。 特に後に残るものはなし。 描き下ろしで短い作品を書かれるなら、もう少し時間をかけてでも『悪人』のような作品を書いていただきたいかな~。
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こわいお話です。今までの吉田修一の作品はクネクネした道、というイメージでしたが、このお話は直線でした。 読み応えあります。
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最近のマイブームの作家さん。 ただ、今回の作品は私敵にはイマイチ。 DIVEほどの躍動感もビニールシートほどの感動もなかった。
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もともとは善人なんだろうなと思う。どの登場人物も魅力的 途中で筋が見えるw わかっていても、主人公が帰っていく飛行機の中、闇黒の雲の中へ 入っていく気がしてならない。 どうあがいても引き返せない狂気を書かせたらやっぱり いいなぁと思った。
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きっとキッカケはパンチじゃなくてもよかったんだろう。 ビクビクしている自分を変えれたら。 ただ、 最高の「犯罪文学」ではなかったかな。 短時間で読めた。 うん。
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8/9 書き下ろしの本らしいおもしろさは出ていたと思う。あとタイの生々しい感じ、人々のいい加減な突き放した感じ(知らないけどさ)とか。吉田修一って期待しすぎてしまうからなー。それを割り引いてしまう。どうしても。長編が読みたいっす。
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かなりブラックな内容だが、何か考えさせられるような。 誰しも弱い部分を持ってて、それを覆い隠そうとしているわけで。
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やっぱり「悪人」が凄すぎたんだろうなぁ、 でもこういう小悪人をかかしてもやっぱり吉田さんはうまいなって思う。 いつか《元》職員になるのをびくびくしながらもずるずると深みに嵌まっていく主人公とバンコクの怪しげな夜の風景がよく似合ってたと思った。
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うーん、理解できなくはないけど、全ての登場人物が魅力的じゃない・・・ミントはまあいいけど、なんだか薄っぺらだし。ここんとこ、吉田修一、ハズレが多いなあ。もっと重めな話が好きなんだけど。
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