小さい“つ"が消えた日 の商品レビュー
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【読了メモ】(150217 1:50) ステファノ・フォン・ロー Stefano von Loe/絵 トルステン・クロケンブリンク/日本語監修 小林多恵&岩田明子 『小さい「つ」が消えた日』/三修社/2008 Nov 20th/小さな「つ」のいない日本は大混乱。一方、心ないことを言われて家出した「っ」は色んなものに出会って元気を取り戻します。/ドイツの人が書いた日本の五十音の物語!
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テレビ番組で紹介された本です。 子どもむけっぽく感じるかもしれませんが内容は大人むけです。 国会のくだりが凄く面白いしことばひとつひとつのあたたかさがとてもこころに響きます。 日本語は私たち日本人にとって当たり前すぎて考えることはなかったのでそこからこんな大事なメッセージが...
テレビ番組で紹介された本です。 子どもむけっぽく感じるかもしれませんが内容は大人むけです。 国会のくだりが凄く面白いしことばひとつひとつのあたたかさがとてもこころに響きます。 日本語は私たち日本人にとって当たり前すぎて考えることはなかったのでそこからこんな大事なメッセージが受け取れるなんてと嬉しい驚きです。
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様々な文字たちが住んでいる五十音村で、「音を持たないやつなんて文字じゃない」と、小さい“つ”は ほかの文字たちからバカにされ、自分は必要されていないと感じて家出してしまう。するとメディアや人々の会話から、小さい“つ”が消えてしまい、言葉の意味が通じなくなり 世界が混乱し始める。「訴えますか」が「歌えますか」になり、「根っこを食べる」が「猫を食べる」になり…。いなくなって初めて気づかされた。要らないと思われていた存在も本当はとても大切なものだった。文字たちは反省して皆で謝罪のメッセージを発信した。「心から謝ります みんな君が居なくてこまています 君の帰りをずとまています 早くかえてきてください」。 この本が持つメッセージ性はシンプルで大きい。「広い世界に触れること」と「責任感を持つこと」。 一つ目 「広い世界に触れること」。この村のように狭い世界にいることで発生する「差別」、繰り返される「いじめ」に対しては広い世界に触れることが重要であることが描かれている。 小さい“つ”は村を飛び出して広い世界に触れるのだが、このようにして自分と 自分の周囲の人々がいかに狭い世界で生きて いかに狭い視野であったかを知るのである。 次に 「責任感を持つこと」。自分が相手を傷つけたとも思わず、他人の非を責めるという行為は現実に驚くほど多い場面であるが、この物語にも出てくる。小さい“つ”が消え、それによって混乱が生じて文字たちは小さい“つ”に対して「無責任だ」と言い始める。すると最年長の一番賢い“こ”さんに、「心無い言葉を浴びせたお前達の方がよほど無責任だ」と言われ、今度は「お前の所為だ」「いや、お前が原因だ」と責任の擦り付け合いを始める。そして再び“こ”さんが「小さい“つ”を探すことが先決だ」と窘められるのである。“こ”さんがいなければ何の問題も解決しなかったことだろう。「擦り付け合い」を止めて正しい判断する“こ”さんのような人が、実際、今最も必要な存在のように 思えてならない。 ドイツ人の著者によって書かれたものだが、日本語について分かりやすく描かれており、子どもも大人も楽しめてメッセージ性がある物語としても完成度が高い。愛らしく和む挿絵も魅力的で お勧めの一冊。
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「1番えらくないのは小さい“つ”だ!」 いつも誰かにくっついて一言も発さない小さい“つ”が50音村から出てしまったから大変!その日から人間たちがしゃべる言葉にとてつもない変化が!? 50音を主人公としているけれど、「必要のない人なんていないんだ」という道徳的な見方もできる絵本です...
「1番えらくないのは小さい“つ”だ!」 いつも誰かにくっついて一言も発さない小さい“つ”が50音村から出てしまったから大変!その日から人間たちがしゃべる言葉にとてつもない変化が!? 50音を主人公としているけれど、「必要のない人なんていないんだ」という道徳的な見方もできる絵本です。
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うーん、少し期待しすぎた感が…。発想や世界観がおもしろいとは確かに思った。でも物足りなさがある。漠然としていてそれが何かは語りきれないが、読み終わった後に心がすごくモヤモヤした。
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主人公はひらがなのちいさい“っ”。実は50音のなかで唯一発音されないのがこの“っ”という文字なんです! “っ”はほかの文字たちから「おまえは必要ない!」と言われ、文字たちのすむ50音村から出て行ってしまいます。小さい“っ”がなくなると私たちの言葉はどんな困ったことが起きるのか、必...
主人公はひらがなのちいさい“っ”。実は50音のなかで唯一発音されないのがこの“っ”という文字なんです! “っ”はほかの文字たちから「おまえは必要ない!」と言われ、文字たちのすむ50音村から出て行ってしまいます。小さい“っ”がなくなると私たちの言葉はどんな困ったことが起きるのか、必要ないといわれて旅に出た“っ”が旅先で気づいた自分の存在する意味とは・・。今までにない視点で書かれた物語で、新鮮な発見があるはず。50音それぞれの性格などものっていてクスッと笑えるかわいい小説です。
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あめん坊さんのレポを読んで一目ぼれしてしまい さっそく図書館へ!! 手にしてすぐ、ぱらぱらと中を拝見・・意外と字が 多い・・(笑) 目次の「小さい“つ”家出をする」という項目を 見ただけでもう胸キュンです。 かわいくて優しい物語ですが奥が深く 小さい“つ”が消えるというアイデ...
あめん坊さんのレポを読んで一目ぼれしてしまい さっそく図書館へ!! 手にしてすぐ、ぱらぱらと中を拝見・・意外と字が 多い・・(笑) 目次の「小さい“つ”家出をする」という項目を 見ただけでもう胸キュンです。 かわいくて優しい物語ですが奥が深く 小さい“つ”が消えるというアイディアに脱帽です。 勘違いしがちですが 1番=エライ人ではないんですよねぇ〜 日ごろ、自分がエライ、他より優れているなんて 思ってはいないですが謙虚な気持ちを忘れず!!です。
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読んで良かった。泣いてしまった。すごく単純なお話なのだけど、 それでも、泣いてしまった。五十音たちの性格描写がとても面白かった。 欧州の挑戦状、確かに受け取った。言葉遊びは、すごくロマンチック なんですよね。しりとりのNP完全性とかって。大爆笑ですもん。 考えましょ。そ...
読んで良かった。泣いてしまった。すごく単純なお話なのだけど、 それでも、泣いてしまった。五十音たちの性格描写がとても面白かった。 欧州の挑戦状、確かに受け取った。言葉遊びは、すごくロマンチック なんですよね。しりとりのNP完全性とかって。大爆笑ですもん。 考えましょ。そうしましょ。沈黙。首部を下げがちだけど、そんな 感じ。ことばよ、わたしとともにいきよ。
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著者はドイツ人のステファノ・フォン・ローさん。 「言葉遊びの好きな家族」の影響を受けたという著者が20歳から日本語を習い始め、一番理解しにくかったのが、小さい“つ”だったそうだ。そこからこんな素敵な話が生まれるとは...。五十音それぞれをあらわす性格もなるほどと頷いてしまうほど。...
著者はドイツ人のステファノ・フォン・ローさん。 「言葉遊びの好きな家族」の影響を受けたという著者が20歳から日本語を習い始め、一番理解しにくかったのが、小さい“つ”だったそうだ。そこからこんな素敵な話が生まれるとは...。五十音それぞれをあらわす性格もなるほどと頷いてしまうほど。例えば、お金持ちは“し”、お金がないのは“は”、“は・ひ・ふ・へ・ほ”は笑うの大好きな5人組だとか。(わかります!? このユーモアセンス) 五十音村の住人紹介は実に面白い。 五十音らが住む五十音村である日、小さい“つ”は、「音を持たないやつなんて、文字でもなんでもない」と、まわりの皆から馬鹿にされ、存在を否定され、傷つき,落ち込み,ついには自己否定をし村を飛び出してしまう。人間界の新聞、テレビ、互いの会話は大混乱...。 さて、村を飛び出した小さい“つ”は、村や人間界の混乱をよそに、向かう先々で、色々なものを見、触れ、感じながら、何かができる・できない、何かがある・ないが、そのものの価値を決定づけることではないことに気づいていく。 一方、大混乱の村では自分たちが小さい“つ”にした過ちを省みず、小さい“つ”を「無責任だ」と責め始める。それに異を唱えたのが最年長で賢い“こ”。小さい“つ”に心ない言葉を言ったお前達の方が無責任ではないかと諭すが,こんどは責任の擦り付け合いを始める始末。再び“こ”が止め、小さい“つ”を探しだすことこそ先決だと戒め、村の住人達は探しに出かけて行く...。 私たちの周りにありませんか? こんな情景が。 誰かの存在否定してしまった経験ありませんか? そして自分の存在を否定された経験りませんか? 私たちの暮らす閉鎖的空間で繰り返される序列的価値基準と存在否定。それがどんなに辛く苦しいものであるかわかっているはずなのに繰り返される現実。何一つ失われて良い存在なんてありはしないのだ...。 自己否定の中に苦しでいるのなら、ぜひ、広い世界の中で自分の価値に気づいて欲しいし、“こ”のように諭し、戒める存在が増えていったらどんなにか頼もしく心強いことだろうかと思わされたりもしました。 「個」の大切さはもちろん、普段あまり意識していない「大切なこと」にあらためて気づかせてくれる一冊でした。
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五十音のひらがなをキャラ化したお話。 言霊といおうか精霊といおうか付喪神といおうか。 作者名が外国人だから、外国の本なのか?なのに文字の話?「っ」に相当するものがあるのか?などと疑問を持って手に取った。 そしたら思いっきり日本語のひらがなの話だった。 (著者は20代から日本語を学び始めたドイツ人で、母語で書いてから自分で日訳、日本人に監修してもらったそうな) 音の無い「っ」は要らない子だとおおきいひらがなたちにバカにされて、落ち込んだ「っ」は家出をする。 この排除の仕方がさりげなく怖い。結論の出ない争いが起こったときのスケープゴートとして、一番弱い「っ」が使われる。 「っ」は話せないから反論もできない。 面白いのは、価値を見つけるのが追い出した側だけじゃないこと。 「っ」が居なくなって大混乱→君の大切さがわかりました。めでたしめでたし。だけじゃない。 「っ」もひとりでブラブラして、五十音村という文字だけの世界で培った狭い見識を改める。 だからこそ、他のひらがなたちの謝罪を受けいれられる。 文字のイメージはあーたしかにとニヤニヤしちゃうのもあれば、そうくるのかというのもある。 私だったら多分スケープゴートは「へ」や「を」にしてしまう。 そもそも「っ」が重要じゃないって発想がでてこないもの。 「ろ」はつっこみたい。にやり。 大人になってから言語を覚えると、母語では疑問にも思わないようなことを新たな気持ちで発見できる、と著者はという。 その楽しさが伝わってきて、日本語ネイティブとしても楽しい。 でも「っ」は無音や沈黙じゃないと思うんだ・・・ 「ひらがな」と「音」と「言葉」の混同も気になる。 絵は可愛いんだか可愛くないんだかわからなくて可愛い。もちもちしてる。ほっぺつつきたいのばしたい。 中国混じりの想像ジャパニーズっぽいのはご愛嬌。気を抜くとヨーロッパ風の町並み。 へこんで「つ」に肩車してもらう「っ」が可愛い。 この本はドイツ語版もでたらしい。こんな思いっきり日本語でしか通じないような内容なのに不思議。
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