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自壊する帝国 の商品レビュー

4.2

55件のお客様レビュー

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2020/06/14

著者の在ソ連日本国大使館勤務時代の体験談が中心。 著者の視点からみたペレストロイカはもちろんのこと、臨場感溢れる登場人物との会話や、ロシアの文化、特に食文化の記述が大変興味深い。 人間関係の機微や、示唆に富んだ記述など、得られるものが多い一冊。

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2019/04/23

日本においてゴルバチョフはソ連を変えた人、エリツィンは飲ん兵衛の無能というレッテルが貼られることが多かったように思うが、実はそうではなく全く逆であり、ゴルバチョフは時代を読むことができなかったし、エリツィンは時代の波に乗せられつつも乗ったのである。この書はソビエト連邦の終焉、そし...

日本においてゴルバチョフはソ連を変えた人、エリツィンは飲ん兵衛の無能というレッテルが貼られることが多かったように思うが、実はそうではなく全く逆であり、ゴルバチョフは時代を読むことができなかったし、エリツィンは時代の波に乗せられつつも乗ったのである。この書はソビエト連邦の終焉、そしてロシア連邦の成立とそれにまつわる人々を描いたドキュメンタリーという体裁を取っているが、実際のところは佐藤氏の青春の回顧録なのだ。私が佐藤氏を知ったのはいわゆる鈴木宗男事件に拠るのであるが、田中眞紀子よりも、口は悪いが正論を述べているように感じた鈴木宗男の方にシンパシーを感じていた私としては鈴木、佐藤両氏への「国策捜査」は北方領土問題の解決を遥かな夢物語としてしまったのは紛れもない事実であろうと思うし、田中眞紀子氏を支持する世論(これには小泉純一郎首相(当時)の無条件の人気も含め)が罷り通ってしまったことが残念でならない。ここで失われた20年と佐藤優というロシアへの太い深いチャンネルを失った日本はこれからどうロシアと向き合っていけるというのか。 ここ最近になってロシア側が北方領土のカードを切ってきているが、佐藤氏はどういう思いでそれを見ているのであろうか。

Posted byブクログ

2019/03/16

ソ連やバルト三国の知識・指導者層に入り込んだ著者が、外務省No. 1のソ連通となった過程を描き、ソ連崩壊を追体験させてくれる。 ウオッカは兎も角、酒のつまみとしてのロシア料理が、美味そうでしかたがない。 日常の仕事もこなしながら、キリスト教の研究をし、人的交流のために行動し、...

ソ連やバルト三国の知識・指導者層に入り込んだ著者が、外務省No. 1のソ連通となった過程を描き、ソ連崩壊を追体験させてくれる。 ウオッカは兎も角、酒のつまみとしてのロシア料理が、美味そうでしかたがない。 日常の仕事もこなしながら、キリスト教の研究をし、人的交流のために行動し、これだけ呑んでいて、健康を保てたのか? やはり著者は化け物だわ。笑

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2019/01/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これがノンフィクションとは。 ソ連が崩壊していくただ中で、外交官たる主人公はどう生きたか。魅力的な登場人物、国立場を越えた友情…歴史小説のようである。 この本によってロシアの様々を知ることができた。 そればかりでなく、もっと学ぼう思わせてくれた。

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2017/06/20

2017.6.20 面白い。外交官としての人脈作り、仕事への姿勢もさることながら、その人脈を駆使して、ソ連崩壊を正確に読み解く力は圧巻。 ソ連崩壊の過程。バルト三国の独立。血の日曜日事件。共産党にかわるイデオロギーとして、ロシア正教会との連携。かの有名なKGBの存在。実はそれを操...

2017.6.20 面白い。外交官としての人脈作り、仕事への姿勢もさることながら、その人脈を駆使して、ソ連崩壊を正確に読み解く力は圧巻。 ソ連崩壊の過程。バルト三国の独立。血の日曜日事件。共産党にかわるイデオロギーとして、ロシア正教会との連携。かの有名なKGBの存在。実はそれを操る政治が重要。まさに権力闘争。ただ、最終的には、民意が勝つ。ゴルバチョフは民意の流れを作り、要は一度欲望をしってしまうと、後戻り出来ない。最後はエリツィンがゴールを決める。こういう権力闘争の中、ポリシーをもって人と付き合うことで、人脈が出来、外交交渉も有利に進める事が出来る。世界の最前線で、まさに命がけで戦う外交官に敬意を表したい。

Posted byブクログ

2017/02/07

なかなかに読み応えのある本でした。 ソ連やロシアの実情というか深いところがわかります。 実際自分が著者ならこの時どうしたやろかと思いながら読み進めました。 かなり感情移入することができたと思います。

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2015/10/13

著者が外交官としてソ連で過ごした日々を振り返りつつ、国家の崩壊という大事件に関わった人びとの姿を生き生きと描き出した本です。 前半は、ベルジャーエフやブルガーコフといった「道標派」の思想家を研究しているサーシャという人物との交流が語られています。ソ連の崩壊を予想するサーシャは、...

著者が外交官としてソ連で過ごした日々を振り返りつつ、国家の崩壊という大事件に関わった人びとの姿を生き生きと描き出した本です。 前半は、ベルジャーエフやブルガーコフといった「道標派」の思想家を研究しているサーシャという人物との交流が語られています。ソ連の崩壊を予想するサーシャは、バルト三国の独立運動に身を投じ、やがてラトビアで排他的な民族主義の動きが高まってくるとモスクワに戻り、ロシア・キリスト教民主運動という政党を立ち上げることになります。 その後、著者の交流範囲も広まり、アントニオ猪木氏を通じてヤナーエフ副大統領やイリイン共産党第二初期などの守旧派の人物とのつながりを得て、1991年8月のクーデタ未遂事件の渦中での彼らの動きがつぶさに語られることになります。 最後に、ソ連崩壊後にサーシャと再会し、彼の申し出た金銭の無心を断ったエピソードが置かれています。 「もし、サーシャの物語を中心に書き進めていったならば、ソ連崩壊よりも、どの時代においても、鋭敏な危機意識をもち、この世界と人間の双方を変容することを試みるが、挫折を繰り返すロシア知識人について書くことになったと思う。しかし、そのような良心的知識人の世界ではなく、良心を殺し、政治ゲームに入っていった人々の世界を私は描きたかった」と、「文庫版あとがき」の中で述べられていますが、個人的にはサーシャにまつわるエピソードが強く印象に残りました。

Posted byブクログ

2015/06/17

#ちきりんの共産国旅行記に続いて。 佐藤優氏のインテリジェンスに関する新書や小文はいろいろ読んだけど、これは面白い。次は「国家の罠」「先生と私」等の自伝もの(?)を読んでみるかな。

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2014/11/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ソ連崩壊の過程を描いたものであるが、ただ時系列的に史実を淡々と書いたものではなく、筆者の人間関係を中心に据えているので、純粋にソ連崩壊の過程を知りたい人にはあまり向かない。筆者がモスクワで外交官として勤務していた頃の自叙伝といえるもの。

Posted byブクログ

2014/03/30

ソ連崩壊を、両側の人間の内側から描かれていて、リアルに心情が伝わってくる。面白い。 さすが佐藤さんですが、インテリとしてどう生きていくか、その覚悟がカッコいい。

Posted byブクログ