黒百合 の商品レビュー
1952年、六甲山の別荘で夏休みを過ごすことになった寺元進ら少年少女達の淡い初恋物語を軸に、進の父らが戦前にベルリンで出会う女性のパートと、戦時中に起きた事件のパートが絡むプロット。 甘酸っぱい三角関係の恋物語だけでもノスタルジーにひたれて面白いが、上記3つのパートが収束する終...
1952年、六甲山の別荘で夏休みを過ごすことになった寺元進ら少年少女達の淡い初恋物語を軸に、進の父らが戦前にベルリンで出会う女性のパートと、戦時中に起きた事件のパートが絡むプロット。 甘酸っぱい三角関係の恋物語だけでもノスタルジーにひたれて面白いが、上記3つのパートが収束する終盤で明かされる真相は衝撃度大。まさに“文芸とミステリの融合”だ。レッドヘリングが多すぎるきらいもあるが、ミスリードにまんまとやられてしまった。ネットのレビューを読んで改めて張り巡らされていた伏線の数々に驚愕。伏線を回収してスッキリしたい人は、「裏旋の超絶☆塩レビュー」のネタバレ解説がオススメ。含みを持たせる最後の一行といい、タイトルといい多くを語らず行間を読ませる上手さが光る。とある登場人物のモデルが現実世界で成した事業がトリックに関連する、という隠し味も小気味良い。 著者は本書の刊行を最後に2009年に失踪しているという。今もどこかで健在でいることを切に願う。夏休みに読みたい一冊。 週刊文春ミステリーベスト10 8位 このミステリーがすごい! 7位 本格ミステリ・ベスト10 18位 ミステリが読みたい! 4位
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
六甲の別荘地の情景がありありと想像できる文体で、ミステリの要素を一切感じないながらも楽しめた。 最後まで読み切って、自分の頭がいかに固いかよくわかった。ネットでネタバレを見るまで犯人は普通にシンヤさんだと思っていたし、シンヤさんのままでも普通に面白い小説(ミステリではないが)で終わることのできる内容だと思う。ミステリ要素はどこだったのかを調べるためにネットで探したところ、なるほどと腑に落ちた。 著者の他の作品も読んでみたい。
Posted by
ミステリー×文学 時間が飛び跳ねる 誰が誰?ってなる。人物相関はなんとなく分かるけど、時系列もメモ取りながら読むと書ける。あー、そういうことか。ってなる。 題名の黒百合はかなり攻めた付け方に思える。
Posted by
始めて読んだ作家だったからちょっと調べてみたら、なにこれ!この作家自体がミステリーじゃないの。とてもおもしろかった。私が子供の頃NHKテレビで少年ドラマシリーズというのがあり、それを思い出しながら読んだ。そんな感じの少年少女をめぐる軽いミステリーかと思ったら、とんでもなかった。こ...
始めて読んだ作家だったからちょっと調べてみたら、なにこれ!この作家自体がミステリーじゃないの。とてもおもしろかった。私が子供の頃NHKテレビで少年ドラマシリーズというのがあり、それを思い出しながら読んだ。そんな感じの少年少女をめぐる軽いミステリーかと思ったら、とんでもなかった。この、場面の移り変わりと登場人物の絡み合い、そしてレッドへリングにどんでんがえし。読了後、部分部分を読み返しましたよ。北原白秋にボードレールと詩情もたっぷり、最後もあとひく。そしてタイトルの妙。私の好みの小説でした。まいった!
Posted by
父の古い友人である、浅木さんに招かれた六甲山の別荘での1952年の夏の話。 浅木さんの息子である同い年の一彦と、東京から来た進はすぐに仲良くなる。 一彦に連れられて向かった、ヒョウタン池で香という同い年の少女と出会う。 六甲の避暑地で過ごす、14歳の少年達のひと夏の思い出と、初恋...
父の古い友人である、浅木さんに招かれた六甲山の別荘での1952年の夏の話。 浅木さんの息子である同い年の一彦と、東京から来た進はすぐに仲良くなる。 一彦に連れられて向かった、ヒョウタン池で香という同い年の少女と出会う。 六甲の避暑地で過ごす、14歳の少年達のひと夏の思い出と、初恋。 少年達の日常と、昭和10年の彼らの父親の時代の話が交互にあり、時系列を把握しながら読み進めた。 香の叔母の夫が犯人かと思いながら、六甲の女王が、真千子だと思っていたらすっかり騙された。 恋愛の縺れが絡んだ、殺人事件だが、どろどろ感は無く、純文学を読んだような読了感になった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
爽やかな青春物語と思って読んでいましたが、いわゆるミステリーらしく、足を引きずったり、過去を振り返ったり、、、気がつけばしっかりミスリードされていて、???という感じで読み終わってしまいました。ネタバレを見たりして、なるほど!そういうことか。黒百合だもんなあ。
Posted by
さらりと読める本です。意外な真相に驚き、読み返してみるとなかなかよくできていてじわじわと面白みがわいてきます。
Posted by
多島斗志之氏の2008年の作品。発売された当時確かサスペンス本のランキングに入っていたので買った記憶がある。長い間積んだ下った物だったが、天気の悪い日曜の午後の読みものとしてタイトルがぴったりだったので読む事にした。期待してはいなかったが、結構あたりで爽やかにだまされた感じで読後...
多島斗志之氏の2008年の作品。発売された当時確かサスペンス本のランキングに入っていたので買った記憶がある。長い間積んだ下った物だったが、天気の悪い日曜の午後の読みものとしてタイトルがぴったりだったので読む事にした。期待してはいなかったが、結構あたりで爽やかにだまされた感じで読後感は悪くなかった。舞台は第二次世界対戦前夜から戦後までで、ストーリーは三つの時期に分かれて綴られていて、それによりだまされるるのだが、終盤になり謎がさくっと明かされる。 お上手!と思わず口走ってしまったほどです。出張のお供にぴったりです。
Posted by
主人公の進と一彦と香が中学生時代の夏休みに過ごした「六甲山の別荘での出来事」をメインに、ドイツで出会った「相田真千子の話」と、香の叔母である「日登美の学生時代の話」が合間に挿入され、同時進行していきます。複線の張り方やミスリードがとても巧妙でした。 インパクトが弱いのが難点ですが...
主人公の進と一彦と香が中学生時代の夏休みに過ごした「六甲山の別荘での出来事」をメインに、ドイツで出会った「相田真千子の話」と、香の叔母である「日登美の学生時代の話」が合間に挿入され、同時進行していきます。複線の張り方やミスリードがとても巧妙でした。 インパクトが弱いのが難点ですが、一旦頁を開くと最後まで止められなくなる不思議な魅力がある作品だと思います。
Posted by
14歳の男子2人に女子1人、避暑地で過ごす夏休み。「これってミステリなの?」と思いながら読み進めていくと、最後の章でバタバタと急展開し、あれよあれよという間に終了。何か余韻の残る本でした。
Posted by