黒百合 の商品レビュー
このミス8位というわりにあちこちで結構評判になっているようなので期待して読んだのだが、これをミステリーとして読むのはどんなものだろう。著者紹介にに「文芸とミステリーを融合させた傑作」とある。六甲山の別荘地を舞台に1952年(昭和27年)の夏休みの中学生の少年の初恋と、彼らが知らな...
このミス8位というわりにあちこちで結構評判になっているようなので期待して読んだのだが、これをミステリーとして読むのはどんなものだろう。著者紹介にに「文芸とミステリーを融合させた傑作」とある。六甲山の別荘地を舞台に1952年(昭和27年)の夏休みの中学生の少年の初恋と、彼らが知らない過去の出来事に絡んだ殺人。二人の少年のお互いに探りあいながらも少女を射止めようとするやり取りがほほえましい。それまで謎めかせていた部分が残り3ページになって種明かしされるが、思わず、「エー」と思ってしまう。そう作者の意図したとおり誤解していたけれど、こんな結末かと何か腹立たしい。何か初恋と偉人伝に無理やりミステリーを付け足された感じがしてきた。そうか、この題名はそんな意味があったのか。なるほどね。
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「六甲山に小さな別荘があるんだ。下の街とは気温が八度も違うから涼しく過ごせるよ。きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」 父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、一彦とともに向かったヒョウタン池で「この池の精」と名乗る...
「六甲山に小さな別荘があるんだ。下の街とは気温が八度も違うから涼しく過ごせるよ。きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」 父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、一彦とともに向かったヒョウタン池で「この池の精」と名乗る少女に出会う。 夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死―一九五二年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。《・・・「BOOK」データベースより》 2009年版「このミス」第7位、というコトで興味を持ち、初めて手にした著者作品。 「このミス」に選ばれた作品故、もちろん“ミステリー”なんだろうなぁ・・・と、 しかも、「このミス」自体に目を通していたから、 『騙されんぞ!!!』の意気込み満々で読み始めた。 前半・・・『どこがミステリーぢゃっ!』と思われる内容と文体。 昭和の時代の1人の少女と2人の少年のひと夏の甘酸っぱい「恋物語」で、 ともすれば、ムズがゆ〜い感じ。 が、挫折どころか、なんだか心地よくページが進む。 ひたってばかりはいられない。 どこかで何かが起こり、伏線はしかけられているはず! と、しっかりと読み込みつつ、進めたさっ! 中半以降・・・出てきたよ。 さぁ、ひっかからないように、ページを行きつ戻りつ・・・ 最後の数ページ・・・ ありゃ、どうも様子がおかしい。 この男?→いえいえ、こっちの男か?→いや、この女だね! 考えつつ読み進んだはずなのに、 ノーマークなあの人だったわよ!!!!! 衝撃っちゃ、衝撃だね。 あ、でもね、この作品、最後まで、いわゆる【真犯人】は 名指しされてないよ・・・たぶん。 きちんと読めば、ちゃ〜んとわかるようになってるけど、 「こいつだ!」とか「お前だ!」 みたいのは無い。 筆者の意図であろうか? 読後はタイトルにも納得。 こちらも、中には「意味不明」とおっしゃる方もいるかもね。 全体の雰囲気(3人の恋について)に酔いしることができ、 ミステリーの要素も織り込まれ、 堪能できた1冊でした。 《2009年1月10日 読了》
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4・5点。 読後、「ああ! このやり方があったか!」と唸ってしまいました。文章の雰囲気も良かった。
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カバーのそでに「文芸とミステリの融合を果たした傑作長編」とありますけど、さほど文芸臭もない普通のミステリ。見事にだまされましたが、カタルシスは今一歩か?
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