トンコ の商品レビュー
表題作をはじめとする短編集。悲しい話が多かった。 トンコ、を読んでしばらく肉売り場で佇んでしまいそうだ。 食べ物をだからありがたくいただく。 他の作品も読みたくなった。
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ホラーというよりは純文学に近い。 養豚場で育てられた豚が輸送中に逃げ出し、初めて見る外の世界で兄弟を探し回る話。 切なさとともにやるせなさを感じる物語でした。 兄弟たちの鳴き声(幻聴)を追ってその姿を探し回るトンコと、醜い豚を虐げる人間。 とにかくかなり胸を締め付けられるような感...
ホラーというよりは純文学に近い。 養豚場で育てられた豚が輸送中に逃げ出し、初めて見る外の世界で兄弟を探し回る話。 切なさとともにやるせなさを感じる物語でした。 兄弟たちの鳴き声(幻聴)を追ってその姿を探し回るトンコと、醜い豚を虐げる人間。 とにかくかなり胸を締め付けられるような感情を抱きました。 この方は表題作以外もかなりよかった。 ホラーとしては微妙ですが(毒)、これからを期待できる作家さんだと思います。
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第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作です。 表題の作品のほかに、「ぞんび団地」、「黙契」が収録されています。 食用にされるために搬送される途中で逃げてしまった豚のお話です。 本当にそれだけなんです。 でも、信じられないほど面白いです。 ホラーの概念が覆ります。 逃げ出し...
第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作です。 表題の作品のほかに、「ぞんび団地」、「黙契」が収録されています。 食用にされるために搬送される途中で逃げてしまった豚のお話です。 本当にそれだけなんです。 でも、信じられないほど面白いです。 ホラーの概念が覆ります。 逃げ出した主人公の豚の、なんと純粋な心の持ち主であることよ、と思わされることで、人間どもの身勝手さ、醜悪さが際立ってくるという仕掛けのようです。 著者は、同じテーマ・同じ登場人物・同じ設定で書いたとしてもここまで読ませる作品に仕上げられる人はそうそういないのではないだろうか、と思わせるだけの確かな筆力の持ち主であり、その証拠に、同書収録の「ぞんび団地」では、コミカルな設定の中にそこはかとない切なさが、そして、「黙契」に至っては号泣せずには読み進めることが難しい溢れる哀しさと兄弟愛が、まぐれではない著者の力量を如実に示していす。 短編というジャンルの難しさ、奥深さをまた実感した思いです。
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ホラー小説大賞短編賞。……これってホラーか? とは確かに思いました。ホラー的な要素はあるけれど、ジャンルとしてはどうなのかなあ。ユーモラスでシュールで哀愁に溢れた、少し不思議な物語。 収録作「ぞんび団地」「黙契」はどこからどう見てもホラー。「ぞんび団地」は、いったいどういう展開に...
ホラー小説大賞短編賞。……これってホラーか? とは確かに思いました。ホラー的な要素はあるけれど、ジャンルとしてはどうなのかなあ。ユーモラスでシュールで哀愁に溢れた、少し不思議な物語。 収録作「ぞんび団地」「黙契」はどこからどう見てもホラー。「ぞんび団地」は、いったいどういう展開になるのか、まるで読めませんでした。うわあ、このネタかあ~。気づかなかったぞ。でもそれを踏まえて読み返せば納得。「黙契」はじわじわと来るホラー。どの作品にも共通する要素は、「家族の絆」が描かれているということですね。切なくしんみりとさせられます。
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切ない豚さんの長いたび。 表題作でない方のお話が現在一人暮らしの私には絵空事ではないように思えました。
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「豚の死なない日」「僕とポーク」つながりで、読んでみる。 印象深かった部分> ぶひ。 ぷぎぎぃ。 ぼととん、ぼひ。 生姜焼き弁当からは、「M02」の臭いがした。 場長は廃材の前でしゃがむと、トンコと向きあった。 そして作業着のポケットからハンカチを取り出すと、 生姜焼きを拾い...
「豚の死なない日」「僕とポーク」つながりで、読んでみる。 印象深かった部分> ぶひ。 ぷぎぎぃ。 ぼととん、ぼひ。 生姜焼き弁当からは、「M02」の臭いがした。 場長は廃材の前でしゃがむと、トンコと向きあった。 そして作業着のポケットからハンカチを取り出すと、 生姜焼きを拾い、丁寧に包んでポケットに収めた。 ------------------------------------------------------------------- 兄弟の臭いや声を追い求めてトンコが彷徨う物語。 どのへんがホラー括りなのか良く判らないが、 もしかしたら豚を殺して食べることに何の疑問も躊躇も無くなっている 人間のさまが、ホラーなのかも?
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すごく面白かった。 トンコは日本ホラー小説大賞短編賞受賞作だがホラーと聞いて思い描くような血みどろな場面は一切なくて、どこがホラーなの?と思うかんじだった。 ブタ視点で展開する話は、常にかわいい。 「ホラー部門」だよね・・と念頭において無理矢理暗い映像を思い浮かべて読んだ。 文章...
すごく面白かった。 トンコは日本ホラー小説大賞短編賞受賞作だがホラーと聞いて思い描くような血みどろな場面は一切なくて、どこがホラーなの?と思うかんじだった。 ブタ視点で展開する話は、常にかわいい。 「ホラー部門」だよね・・と念頭において無理矢理暗い映像を思い浮かべて読んだ。 文章はかなりうまくできていて、一気に読ませる力があった。 他に収録されている2作もホラー作品で、この2つはちょっとグロイ表現もあったけど、文章がうまいので早く続きを読みたくなる。 読後はただ気持ち悪いとか後味が悪いというかんじがほとんどなく、グロイのに爽やかな、不思議な感じだった。 他の本も読んでみたい。
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第15回の日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。 養豚場からの搬出中に交通事故に合い、 逃げ出した一匹の豚が兄弟を求めて彷徨い、 そして捕まるまでの物語。 あらすじだけ書くと、これでどこがホラーなのかと首をかしげてしまうが、読めば納得がいくことだろう。全体的にとても哀しい話ではあ...
第15回の日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。 養豚場からの搬出中に交通事故に合い、 逃げ出した一匹の豚が兄弟を求めて彷徨い、 そして捕まるまでの物語。 あらすじだけ書くと、これでどこがホラーなのかと首をかしげてしまうが、読めば納得がいくことだろう。全体的にとても哀しい話ではあった。なんせ主人公は豚なので、そこに細かい心理描写などはない。ほとんど本能的な行動が書き連ねられているだけだ。兄弟たちとの心の交流が描かれているわけでもない。そこにあるのは「個性」以前の「個体差」と呼ばれる程度の違いでしかない。しかし、それでも、兄弟たちといた養豚場の描写の後に、ただ一匹で逃走する主人公の様子が描かれるのを読むのはなにか哀しい。あるいは心情描写がない分、哀しいということの根幹がそこには描かれているのかもしれない。 確かにホラーよりは純文学に近い。しかし、まぎれもなくホラー畑の人であることは収録された他2篇を読めば明らかとなる。特に『黙契』は、ラストシーンの事象としてのおぞましさと、そこでもたらされる精神世界の美しさの相克が凄まじい。人という存在の健気さ、儚さ、美しさ、尊さを描くために、これほど醜い素材を必要とする人間は、まさにホラーの民だと言える。
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表題作の『トンコ』はよかった。解説の人が書いていたように、トンコに感情移入した段階で不条理ホラーになるというのも納得。私なんて、いっぱつでトンコにまいっちゃいました。 ただその他の2作品が、読み進めるのがつらい暗さ。こないだ読んだ『粘膜人間』は凄惨な話なのに妙に明るいのとは対照的...
表題作の『トンコ』はよかった。解説の人が書いていたように、トンコに感情移入した段階で不条理ホラーになるというのも納得。私なんて、いっぱつでトンコにまいっちゃいました。 ただその他の2作品が、読み進めるのがつらい暗さ。こないだ読んだ『粘膜人間』は凄惨な話なのに妙に明るいのとは対照的。怖さとかゾクゾク感を味わう前に、気持ちが萎え萎えになってしまう。その辺、なんとかして欲しいと思ってしまった。 結局、三作品の平均をとって☆3つにしました。
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食用豚の目線から描かれる人間世界は酷く奇妙で歪んでいて 美味しいものが欲しい!とブヒブヒ鼻を鳴らすトンコたちの世界はなんてシンプルで素敵なんだろう なのに食物連鎖は常に人間を頂点にしている 皮肉なことだ ところで 「しょうが焼き」からは兄のにおいがして 「ソーセージ」か...
食用豚の目線から描かれる人間世界は酷く奇妙で歪んでいて 美味しいものが欲しい!とブヒブヒ鼻を鳴らすトンコたちの世界はなんてシンプルで素敵なんだろう なのに食物連鎖は常に人間を頂点にしている 皮肉なことだ ところで 「しょうが焼き」からは兄のにおいがして 「ソーセージ」からは妹のにおいがする じゃあ、トンコは何になるんだろう?
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