1,800円以上の注文で送料無料

できそこないの男たち の商品レビュー

4

160件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

    65

  3. 3つ

    37

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/09/20

(2009/4/5) 「生物と無生物のあいだ」で一躍新書界(?)の寵児となった感のある福岡伸一さんの待望の新作、、、というにはだいぶ時間がたったが、ようやく読むことが出来た。 アダムからイブが作られたのではない、その逆だ。 「人は女に生まれない。女になるのだ。」(ボーヴォワール)...

(2009/4/5) 「生物と無生物のあいだ」で一躍新書界(?)の寵児となった感のある福岡伸一さんの待望の新作、、、というにはだいぶ時間がたったが、ようやく読むことが出来た。 アダムからイブが作られたのではない、その逆だ。 「人は女に生まれない。女になるのだ。」(ボーヴォワール)も、それは男のこと、、。 というのがこの本の大きなコンセプトかな。 生物はもともと女が女を産むものであった。しかしそれでは遺伝子が均一化し、天変地異の際、その遺伝子が適応できなければ種は全滅する。それを避けるため、女が男を産み、男は別の女に自分の母親の遺伝子を注ぐ、それによって多様な遺伝子が作られ、種が生き延びる可能性が強くなる。 男が女からにわか作りされたことの証明は、蟻の門渡りで見ることが出来る。 現在の社会が男が支配しているように見えるのは、女が欲張って、男の役割を遺伝子運搬のみならず生産活動までさせたことによる。男は余剰物を蓄え、交換が始まり、政治が起こり、力を持った、、、。 そんな展開の新書になっている。 「生物と、、、」ほどのセンセーショナルさはないが、流れるように物語は進み、すこぶる読みやすい。 そういえば私が天皇後継問題で論議していたY染色体にも触れている。科学的には何てこと無い問題みたいだ。 だとしたら尚のこと存在意義がなくなってしまう。 しかしあのおことばはよかった。 今の日本社会に天皇が存続する合理的理由をどう見出せばいいのだろう。それはとりもなおさず後継問題につながると思う。。。 話しそれました。まずまず良書です。

Posted byブクログ

2024/10/02

「生物と無生物とのあいだ」で示した素晴らしい文章力に更に磨きをかけ、今回は「性」の問題に迫る。 構成のうまさに唸らされた。 デイビッド•ペイジの発見(男を規定するy染色体は消滅しないことを提唱)と、旧約聖書、ボーボワールからスタートする。 「性」の謎を解く鍵がアンドロギュヌスにあ...

「生物と無生物とのあいだ」で示した素晴らしい文章力に更に磨きをかけ、今回は「性」の問題に迫る。 構成のうまさに唸らされた。 デイビッド•ペイジの発見(男を規定するy染色体は消滅しないことを提唱)と、旧約聖書、ボーボワールからスタートする。 「性」の謎を解く鍵がアンドロギュヌスにあるとする、とする「つかみ」のうまさ! これにやられた。 そして、秀逸な表題の付け方! (「見えないものを見た男」「男の秘密を覗いた女」「匂いのない匂い」「誤認逮捕」「弱きもの、汝の名は男なり」「Yの旅路」「余剰の起源」) これにもやられた。 生物にあっては、メスこそがデファクト•スタンダードなのだ。 知らなかった! オスは、メスをちょこちょこと改造して出来た「できそこないの生物」に過ぎない。 オスが弱いのはそのためだ。 メスが、もとい、女性が強いのは、生物学上当然なのだ。 知らなかった! 納得した。 ガツン、ガツンとやられっぱなしで、読み終わり、風呂に入ると、つい、男である自分が「できそこない」であることを、確認してしまうのだ。 そして、呟かざるを得ない。 「弱きもの、それは男なり」と。

Posted byブクログ

2024/06/13

メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1801027391927816335?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

Posted byブクログ

2024/05/07

性染色体の発見から始まり、性決定遺伝子の同定、オスの発生学、アリマキの生活環などが紹介されていた。 どのような実験や論文発表の過程を経て、性決定遺伝子を発見したのかがとても面白く分かりやすく書いてあった。 ヒトは受精後6週目まで全てメスとして発生し、オスになる場合は7週目からメス...

性染色体の発見から始まり、性決定遺伝子の同定、オスの発生学、アリマキの生活環などが紹介されていた。 どのような実験や論文発表の過程を経て、性決定遺伝子を発見したのかがとても面白く分かりやすく書いてあった。 ヒトは受精後6週目まで全てメスとして発生し、オスになる場合は7週目からメスの生殖器官を縫い合わせてオスの生殖器官を発達させることなどから、筆者はオスを出来損ないのメスと考えている。 その他にも生物学的にオスがメスをカスタマイズして出来たことによる様々な不都合が紹介される。 個人的に面白かったのはアリマキの話。基本はメスのみで受精せずクローンとして殖えるが、気温が下がると性染色体を一本減らしてオスを産む。 オスは染色体が少なく貧弱で、しかもオスとの受精卵から生まれるのはメスのみ(n+0の精子は死に、n+Xの精子しかないため)。オスはより良いメスを産みだすために一時的に作られるものにも見え、そのような世界があると知り面白いと思った。

Posted byブクログ

2023/07/01

生物学的にみて男・オスっていうのは、女性・メスの後から派生した不格好なできそこないなのだと説いている本。それはそのとおりなのだろうけど、それなのに人間においては、男ってもう一方の性に対し幅を利かせているのはなぜだろう。 著者は、人間に限らずと思っているのか「では今日、一見、オスこ...

生物学的にみて男・オスっていうのは、女性・メスの後から派生した不格好なできそこないなのだと説いている本。それはそのとおりなのだろうけど、それなのに人間においては、男ってもう一方の性に対し幅を利かせているのはなぜだろう。 著者は、人間に限らずと思っているのか「では今日、一見、オスこそがこの世界を支配しているように見えるのは一体何故なのだろうか。それはおそらくメスがよくばりすぎたせいである、というのが私のささやかな推察である。」(p.262)と。オスに遺伝子を運ぶ以外の用途を求めたメスがいろいろ任せるようになり、オスはメスを崇めて日々の糧を獲得しては捧げた。そのうちその余剰を貯めるようになったオスたちは、オスたちどうしで取引・交換するようになり、余剰を支配することで力をもつようになったとのこと。 この著者の本って初めて読んだけど、科学の世界のことを文系でもなじみやすく書いてくれている感じ。人気なのがわかる。

Posted byブクログ

2022/12/01

生物のデフォルトとしての女性を無理やりカスタマイズしたのが男性であり、そこにはカスタマイズにつきものの不整合や不具合がある。遺伝子の使い走りとしての用途。 エピローグの加速覚についての考察はたいへん面白い。

Posted byブクログ

2022/11/18

性別決定に関する本です。当然Y染色体なんかは、学校で習ったんですが、 性を決定するSRY遺伝子、基本形のメスをカスタマイズしてオスができたってのは知らなかったです。 この本は純粋な科学物って感じじゃなくて小説、歴史物っぽい感じで読み易くて、面白いのは良かった。 その分、深みが無い...

性別決定に関する本です。当然Y染色体なんかは、学校で習ったんですが、 性を決定するSRY遺伝子、基本形のメスをカスタマイズしてオスができたってのは知らなかったです。 この本は純粋な科学物って感じじゃなくて小説、歴史物っぽい感じで読み易くて、面白いのは良かった。 その分、深みが無いのが少し残念だったかな。

Posted byブクログ

2022/09/15

福岡さんがちょっとしたマイブームで、もっと著書を読みたい!と思って見つけた本。 普段から自分が(生物学的・社会的に)女であることについて考えてはオーバーフロー、、みたいなことがあったのでとても面白かった。自分が生活している中で精神的な脆さ、肉体的な弱さをどうしても感じることがあ...

福岡さんがちょっとしたマイブームで、もっと著書を読みたい!と思って見つけた本。 普段から自分が(生物学的・社会的に)女であることについて考えてはオーバーフロー、、みたいなことがあったのでとても面白かった。自分が生活している中で精神的な脆さ、肉体的な弱さをどうしても感じることがあって、それは友人にも話が通じることが多かったから生物学的に女は非力だと思っていた。個人的に女は脆くて複雑、男は丈夫でシンプルというのがなんとなくこれまで生きてきた中での印象だった(くどいようだが生物学的に、そしてごく抽象的に言うと)。だから、作中で女と比較して男が脆い存在として説明されていたのが新鮮だったし、新たな視点を得られた気がする〜 コンパクトにまとめられていたけど、エピローグがとても面白かったな。女って生物学的にゆらぎが大きい気がしていて、それは即ち時間を感じやすいということなのかもなんて思った。自分ではコントロールできない範疇で身体や精神に変化が生じること、それを受け入れること。読みながらそんなことをぼんやり感じていた 人間を他の動物から特別扱いするのってどうなんだ、と思っていたけど、余剰を作ろうと欲張った結果が今なんだとしたら、それは確かに人間は他の種に比べて賢かったとも言えるかも、なんてことも思った 他の作品もだけど、比喩や表現が本当におもしろい、ドラマティック。もっと早くに読みたかった〜〜〜

Posted byブクログ

2022/04/17

もともとX染色体だけの生命体が自己複製による増殖をしていたが、ある日突然Y染色体を持った生命体が誕生する。それが生命体最初の♂である。当初のオスは遺伝子を遠くにいるメスに運ぶだけの役割だった。要するにSEXするだけの存在だった。自己複製を繰り返すだけのメスからはクローンしか誕生し...

もともとX染色体だけの生命体が自己複製による増殖をしていたが、ある日突然Y染色体を持った生命体が誕生する。それが生命体最初の♂である。当初のオスは遺伝子を遠くにいるメスに運ぶだけの役割だった。要するにSEXするだけの存在だった。自己複製を繰り返すだけのメスからはクローンしか誕生しない。外部からの遺伝子による交雑をする事で進化のスピードを加速させる事が可能となった。環境の変化にいち早く対応できるようになり、繁殖能力を持たないオスに雑用をさせる事で、その生命体は環境との競争に勝ち繁栄してきた。それがオスとメスに別れる地球上のあらゆる生命の祖先である。 という福岡の観察眼が書かれている。 福岡は子供の頃から昆虫の研究に熱心で、大学でもそれを志そうとするが、うまく行かない現実を身を持って知る。その後、背水の陣で渡米する。そういった経緯があった事も見逃せないだろう。 1つ疑問を投げかける。 最初のSEXはどのようなものだったのか。 メスにとって、できそこないのオスは道具に過ぎなかったというメタファーがシニカルに描かれているのが本書である。それは男性優位社会に対する福岡の皮肉か批判なのだろう。それとは真逆の多様な生物の生態を例に上げている。 だが、最初のSEXでは、オスはメスの体内へ強引に生殖器のようなものを打ち込んでいた可能性もある。無理やり穴をこじ開けたのである。そのやり方を通してオスが支配的になったのかもしれない。 オスかメスか。どっちが上で下か。男性優位のテーゼを覆すアンチテーゼ。そこに面白さがあるという事。これが逆なら、福岡は女性優位のアンチテーゼを書いていただろう。 現実とは残酷な天使のテーゼであるから。

Posted byブクログ

2022/02/04

なるほど!と思う部分と、⁇理解できない部分があった作品。易しく書いてくれてるとは思うが、根っからの文系人間には難しかった。

Posted byブクログ