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菊と刀 の商品レビュー

3.9

70件のお客様レビュー

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2019/01/31

500P超えの大著。 アメリカの文化人類学者ベネディクトによる『菊と刀』 アメリカとの第二次世界大戦中に、 敵国日本の情報収集の意を担ったこの研究は、 表層的な日本の軍事行動ではなく、 日本人の行動原理を深層から理解するために、日本人の文化発祥から当時に至るまでの歴史的観点で、...

500P超えの大著。 アメリカの文化人類学者ベネディクトによる『菊と刀』 アメリカとの第二次世界大戦中に、 敵国日本の情報収集の意を担ったこの研究は、 表層的な日本の軍事行動ではなく、 日本人の行動原理を深層から理解するために、日本人の文化発祥から当時に至るまでの歴史的観点で、日本人ならではの文化特性を鋭く考察した著書だ。 この本は1996年の時点で日本語版だけで230万部を売る、1946年からのロングセラーとなっている。 1945年第二次世界大戦終結の翌年に出版されている。 日本人をアメリカ人の社会文化構造の価値観の中から判断するのではなく、 日本人の社会文化構造の根底からの理解に努め、その流れや枠組みを汲み取り対象を見ようとしており、だからこそのアメリカとの違い、日本人であるからこその様々な特徴が浮き彫りになって見えてくる。 日本人とはこうゆうものなのか、逆に日本人が日本人を理解するような、非常に腑に落ちる感覚になる。 秩序と階層的な上下関係を重んじる日本人。 自由と平等を重んじるアメリカ人。 ジョン・ロックの『市民政府論』などに見える「自由」、「平等」の自由主義や民主主義的なバックボーンをもつアメリカとは、日本は背景が違うのだ。 戦後70年以上たつ今観るからこそ、 アメリカナイズされた日本、だがアメリカナイズしきらない日本、どこに日本人本来の特性があるか。その一点が眼前に観えてくる。 時を経ても「忠臣蔵」に対する義理を重んじる姿に感銘を受けずにはいられない。 今もまだ日本人には「義理」の心が息づいている。 こういった日本とアメリカの本質的な違い ということをテーマにおかれた主題 アメリカ人にとっては理解不能な、一見矛盾しているように見える日本人の行動原理には、日本人には矛盾ではなくそこに秩序があり そういったようなことを真に理解していくには 物事の表層的なことだけを捉えても理解は浅く、 歴史、宗教、政治、経済などのあらゆる全人間的知識を総動員して読み抜く必要がある。 そういった気概で向き合う価値のある骨太な良書である。 本質を見抜くには、多角的視点は不可欠だ。

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2018/10/08

日本人としてはごく当たり前のことではあるのだけれど その指摘の鋭さに、しかもほぼ全編に渡って文献研究のみ、というところに ただただ感心しきりの1冊でした。

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2018/09/08

これはもう、とんでもない研究論文である。 読む時間が相当かかったのは、日本人たる自身や周りに垣間見える、見ようと思わないと気がつかない日本人の姿そのものが細かく描写されていて、いちいち読み込まねばならなかったからだ。 戦後、大きく日本人の文化は変わり、アメリカ人の文化も変わって、...

これはもう、とんでもない研究論文である。 読む時間が相当かかったのは、日本人たる自身や周りに垣間見える、見ようと思わないと気がつかない日本人の姿そのものが細かく描写されていて、いちいち読み込まねばならなかったからだ。 戦後、大きく日本人の文化は変わり、アメリカ人の文化も変わって、互いに融合して重なる部分が増えたように思う。しかし、本書で指摘されている恥の文化のようなファンダメンタルな日本人は変わっていない。その事を認識すれば、日本社会のみならず、国際的な活動における指針となるだろう。

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2017/09/26

思わぬほどに時間がかかってしまいました。そんなに 読みづらい文章ではないのですが。 昔から読んでみたいと思っていて読めずにいた本です。 1946年の本。いまから70年以上も前の本 ではありますが、日本人の考え方についてよく分析している と思いますし。自分でもなるほどと納得する部分...

思わぬほどに時間がかかってしまいました。そんなに 読みづらい文章ではないのですが。 昔から読んでみたいと思っていて読めずにいた本です。 1946年の本。いまから70年以上も前の本 ではありますが、日本人の考え方についてよく分析している と思いますし。自分でもなるほどと納得する部分もあります。 自分自身の根っこの部分は、両親から教えられたことが そこに純然としてあって、それは、応分の場を意識すること 義理を果たすこと。恥を嫌うこと。過去に負い目を持っておくこと。などが確かにあると思います。 ただ、やはり日本人も少しずつかわっているのだと 思いますし、自分よりも後の世代の人たちがどのように 受け取るのかは興味があります。 最後の部分 ”日本人は現在、軍国主義が輝きを失ったことを知っている。日本人は、世界のほかの国々においても事態は同じなのだろうかと、目を凝らして見守ることになるだろう。同じでないとすれば、日本はふたたび好戦的な情熱を燃やす可能性がある。そして、事に加担する力があるということを誇示するであろう” については、安部首相とその仲間たちとそれを喜々として騒ぐネット系の人たちのイメージがわいてくるのですが、もしそうであれば、そのまま言い当てられていると思いました。

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2016/05/03

心理学に興味を持つきっかけになった本。 初めて読んだのは高校生の時で読書感想文を書くために渋々読み始めましたが、想像以上の面白さで一気に読みました。 それから何度も繰り返し読んでいますが、読むたびに新しい発見、共感、考察が生まれます。

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2015/11/19

日本人の思想についての考察をした本。少し首を傾げる点もあるしそれはさすがにこじつけだろって突っ込みたくなる部分もあるけどこの本が評価される所以は、戦時中にアメリカの文化人類学者が一度も日本を訪れることなく調査をしここまでの仮説を打ち立てたからだ。 その背景を踏まえると確かにこれは...

日本人の思想についての考察をした本。少し首を傾げる点もあるしそれはさすがにこじつけだろって突っ込みたくなる部分もあるけどこの本が評価される所以は、戦時中にアメリカの文化人類学者が一度も日本を訪れることなく調査をしここまでの仮説を打ち立てたからだ。 その背景を踏まえると確かにこれは優れた考察といえる。でもやっぱり百聞は一見にしかずと言わざるを得ない点もあり。 ただ評価はどうあれ日本人の思想を紐解く一助にはなるから読んで損はないと思う。

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2015/09/14

学生時代に旧訳で読んでわかりずらく、とうに忘れていたものを光文社新訳シリーズに期待して再読。 取り上げられているテーマは面白いものばかりなのだが、これは文化論ではなく文学か?と思わせる内容。 座学/聞き取りでこれだけのものを書けるということは、想像力たくましいとの表れか。 といっ...

学生時代に旧訳で読んでわかりずらく、とうに忘れていたものを光文社新訳シリーズに期待して再読。 取り上げられているテーマは面白いものばかりなのだが、これは文化論ではなく文学か?と思わせる内容。 座学/聞き取りでこれだけのものを書けるということは、想像力たくましいとの表れか。 といっても、日本でも今尚、書店にて「嫌○/親○本」が堂々と並べられそれなりには売れているらしいので、当時としては何をか況や。 各章がぶつ切りな印象を受けるので、どこから読んでも良い気がする。

Posted byブクログ

2015/09/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

/////感想///// 上下関係を重んじるのは今でも通用する認識だが、天皇への忠誠心、ところどころ「古い人間についての説明」に聞こえる。 この本を読んだからといって何が変わるのかがいささか疑問に思った。 ////////// 多くの東洋人と異なって日本人は、文を綴ることによって自分自身をさらけ出そうとする強い衝動を備えている。 日本が戦争を正当化するために依拠した前提ですら、アメリカの考え方とは正反対であった。国際情勢の解釈の仕方が異なっていたのである。アメリカの考え方に依れば、戦争の原因は中枢国の侵略行為に会った。略)日本は戦争の大義を他の観点から見ていた。つまり、各国が絶対的な主権を持っている限り、世界の無秩序は一掃されない。日本は国際的な上下関係を確立するために戦う必要がある。そのような階層の頂点に立つのは、もちろん日本である。 日本人の生得の信念で、半永久的に変わらない物がある。そのうち最重要の物は、階層的な上下関係に対する信仰である。 平等を愛するアメリカ人にとって、それは疎ましいものである。 日本人は秩序と階層的な上下関係に信を沖、アメリカジンは自由と平等に信を置く。 日本人は、常に上下関係を基準にして自分たちの世界を秩序立てる。家庭や個人的な人間関係においては、年齢・世代・性別・階級ごとの作法に従わなければならない。政治・宗教・軍隊・産業においては、身の置き所が改装に沿って区切られており、上のものも下の者も、おのおのの分を超えると必ず罰せられる。 直接の競争をできるだけさけようとする傾向は、日本人の生活の隅々人まで浸透している。 日本人は汚名をすすぐという義務にかくも力点を置いているが、それゆえに実際の生活では、できるだけ侮辱を感じなくても済むように事を運ぶ。 日本人は、失敗すること、また、人から悪く言われたり拒絶されたりすることに対して傷つきやすい。そのため、えてして他人を責めるより自分自身を責めがちである。教養のある日本人は過去数十年、鬱屈した気持ちを募らせた挙句、怒りを爆発させて憂さを晴らすことが良くあった。日本の小説はこのような感情のパターンを幾度となく描いている。 アメリカジンは自殺を非難する。それは、自暴自棄になって絶望に身を任せることに他ならない。だが、日本人は自殺に対して敬意を払う。 西洋の哲学に依れば肉体と精神という二つの力は、それぞれの人間の営みにおいて優位を争おうとする。だが、日本人の哲学においては、肉体は悪ではない。肉体の楽しみを満喫することは、いささかも罪深いことではない。 日本の戦争映画を鑑賞したアメリカジンは往々にして「今まで見た反戦映画の中で最高の作品だ」と評する。これはアメリカ人の典型的な反応だ。なぜなら、それらの映画はもっぱら戦争に伴う犠牲と苦痛を主題としているからだ。 日本人は鍛練が自分の利益に繋がると力説する。しかし、日本人の規範がしばしば要求する極端な行動は、彼ら自身にとって正真正銘の深刻なフラストレーションの原因となる。 ヨーロッパでの苦行の目的は、肉欲を克服することで会ったり、神の慈悲を請うことで会ったり、光陰状態を呼び起こすことで会ったりする。日本人が好む寒行にも夜明け前に身を着るように冷たい滝に打たれるとか、冬、一晩に三回冷水を浴びるなどの行がある。しかしそれは、目的が異なる。意識する自己を鍛え、苦痛を感じない境地に達することをねらいとしているのである。求道者の目的は、迷走が途切れることなく続くように己を鍛えることにある。冷水を浴びても衝撃を覚えない。夜明け前の寒さの中にあっても、身体の震えを覚えることがない。その境地を切り開いた時、達人になるのであった。見返りはそれだけである。

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2015/08/14

【日本に一度も来たことない/アメリカ人女性による/70年近くも前に書かれた】本のはずなのに、「あーね」「分かるわー」「それな」連発。参りました。笑 少し前の「そのツイート玄関に貼れますか?」事案もそうだが、表面は変われど本質は変わってないんだろうな、日本人って。ベネディクトさ...

【日本に一度も来たことない/アメリカ人女性による/70年近くも前に書かれた】本のはずなのに、「あーね」「分かるわー」「それな」連発。参りました。笑 少し前の「そのツイート玄関に貼れますか?」事案もそうだが、表面は変われど本質は変わってないんだろうな、日本人って。ベネディクトさんまじ慧眼。

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2015/07/06

日本に来たことがないだけあって、ややまとはずれな点もあるが、なんとも日本人の特質をとらえている。 分別をわきまえる文化を世界に広めようとした結果があの戦争だとするのは大変興味深い。終戦についても、明治維新についても、変わらない日本人の根っこのようなものをとらまえて分析している。表...

日本に来たことがないだけあって、ややまとはずれな点もあるが、なんとも日本人の特質をとらえている。 分別をわきまえる文化を世界に広めようとした結果があの戦争だとするのは大変興味深い。終戦についても、明治維新についても、変わらない日本人の根っこのようなものをとらまえて分析している。表面的には右から左への転向にみえても、何かに狂信的なほど従うという国民性は変わらないという日本人だけでは気がつかない日本人のおかしさがきちんと描かれている。

Posted byブクログ