闇の公子 の商品レビュー
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ファンタジーであり、昔々のお伽話であり、古文であり、闇の話であり光の話である。全体に漂う暗いエロチズム。さんざ人を狂わせ続けた(憎らしいな〜と思っていた)闇の王が地球の人々の為身を投げ出して、少しは好きになれそうだと思ったら7人の生娘の胎を借りて蘇ってキーッ!全体にかなり装飾的だったのに読みやすくて、スラスラ読めました。
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妖魔の王アズュラーンによる気まぐれで翻弄される人々のオムニバス。とにかく文章が美しい。人生を狂わされる人間の矮小さ、純粋さ愛おしさが際立ちそりゃ何でも出来るアズュラーンも愉しくてちょっかい出しちゃうよね。 結局自分で自分の首をしめる結果になるけど、種まきの段階から憎悪と対峙する場面、その流れも完璧。あと復活するラストはなんだか笑える。 「平たい地球」シリーズ第1作だけどこれだけ完成されてると思う。ダークファンタジーの最高峰。 タニス・リーはやっぱり凄くて変わらず好きなんだけど翻訳された浅羽さんもとてつもなく凄い人なんだなと再認識した。なのになんで絶版なんだ....!!!!
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語られる物語の描写があまりにも美しく耽美的で、魅せられたように一気に読破してしまうような話だった。 特に好きなのはシザエルとドリザエムの話だ。 ラストのアズュラーンの呼びかけに応え、振り向いたときの二人の表現には自然に涙が出た。 ”二度も分かつにはみごとであり過ぎる” ”この世でいかほどの値打ちを持つかは知らぬが、わが祝福を受けて旅立つがよい” と云うアズュラーンの言葉で幕を閉じるところが、ひとつの物語の閉じ方として、最高のものを見たとさえ感じた。
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92:ひとさまのブクログを見て即買い。びっくりしました。圧倒されました。神話的な耽美と残酷の物語。ものすごく俗な言い方をすると、サガフロ(小林先生的)妖魔の耽美世界。のめりこみです。続編も切に復刊希望。
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現代版千夜一夜物語。耽美な世界を彩るのは妖しく美しい妖魔達に、異形の者に愛された美青年、花から生まれた少女、絢爛豪華な宮殿と色とりどりの宝石たち……!文章もむせ返るほど装飾的で美しく、“耽美”を一冊の本にしたような印象です。普段読み慣れない分、慣れるまでに少し時間が掛かりました。...
現代版千夜一夜物語。耽美な世界を彩るのは妖しく美しい妖魔達に、異形の者に愛された美青年、花から生まれた少女、絢爛豪華な宮殿と色とりどりの宝石たち……!文章もむせ返るほど装飾的で美しく、“耽美”を一冊の本にしたような印象です。普段読み慣れない分、慣れるまでに少し時間が掛かりました。どこか人間くさく、冷酷で強大な力を持つ妖魔の王、それらに対する信仰、愛といったものが、どこかギリシア神話を彷彿とさせました。強いメッセージ性を感じる物語ではなく、その妖しく甘やかな世界観に浸り、一粒づつ取り出して味わうような物語だと思います。
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これぞファンタジーといった世界観、文体 本を構成する全てのパーツが物語世界を作り上げている 神話のような幾つものエピソードが最終的には妖魔の王アズュラーンの「愛」を導き出す構成も見事
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☆5 水無瀬 絢爛豪華。この世でいちばん美しい物語のひとつ。好き過ぎて語れない。タニス・リーの文章もさることながら、今は亡き浅羽莢子の翻訳の流麗さにも眩惑されること必至。平たい地球シリーズ第一作であり、至高のファンタジー。
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♪あらすじ まだ世界が平らだったころ、地底では妖魔の都が栄えていた。 その都を統べる妖魔の王、絶大な魔力と美貌を誇るアズュラーンは夜ごと人界に遊び、無垢なものたちを誘惑して愉しんでいた。 育て上げ寵愛した美青年シヴェシュ、残虐非道な女王ゾラーヤス、生まれる前にふたつに引き...
♪あらすじ まだ世界が平らだったころ、地底では妖魔の都が栄えていた。 その都を統べる妖魔の王、絶大な魔力と美貌を誇るアズュラーンは夜ごと人界に遊び、無垢なものたちを誘惑して愉しんでいた。 育て上げ寵愛した美青年シヴェシュ、残虐非道な女王ゾラーヤス、生まれる前にふたつに引き裂かれた魂シザエルとドリザエム…… 闇の公子の気まぐれないたずらは、あまたの人間の運命を変え地上を災いの種で満たしていく。 ファンタジイ界の女王による傑作シリーズ〈平たい地球〉第1作、待望の復刊。 ♪レビュー ファンタジー熱が再燃して表紙に魅かれて購入。 中々大人向けのファンタジーが見つからず、あまり期待していなかったのですが・・ これは中々良かったです。 勧善懲悪ではなく、人間の深い感情が相まって見事なストーリーになっていました。 煌びやかで怪しく切ないファンタジーです。
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美しい文章の本に出会うと、"言葉の紡ぎ糸"という言葉が頭に思い浮かぶ。 暗い魔力を秘めて光を放つ鉱物の煌めき、星々の蒼ざめた煌めき、そんなもの達を撚り合せて紡いだ宝石の糸を使って、丁寧に織られた織物のような、そんな印象を受けた。 人を惑わす美しい物の魔力か...
美しい文章の本に出会うと、"言葉の紡ぎ糸"という言葉が頭に思い浮かぶ。 暗い魔力を秘めて光を放つ鉱物の煌めき、星々の蒼ざめた煌めき、そんなもの達を撚り合せて紡いだ宝石の糸を使って、丁寧に織られた織物のような、そんな印象を受けた。 人を惑わす美しい物の魔力から、次々と受け継がれていく物語。 描写の巧みさ、言葉選びの美しさに、世界観に引き込まれ、最後は圧倒されて読み終えた。 物語を読んでいながら、格調高く貴重な宝飾品を 硝子の箱の外側からそっと眺めているような、不思議な気持ちにさせられた。
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『まだ世界が平らだったころ……』で始まる表4の冒頭が有名な『平たい地球』シリーズの第1作。 オムニバス短篇形式になっていて、個々の作品は緩やかに繋がっている。 きらびやかな文体は『薔薇の血潮』とも通じるものがあるが、解説に書かれているような『若い読者には少々とっつきにくい硬さがあ...
『まだ世界が平らだったころ……』で始まる表4の冒頭が有名な『平たい地球』シリーズの第1作。 オムニバス短篇形式になっていて、個々の作品は緩やかに繋がっている。 きらびやかな文体は『薔薇の血潮』とも通じるものがあるが、解説に書かれているような『若い読者には少々とっつきにくい硬さがある』とは思わなかったなぁ。硬軟どちらかに分けるのなら硬いとは思うが……つまり若くないってことかw
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