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闇の公子 の商品レビュー

4.1

30件のお客様レビュー

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2011/12/30

闇の公子、妖魔の王アズュラーンを中心にした連作短編です。 タイトルの通りですが、夜、闇、黒の魅力が詰まっています。 コトダマが宿っていると確信できるほどの訳文の美しさ。 大人のための夜の御伽噺です。 早川さん復刊してくれてありがとう!!

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2011/10/14

地の底に棲まう闇の公子であり、妖魔の王アズュラーンの物語。アズュラーンの男女共に魅了する妖しい魅力や、人々は大いなる存在である時に破滅へと導かれ、時に抗う描写が凄く、オムニバス形式で語られる闇の視点に重点を置いたこの世界の奥行きの深さを堪能しました。訳者あとがきで触れられている千...

地の底に棲まう闇の公子であり、妖魔の王アズュラーンの物語。アズュラーンの男女共に魅了する妖しい魅力や、人々は大いなる存在である時に破滅へと導かれ、時に抗う描写が凄く、オムニバス形式で語られる闇の視点に重点を置いたこの世界の奥行きの深さを堪能しました。訳者あとがきで触れられている千夜一夜物語を意識して書かれていることには言われて納得しました。そして終盤、人を弄ぶことを喜ぶからこそ人の真の滅びを嫌うという皮肉な構図とその決断が面白かったです。

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2011/07/27

千夜一夜物語を髣髴とさせる文章(実際、意識して書かれたようだ)。オムニバス形式で短編が続く。因みに、格調高いBLが1話入っているので苦手なら注意。 あとがきを見ると平らな地球というシリーズらしい。

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2010/09/08

 海外ファンタジー。  人間に甘美な罠を仕掛けて破滅させ、ときには愛でる、残虐な妖魔の貴公子・アズュラーン。  宝石に彩られた地底の美しい都を統べ、気まぐれに夜の地上を訪れては、人々を誘惑し、堕落させ、波乱を巻き起こして楽しむ公子。大勢の妖魔を従え、美しい地底の都を統べる彼に、こ...

 海外ファンタジー。  人間に甘美な罠を仕掛けて破滅させ、ときには愛でる、残虐な妖魔の貴公子・アズュラーン。  宝石に彩られた地底の美しい都を統べ、気まぐれに夜の地上を訪れては、人々を誘惑し、堕落させ、波乱を巻き起こして楽しむ公子。大勢の妖魔を従え、美しい地底の都を統べる彼に、この世界でたった一つ、恐れるものがあるとしたら……  ファンタジーのよさというよりも、おとぎ話のよさ、に近いかなあ。王道の、物語の典型を踏んだパターンと、悪の美学的な妖しさが、すとんとはまる感じで、読んでいて楽しかったです。  私はどちらかというとファンタジーの中でも、神々や精霊や魔物が云々というよりも、現実感のある世界を描いたものがスキなほうなのですが(といっても、人外のものが出てきたらイヤだという意味ではなくて、人間の生きている世界のほうをしっかり書いてあれば、あとはなんでもいいんです)、たまにはこういうのもいいなあーと思いました。  そしてラストが絶妙に美しくていい。様式美っていいな!

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2009/11/20

妖魔1人勝ちかと思いきや、人間もかなり頑張っていて、丁々発止な様子が面白い。とても綺麗な文章で驚いた。

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2009/10/07

読了:2009/03/22 子供の頃に読んだ完訳版のグリム童話を思い出した(残酷だったり、エロがあったり)。浅羽さんの翻訳が素晴らしい。

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2011/07/16

千夜一夜物語の文体とエロティシズム、作者も翻訳者もそれを意識したというとおり文章がやけに古色蒼然とした感じで非常に読み薦めづらいものがあったのだが、解説を読んでようやく納得。これは原文を読んだ翻訳者の方が物語の雰囲気を伝えるために意識的にそういう文章にしたのだという。地底に住み強...

千夜一夜物語の文体とエロティシズム、作者も翻訳者もそれを意識したというとおり文章がやけに古色蒼然とした感じで非常に読み薦めづらいものがあったのだが、解説を読んでようやく納得。これは原文を読んだ翻訳者の方が物語の雰囲気を伝えるために意識的にそういう文章にしたのだという。地底に住み強力な魔力と超越した美貌の妖魔の公子アズュラーン、人間を弄び陥れ喜びを感じていた闇の公子。彼によって滅ぼされたもの、引き裂かれた恋人、彼のたくらみに抗おうとするもの。闇の公子の蒔いた小さな種がもたらす苦悩の様は甘美で妖しく恐ろしい。なかなかに官能的な場面もあり、そんな時この文体は格調高くエロい。世界が滅びようとするとき、アズュラーンを恐怖させたこと、そして神々の取った態度、結末は以外であり感動的でもある。大人のための上質のファンタジーだった。できるなら、もう少しわかりやすい文章だったらと思うのだが。

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2009/10/04

祝☆再版。ワタシは最初の萩尾望都さんの挿絵の方を持ってるのですが、この“平たい地球シリーズ”大好きです。向こうでは続編が結構出ているようなのだけど、日本では中々訳されてないのが悲しいトコロ。しっかし、公子の名前言いずらい。未だにちゃんと発音しきれません。

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2009/10/04

 ある夜,闇の公子のひとりである妖魔の王アズュラーンは,興に任せて大いなる黒鷲の姿をとった。巨大な翼を羽搏いて東へ西へと飛翔した。北へ南へ,世界の四隅へ。その頃,世界は平らかで,混沌の海に浮かんでいたのだ。火花のごとく小さなランプを掲げて眼下を這いずる人間の行列を見,海の波頭が岩...

 ある夜,闇の公子のひとりである妖魔の王アズュラーンは,興に任せて大いなる黒鷲の姿をとった。巨大な翼を羽搏いて東へ西へと飛翔した。北へ南へ,世界の四隅へ。その頃,世界は平らかで,混沌の海に浮かんでいたのだ。火花のごとく小さなランプを掲げて眼下を這いずる人間の行列を見,海の波頭が岩浜に白花と砕けるのを見た。侮蔑と皮肉の眼差しと共に都々の高い石の望楼や塔門を飛び越え,ひと組の王と王妃が蜂の巣と鶉の珍味を楽しむあいだ,漕ぎ手らがオール相手に力をふりしぼっている,いずれの国かの高貴なガレー船の帆にほんの一瞬止まることもあれば,墨のごとき翼をとある神殿の屋根に休め,神々に関する人間の考えを声高に笑ったことも一度あった。 (本文p.15)

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2012/07/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 美男美女満載、エロスもあるよ、な大人の為のファンタジー。とにかく、文章が丹念で美しい!! 作者と訳者の素晴らしい仕事に敬服。特に終盤の太陽が上るシーンの描写は圧巻。  まるで人から人へ口伝に伝えられた神話のようなこの世界観を、たった三十年前に、たった一人の女性作家が創り出したということはほとんど信じられないような気さえする。  人間を弄びながら、人間なしでは生きていけない妖魔の王アズュラーン(どう発音すればいいのかしら)をはじめとして、魅力的なキャラクターに彩られた素敵な一冊。 原題:NIGHT'S MASTER

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