チャイルド44(下) の商品レビュー
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純粋に犯人追うだけではなく組織からも逃げなければならないという二重の枷が話を面白くしています。犯人は途中でうっすらわかってしまうのがちょっと惜しいですがそれが第三の枷となるのでどう展開するかハラハラしました。読み応えがあり良作。
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小説だと分かっていても、旧ソビエト時代の現実、KGBの実態は「そうだったのか」と思ってしまう。「狙われた狐」のチャウセスク時代のルーマニアの世界の次にこの小説を読んだのでより鋭く圧倒的に抵抗できない社会の恐怖を感じる。
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下巻は結構ジェットコースターでした。 事件を通して夫婦の絆は強くなり、事件も解決へ。 なんとも言えない事件だったねぇ。 残忍なのに子供のいたずらのような理由で。 今後の成り行きが気になる人が何人かいるけど、シリーズで続きがあるそうなので、そっちに出てくることを期待します。 ...
下巻は結構ジェットコースターでした。 事件を通して夫婦の絆は強くなり、事件も解決へ。 なんとも言えない事件だったねぇ。 残忍なのに子供のいたずらのような理由で。 今後の成り行きが気になる人が何人かいるけど、シリーズで続きがあるそうなので、そっちに出てくることを期待します。 2016.5.14
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書評がよかったので読んでみた。上巻ではロシアの状況に唖然とした。圧政下のなんて希薄な家族関係。下巻になって夫婦の絆、タフな脱走劇、謎の開示。実際の事件をモチーフにしているというが、このように収斂させるとは。
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この理想の国に犯罪は存在しない――共産主義下における建前が怖い。解説によると、この作品はロシアでは発禁書になっているとか……。ここまで極端ではなくても、どこかの国を思い起こしながら読んでいた。正しいことをしようとしているのに嵌められ、追い詰められていくレオとライーサだけど、ふたり...
この理想の国に犯罪は存在しない――共産主義下における建前が怖い。解説によると、この作品はロシアでは発禁書になっているとか……。ここまで極端ではなくても、どこかの国を思い起こしながら読んでいた。正しいことをしようとしているのに嵌められ、追い詰められていくレオとライーサだけど、ふたりで困難を乗り越えるうちに絆が芽生えていったこと、こんな抑圧された環境で良心に従い行動する国民がいたことが救いだった。あの冒頭の飢えた村のエピソードは、こう繋がるのかと驚きつつ、アンドレイが哀れだった。
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なんか結局それが目的だとしたら、無差別殺人鬼なんかじゃなくて、結局兄貴に会おうとしただけの弟ということになるのか?なんかがっかりな‥‥‥。まあ、でも常人ならそういう方法があったとしても実行しないだろうからやはりイカれていたのだろうな
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あれほどの緊張感でぐいぐい読ませたのに、最後のこの気の抜けるようなトントン拍子感は何だ? ・・・・そうはいっても、次回作もまた手にとるんだろうな~~
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最初「カビの胞子みたいなのがついた変な地図~」としか思ってなかったのが、殺人事件の現場都市だと結構後の方で気づいて「わー!!」ってなった。何にも書いてなかったのは不親切というかお楽しみなんだろうなこれ。あと自白剤の「お前の名前は?」の所でも「えーっ!???」って。でも上巻でステパン親爺が嫁を切り捨てろって断言しちゃったのに違和感あったのが、ああこの男がそうだったんだ~と思うと何か納得。一応手紙には葛藤があったみたいなんだけど。 下巻は上巻でばら撒かれてた断片を縫い合わせてアクション映画みたいな逃走劇。ただ派手な割にオチというか犯人との邂逅や、妻との恋愛感情の再生が説得力に欠けたのが残念。もっと会話と心理描写が要るよ。暗黒時代のライーサはよかったのに。抑えるのと不足するのは全然違うよ。 そして姪っ子ナージャの動向が微妙に気になる書き方。 続き物にしたいのだったら、強制収容所脱走からの~って感じの、裏切りにねじ曲がった新たなモンスター誕生になるんだろうか。 続編って大体第一作より落ちるしな。でもこれデビュー作だし、不自由な社会で奮闘する刑事レオの葛藤と家族愛みたいなのは見てみたい気もするし。どうしようやっぱり読まない後悔より読んで後悔だろうか。
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スターリン没前後のソ連。理想の国家のシナリオに沿わない事件、人間は全て無視され、どんな些細な事でさえ、体制への批判に関われば、全て有罪とされ強制労働か処刑。 体制への忠誠心を拠り所として働いていた国家保安省のエリート官僚レオは無実の男を逮捕し、処刑されるのを止められなかった。 ラ...
スターリン没前後のソ連。理想の国家のシナリオに沿わない事件、人間は全て無視され、どんな些細な事でさえ、体制への批判に関われば、全て有罪とされ強制労働か処刑。 体制への忠誠心を拠り所として働いていた国家保安省のエリート官僚レオは無実の男を逮捕し、処刑されるのを止められなかった。 ライバルに陥れられたレオは国内のあちこちで同じ手口で殺されている大量の子供の事件に気づき、独断で捜査し始める。捜査する事自体が体制への反逆となり、自らも追われる身となりながらも、信念を貫こうとする。 現実と理想の乖離を政府が認めないまま暴走し、それに対してひたすら目をつけられない事が生き延びる術の人民。善悪なんて無い。無実だろうが通りすがりだろうが疑われたら終わり。 映画化もされ、評価の高い本作。ロシアでは発禁だとか。 痛烈な体制批判に満ちて、過酷なロシアの冬の景色と共に、がっつりとインパクトがあります。
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ソ連の社会主義体制下における歪んだ司法制度が生んだ児童連続虐殺事件を描いている。ソ連における秘密警察機構を如実に表した作品であると同時に、ロシアでの発禁指定を受けたという本に興味を惹かれ迷わず購入。初めはソ連のベールに包まれた警察・司法制度に驚かされるが、ストーリーの緊張感が高まるにつれ(初めから緊張感はたっぷりだが)、ページをめくる手が止まらなくて大変困った。 国家保安省(KGBの前身)のエリート捜査官であるレオは国家に献身的に働いてきた。しかし、部下の策謀により彼のキャリアが崩壊した時に、国家の歪みと、それが作り出す社会の歪身に気付く。また、そして妻との間にあると思っていた「愛」の幻想も崩壊し、全てを失う。彼は左遷先で起きた児童の殺人事件の処理に疑問を抱き、独自に捜査を始める。しかし、社会主義を実現している理想国家では犯罪というものは存在しないという建前を持っているため、レオは国家権力から追われることになる。 この小説で一番目を惹くのが、「全」のために「個」を犠牲にさせられる恐ろしさ、盲目的な国家への忠誠によってその人間性を失う者たちであり、唖然とさせられる。「大いなる善のために」小さな犠牲として人間がまるで物のように処分される不条理を痛感させられる。これは単純に社会主義体制を批判しているものではなく、私たちの社会にも当てはまる、権力による「公共の利益」という免罪符の危険性を投げかけ、また、人間らしく生きるための国家の役割について考えさせるものだった。
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