オイスター・ボーイの憂鬱な死 の商品レビュー
『最悪にも、サンタはジェームズにテディー・ベアをプレゼントしてしまった/その年の始め、ジェームズがクマに噛まれたことも知らないで……』―『ジェームズ』 「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の、という修飾語で表現するのが判り易い映画監督の二冊目の絵本。テイストは映画にもなった前...
『最悪にも、サンタはジェームズにテディー・ベアをプレゼントしてしまった/その年の始め、ジェームズがクマに噛まれたことも知らないで……』―『ジェームズ』 「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の、という修飾語で表現するのが判り易い映画監督の二冊目の絵本。テイストは映画にもなった前作と同じようにちょっとグロテスクで、それでいてユーモラスなもの。 WiKiにも絵本とあるけれど、本書はマザーグースの詩のような言葉に、シンプルながらティム・バートン的特徴に溢れた絵が添えてある一冊という作品。絵からは「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」を当然連想するけれど、内容はむしろ「シザーハンズ」に近い、と言ったら判り易いか。買った訳ではない。図書館の放出本を拾ってきたもの。 表面にこそ二十余年のくすみが溜まってはいるものの、ほとんど開かれた痕跡の無い装丁。図書館の本にありがちな手垢の全くない裁断面。ティム・バートンが記したナーサリーライムのように、それがちょっと悲しげ。 歌われるのは皆から疎まれる子供たちのこと。ちょっと他の子と違ったところがある。それがいじめの対象となる。そんな社会派的なメッセージをティム・バートンが果たして込めていたのかは判らないけれど、彼もまた生き辛い少年時代を過ごした経験があるのだろうなぁ、きっと。まあ、そんな硬派な意図というより、弱いものの立場からの自虐的な皮肉、という感じなのかなとは思うけれど。 Stick Boy liked Match Girl, he liked her a lot. He liked her cute figure, he thought she was hot. But could a flame ever burn for a match and a stick? It did quite literally; he burned up pretty quick. - Stick Boy and Match Girl in Love これは、本書の最初に置かれた「スティック・ボーイとマッチ・ガールの恋」という詩。マザーグースの謎かけみたいに、Stick(くっつく)とStick(杖)、(Match(つり合う)とMatch((火を熾す)マッチ)を掛けたり、Match GirlをHotと言ったり、二人の恋は燃え上がるのか(その後で「文字通り(燃えた)」とも)と言ったり、この一片は言葉遊び的な要素に溢れているけど、これ以外はもっとしんみりとしたものばかり。原題にある「Melancholy」は確かに邦題の「憂鬱」という意味だけど「もの悲しい」というニュアンスもあるね(原題は、THE MELANCHOLY DEATH OF OYSTER BOY & OTHER STORIES)。巻末に収められた原文も是非ご一読あれ。
Posted by
書店で偶然見かけて一目惚れ買い。 やがて部屋の整理で処分したものの、ふと思い出して数年後に再び入手するという不思議な魅力のある絵本。 死と憂鬱と不条理で不当な扱いに包まれているが、何故かそれは不幸ではなく、愛に包まれている。 シュールでブラックな大人の短編集。 ティム・バートン作...
書店で偶然見かけて一目惚れ買い。 やがて部屋の整理で処分したものの、ふと思い出して数年後に再び入手するという不思議な魅力のある絵本。 死と憂鬱と不条理で不当な扱いに包まれているが、何故かそれは不幸ではなく、愛に包まれている。 シュールでブラックな大人の短編集。 ティム・バートン作。
Posted by
この作品は小説というよりも絵本という感じ。 The ティム・バートンという絵と文章であるので、ティム・バートン監督の映画が好きな人にはおすすめ。 不思議で不憫でどこか可愛げもある子供たちの短編集であった。
Posted by
嫌われ、遠ざけられ、排除される異形の者たち。 しかし、その姿形だからこそゾッとするような美しさを見せるのではないだろうか。 それが詭弁だとしても。 だとしても、私は異形への愛にいつも泣いてしまうのだ。
Posted by
CONTENTS スティック・ボーイとマッチ・ガールの恋 ロボット・ボーイ じーっと見つめる女の子 両眼に釘がささった男の子 たくさん眼のある女の子 ステインボーイ オイスター・ボーイの憂鬱な死 ヴードゥー・ガール ステインボーイの特別なクリスマス ベッドに変身した女の子 有毒少...
CONTENTS スティック・ボーイとマッチ・ガールの恋 ロボット・ボーイ じーっと見つめる女の子 両眼に釘がささった男の子 たくさん眼のある女の子 ステインボーイ オイスター・ボーイの憂鬱な死 ヴードゥー・ガール ステインボーイの特別なクリスマス ベッドに変身した女の子 有毒少年ロイ ジェームズ スティック・ボーイのクリスマス まんまるチーズ坊や ミイラ少年 ガラクタ・ガール 針やま女王 メロンヘッド スー ジミー、みにくいペンギンのこ 黒焦げ少年 いかりの赤ん坊 オイスター・ボーイのおでかけ
Posted by
とらわれない視線で眺めれば伝わるものがあるように思う。偏見や囚われのバイアスがかかるとたちまち閉ざされてしまう感じがする。そういったものをあまり露悪的に過ぎず描いている。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
はてさて、この本のジャンルは何になるのだろう? 絵本?詩集? とにもかくにも奇妙なお話集。 生まれつき「普通でない」姿形の子供たち。 その不幸で数奇な短い人生。 悲しいようであり楽しいようであり、読んでる自分の感情がよくわからなくなる奇妙な本。 ティム・バートン展に行った時から非常に気になっていたのだがようやく読めた。 そして購入して正解だった。 精神が不安定になる良い本。 クセになりそうだ。
Posted by
ティムバートンの世界です。 だけど映画より自由な気がする。 理由とか話の筋とかどーでもいいのです。 だけどオイスターボーイはかわいそうかな… トキシックボーイの死に様に泣きました。
Posted by
ティムバートンによる絵本。 原作は読んでませんが、内容がページ末尾に歌詞カードみたいにオリジナルの文章が載ってるので、原作無くても内容はわかります。本文は翻訳の形式でいいって人はこれ1冊でいいと思う。 絵本だけど子供向けではありません。 悲惨なキャラクターたち。 憂鬱に浸るだ...
ティムバートンによる絵本。 原作は読んでませんが、内容がページ末尾に歌詞カードみたいにオリジナルの文章が載ってるので、原作無くても内容はわかります。本文は翻訳の形式でいいって人はこれ1冊でいいと思う。 絵本だけど子供向けではありません。 悲惨なキャラクターたち。 憂鬱に浸るだけで、救いはありません。(笑)
Posted by
「せつない」気持ちを感じたいときにひらく本。最近のティム・バートンから薄れつつある、リリカルなダークネスが閉じ込められた一冊。
Posted by