名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 の商品レビュー
650年あまりもヨーロッパの中心勢力を保ち続けたこの一族の栄華と終焉を12人の画家の描いた絵を元にひもとく。ハプスブルク家と聞いて思い出すのは神聖ローマ帝国とマリー・アントワネットくらいの無知な自分を恥じつつ読了。うむ、世界史をも一度学びなおすかのぉ。
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文章がいい。まるで講談を聞いているかのようなリズム。主観と客観のバランスも絶妙。ハプスブルク家がテーマとあっておもしろいには決まっているが、これだけドラマティックに語れる人はそういないだろうと思う。 本書の絵画の中からもっとも印象に残ったものを一点あげれば、『カルロス2世』。奇矯...
文章がいい。まるで講談を聞いているかのようなリズム。主観と客観のバランスも絶妙。ハプスブルク家がテーマとあっておもしろいには決まっているが、これだけドラマティックに語れる人はそういないだろうと思う。 本書の絵画の中からもっとも印象に残ったものを一点あげれば、『カルロス2世』。奇矯さをさらしているようなその姿。極端な近親婚の果てに産まれた、スペイン・ハプスブルク家最後の王である。ちなみにマコーレー・カルキン少年(もう少年じゃないだろうけど)に面差しが似ている。
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『狂女フアナ』『エリザベート皇后』がよかった 絵が美しい。構図がすばらしいということは、今更言うまでもなく、 描かれている人物や、舞台を読み解くとさらに興味深い
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人気の中野女史の「名画を読み解く」関連本のうち、ハプスブルク家の肖像画限定にした軽い読み物。所謂絵解き、絵の中に描かれたものから立体的にストーリーを起ち上らせていく、というよりは。西洋史を大ざっぱにハプスブルク家という縦糸に沿って語る中で、各時代の当主の顔を肖像画で紹介した、とい...
人気の中野女史の「名画を読み解く」関連本のうち、ハプスブルク家の肖像画限定にした軽い読み物。所謂絵解き、絵の中に描かれたものから立体的にストーリーを起ち上らせていく、というよりは。西洋史を大ざっぱにハプスブルク家という縦糸に沿って語る中で、各時代の当主の顔を肖像画で紹介した、という感じ。新書では、これだけ盛りだくさんの人物たちについて、それぞれを語る前にバックグラウンドを周知させるだけで紙数が尽きてしまうのだろう。 歴史は人間の動き、それぞれの関係を把握すると理解しやすいし、その人間について顔を知っていると親近感が得やすい。 目次に出てくる人名だけならなんとなく覚えた記憶があるという位の、西洋史が苦手だった大人たちにオススメの一冊。
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昔世界史を選択していて、 まぁ世界史の先生が裏話とか豊富な先生だったので、すごくわかりやすかったのだけど、 欧州王族の誰がどこを兼任していて、名前がどのように変わって、「世」も国によって変わってきて、ってもう、裏話が豊富だろうがなんだろうが、本人でも分かってなさそうなあのぐっ...
昔世界史を選択していて、 まぁ世界史の先生が裏話とか豊富な先生だったので、すごくわかりやすかったのだけど、 欧州王族の誰がどこを兼任していて、名前がどのように変わって、「世」も国によって変わってきて、ってもう、裏話が豊富だろうがなんだろうが、本人でも分かってなさそうなあのぐっちゃんぐっちゃんっぷりは、脳みその若さを頼りに暗記するしか術がなかった。 あぁ、でも私はやっぱ「絵」で覚えてた。 「ヘンリー8世。あぁ、あのいかちぃイギリスオヤジか。」とか、 「フェリペ2世。あぁ、あの黒い甲冑のあご男子か。」とか。 まぁ、そんな過去もありで、 振り返って整理して、しかも絵の解説メインで説明してくれると、 分かりやすくて楽しいのな。 雲の上のような存在であろう人も、人としての情動で突き動かされてしまう愚かしさだったり、それにともなう親しみだったり、 それを如実に表している「絵」って、(まぁ作者の主観もありなのを差し引いたとて)素晴らしいよ。その絵を描く作者が素晴らしいのは言うまでもなく、やっぱり「絵」という手段は絶対に他にとって変えられるようなものじゃない。 時代を超え、国を超え、はるか遠い昔の戯言のようなお話も、何よりも真実味を持って裏づけてくれるような説得力と言うかね。 わたしは、3流もいいとこですが絵を描きます。そのことに、「今」はどんな意味があるのか。絵画と言うものの素晴らしさを再認識させてくれたことともに、「現在」を考えたいと思いました。
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こちらもやっぱり面白かった! 取り上げている絵画は、『怖い絵』シリーズと被るのが多いですし、『ラス・メニーナス』は著者が大好きな絵なのか、3回目です。それでも全然飽きる事なく、楽しく読みました。 同じ絵について同じ著者が同じ意味の説明をしているのに、ちょっとの言い回しの違い...
こちらもやっぱり面白かった! 取り上げている絵画は、『怖い絵』シリーズと被るのが多いですし、『ラス・メニーナス』は著者が大好きな絵なのか、3回目です。それでも全然飽きる事なく、楽しく読みました。 同じ絵について同じ著者が同じ意味の説明をしているのに、ちょっとの言い回しの違いで、大分受ける印象が違い、言葉とはつくづく面白いなぁと思ったのですが、そういう事も、飽きずに読めた理由でしょうか。 この著者は、人物描写が巧いなと思います。本人が言ったとされる言葉はほんの少ししか紹介されていないのに、その人物がどのような様子だったのか、目に浮かぶようでした。
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12点の有名絵画を通してハプスブルクの歴史を追っていきます。 文章がくだけて読みやすい分作者の主観も目立ちますが、紹介されている絵画意外にも人物画などもカラーで載っているので解説や歴史を読むときに人物の顔が分かるのが良かったです。 『ラス・メニーナス』などは美術の教科書では判らな...
12点の有名絵画を通してハプスブルクの歴史を追っていきます。 文章がくだけて読みやすい分作者の主観も目立ちますが、紹介されている絵画意外にも人物画などもカラーで載っているので解説や歴史を読むときに人物の顔が分かるのが良かったです。 『ラス・メニーナス』などは美術の教科書では判らない部分も知れて面白かったです。
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「ハプスブルグ家展」をきっかけに購入してみました。 絵画のモデルとなっている人物の人と成り、取り巻く環境や国々との関係、そして作者についての物語的紹介。ハプスブルグ家という一族が栄枯盛衰していく様が流れるように書かれており、とても読みやすかったです。 絵画芸術への入り口として、丁...
「ハプスブルグ家展」をきっかけに購入してみました。 絵画のモデルとなっている人物の人と成り、取り巻く環境や国々との関係、そして作者についての物語的紹介。ハプスブルグ家という一族が栄枯盛衰していく様が流れるように書かれており、とても読みやすかったです。 絵画芸術への入り口として、丁度良い本ではないかと思います。
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名画で有名な人物を追っていくので、わかりやすい。 画家はデューラー、ティツィアーノ、エル・グレコ、ベラスケス、マネなど。 ハプスブルグ家って何? 神聖ローマ帝国って…??とわからなくなってきたために読んでみました。 かいつまんで整理されているので、助かりました。 そもそもはスイス...
名画で有名な人物を追っていくので、わかりやすい。 画家はデューラー、ティツィアーノ、エル・グレコ、ベラスケス、マネなど。 ハプスブルグ家って何? 神聖ローマ帝国って…??とわからなくなってきたために読んでみました。 かいつまんで整理されているので、助かりました。 そもそもはスイスの小豪族。伯爵と名乗っていたのが、13世紀にルドルフが神聖ローマ帝国皇帝に。 合議制で決まる物なので、大物が牽制しあったために、御しやすいと思われたのか、称号が転がり込んでくる。 古代ローマ帝国の再興を目指して、ロ-マ教皇の公認を得る名誉職。 帝国領土がついて来るという地位ではなく、そちらは年代によってかなり違うというか、実力次第。 ドイツ神聖ローマ帝国と名乗った時期があるように、ドイツと北イタリアが主だったんですね。 スペインのフェリペ2世もハプスブルグ家。これはスペインの継承権を持つ祖母のフアナがハプスブルグ家のフィリップ美公と結婚したから。 フアナの息子でフェリペの父カール5世がスペイン王カルロス1世でもある。これは覚えがありますよね。このあたりで世界史が嫌いになった人もいるのではというのがおかしい。 カルロス1世は敬虔な人で、狂女王として幽閉されたままだった母のフアナに思いがあったのか母が75歳で死んだ翌年に自分が引退、後の始末もキッチリつけるのです。ここでオーストリアとスペインがまた分かれるのですね。 スペインは広大な植民地を要していた時代。 フェリペは美男美女の孫だったのね。しかし、この家系は近親婚を繰り返しすぎて、滅んでしまいます。伯父姪婚はちょっとなあ‥ 王妃マリー・アントワネットも実家のオーストリアがハプスブルグ家、そう考えると‥ 皇妃エリザベートは嫁ぎ先がハプスブルグ家。 19世紀ドイツのフリードリヒ王の変わりものっぷりも凄い。 ナポレオンの正妃となったマリー・ルイーズもハプスブルグ家出身。マリー・アントワネットが大叔母に当たるのね。 マリー・ルイーズも数奇な人生。 エリザベートの姑ゾフィがマリー・ルイーズの生んだナポレオンの息子ローマ王と親しく、次男の出生が疑われていたとは。 その次男マクシミリアンはメキシコ皇帝に担ぎ出されて悲運を見るわけですが、ナポレオン3世に利用されたんですね。奇しき因縁‥
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[図書館] 読了:2010/6/3 「怖い絵」が面白かったので借りてみた。こちらも劣らず面白い。 ・「フアナ・ラ・ロカ(狂女フアナ)」 一番惹かれた絵画。本物を見てみたいものだ。絵に対する作者の描写が的確かつ想像力を喚起させるもので、素晴らしい。 ・「ライヒシュタット伯」...
[図書館] 読了:2010/6/3 「怖い絵」が面白かったので借りてみた。こちらも劣らず面白い。 ・「フアナ・ラ・ロカ(狂女フアナ)」 一番惹かれた絵画。本物を見てみたいものだ。絵に対する作者の描写が的確かつ想像力を喚起させるもので、素晴らしい。 ・「ライヒシュタット伯」 ナポレオンといえば妻はジョゼフィーヌだけと思っていたので、こんな眉目秀麗で優秀な息子がいたとは。実母のマリー・ルイーズは自己愛性人格障害としか思えない… ・エリーザベト皇后 誰もが認める美女。でも、ヴィンターハルターのあの有名な肖像画にそこはかとなく感じる暗澹さを、この本の解説が見事に描写してくれていた。マリー・ルイーズみたいに、この人も人間的にはあまり魅力を感じない…子どもをほとんど見捨ててるからかな。
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