獣の戯れ の商品レビュー
タイトルよりもむしろ…
タイトルよりもむしろ心理描写とかわった人間関係を楽しむ小説と思います。
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夫と妻と妻の愛人の三…
夫と妻と妻の愛人の三角関係です。三島ならではのドロドロな設定です。しかも「私たち三人は本当に仲良しだった」らしい。私には全く理解できない世界でした。
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幾つか読んでいたミシマものでは、これ、初読。 題名からして、TVドラマの脚本的筋書きかと思ったら、確かにその線だが、かなり哲学的に捻った展開の作品だった。 特に、会話に用いられる言葉。執筆は1966年ながら、およそ、その当時とは思えない大時代が買った雰囲気に仕上がっている。 解...
幾つか読んでいたミシマものでは、これ、初読。 題名からして、TVドラマの脚本的筋書きかと思ったら、確かにその線だが、かなり哲学的に捻った展開の作品だった。 特に、会話に用いられる言葉。執筆は1966年ながら、およそ、その当時とは思えない大時代が買った雰囲気に仕上がっている。 解説によれば「ミラノ スカラ座でみたオペラ フィデリオ! 暗闇の中で繰り広げられる荘厳な官能的な歓喜を見た後、一睡もできなかった挙句、興奮のほてりで構想が細部まで浮かんだとある・・流石!常人ならぬ天才肌だけのことはあると思う一文。 筋そのものは実に低レベルながら、獣ら3人の男女が異様な行動と思惟の下に繰り広げていく展開。 被害者と障碍者、間に存する浮遊するようなおんな。 特に不気味というか正体に靄がかかっている逸平。澁澤龍彦や江戸川乱歩をちらっと想起した。 最期に並んだ墓碑銘3本は・・もはやホラー
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少し昔な情景や心情のレトロでお洒落な描写がとても良かった。哲学的な日本語の使い方が現代には無い雰囲気を醸し出しててよかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
すごく不思議な、なんともいえない読了感に包まれて、一夜明けました小説でした…笑 三島作品の中では、私的には結構異色の方で、なんとも形容しがたい。『獣の戯れ』というタイトルと、本の裏表紙にあるあらすじからとは、およそ想像できない不思議な浮遊感を持つ一作だった。うーん、ん?という気持ちで田中美代子大先生の(先生の解説はいつも安心感があって、澁澤龍彦などとも並んで好きな三島解説である)解説を読んで、そうそうそうそうとなった。こんなに解説に「君は一人じゃない」と励まされたことはないかもしれない笑。この解説を無名で29歳の女性に任せた三島由紀夫も、その期待に応えて書き上げた田中美代子も、本当に尊敬してしまう… まずはその解説から。私の読了感すべて綺麗に言語化されているのだもんな。。 「音楽や絵画を解説しても何物も伝えたことにならないと同様に、小説の世界をいかに解説しようとしても、それは無駄な骨折りである。…作品の梗概・背景・思想…それらが一体何を伝えたことになるだろうか。文学は文体(フォルム)によってしか伝達され得ない、というのが『獣の戯れ』の作者の頑固な信念なのであって、作品はあらゆる夾雑物の介入を許さない。作品自体が唯一の解答である。読者はよろしく文体の魅力を味われるがよい。はじめから、何故こんな邪慳なものいいをしなければならないか、というと、何よりもこの小説自体がそれを主張してやまないからである…」 三島由紀夫、こんな小説の解説指名するなんて無茶ぶりじゃん!という気持ちも、見えてくる笑 三島由紀夫作品は特にこの感想が引用になってしまうのはこういうことなのだよ…という気持ちもある。 さてそんなフォルムの世界からいくつか。 …スパナはただそこに落ちていたのではなく、この世界への突然の物象の顕現だった。…何か云いようのない物質が仮りにスパナに化けていたのにちがいない。本来決してここにあるべきでなかった物質、この世の秩序の外にあって時折その秩序を根柢からくつがえすために突然顕現する物質、純粋なうちにも純粋な物質、…そういうものがきっとスパナに化けていたのだ。われわれはふだん意志とは無形のものだと考えている。…しかしわれわれの意志ではなくて、「何か」の意志と呼ぶべきものがあるとすれば、それが物象として現れてもふしぎはないのだ。(p.47) これは典型的な悲劇の要素がある そして解説にある、 「…作者は一つの解決策を提示しているのだ。私たちは、根源の生命の秘密ーー死の願望ーーによって、つまり沈黙によって、連帯を回復し得るだろう、と。作者は、そしてこの理解のための言葉を失った人間たちを、清潔な比喩で「獣」と呼ぶのである…」 を読んだ時、<死によって結ばれた愛の共同体>の姿がよく見えるようになった。『金閣寺』も連想しつつ、鏡花の作品をいくつか思い出した。 晩夏の寂しい晴れた日に、また読み直したいと思う。
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三島作品は好きでよく読むのだが、この作品は「文学」性が強く、なかなか理解するのに難儀した。まず設定からいって特異で、よくある男女関係、三角関係を描いた作品なのだが、うち1人が障碍犯、1人がその被害者と聞けばどうであろうか。これだけでも一筋縄ではゆかない作品であることがよくわかるは...
三島作品は好きでよく読むのだが、この作品は「文学」性が強く、なかなか理解するのに難儀した。まず設定からいって特異で、よくある男女関係、三角関係を描いた作品なのだが、うち1人が障碍犯、1人がその被害者と聞けばどうであろうか。これだけでも一筋縄ではゆかない作品であることがよくわかるはず。ただ、「解説」で田中美代子が述べているように、本作は小難しい理窟など考えずに、ただありのまま読むのが正解なのかもしれない。本作が描き出す世界は何かのメタファーであり、何かのメタファーではないのだ。
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考えないといけないところがたくさんありすぎて、もうわけがわからなかった。 離れなくても離れられない奇妙な三人。こんな不思議なものをなんの違和感なく読ませるなんて。
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面白かった~~~~~!! きみちゃん可哀想だった。 「彼女はあの汚辱の記憶を、相手にはそれと知らせずに、多くの男と頒とうとしたのだろう」 っていうのがなんか、きっと、わかんないけど、 自分がされたことを誰かに話してしまったら、 同情されたり、憤慨されたり、好奇の目で見られたりし...
面白かった~~~~~!! きみちゃん可哀想だった。 「彼女はあの汚辱の記憶を、相手にはそれと知らせずに、多くの男と頒とうとしたのだろう」 っていうのがなんか、きっと、わかんないけど、 自分がされたことを誰かに話してしまったら、 同情されたり、憤慨されたり、好奇の目で見られたりしちゃうから、 何も言わずに、少しずつそうやって自分の毒を人に託して、 たったひとりで自分を癒そうとしてたのかなって思った。 夏の伊豆半島綺麗だった。
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他の作品よりも心理的に複雑であった為に、バスの中で細切れに読んでしまい集中出来ませんでしたが、読み進めました。印象に残ったのは幸二が逸平に迫るシーンです。 蜘蛛のように糸を巡らし、獲物を絡めとろうとするのではなく自分が空虚である事を紡ぎ出さない。。ここが魅力的な主張だと思いました...
他の作品よりも心理的に複雑であった為に、バスの中で細切れに読んでしまい集中出来ませんでしたが、読み進めました。印象に残ったのは幸二が逸平に迫るシーンです。 蜘蛛のように糸を巡らし、獲物を絡めとろうとするのではなく自分が空虚である事を紡ぎ出さない。。ここが魅力的な主張だと思いました。逸平の性格、キャラクターを幸二が語ろうとしています。それが真実であるか否かは重要視せずに幸二と優子がどうして悲劇的な顛末に吸い上げられたのか、筆者の筆力で自由に表現されているのです。逸平の存在自体が無くなる事でしか優子と結ばれないと思った幸二の心理を文章によって読者を説得させていると思いました。ただ、壮大な物語とは捉え難く、悲劇にしろ何にせよ読者の心を吸いこむという点では構成力が足りなかった様な気がします。思い返す時にあらゆるシーンが頭の中に一気に浮かんでしまうという形です。
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銀座にある西洋陶器店でアルバイトをする大学生の幸二は、店主の逸平から、「決して嫉妬しない妻の優子を嫉妬させるために、情事に忙しい」と打ち明けられる。その時以来、優子に同情し、愛するようになった幸二は、夫婦間の失われた愛の復活を願って、優子を逸平の浮気の現場に連れて行くが…。それか...
銀座にある西洋陶器店でアルバイトをする大学生の幸二は、店主の逸平から、「決して嫉妬しない妻の優子を嫉妬させるために、情事に忙しい」と打ち明けられる。その時以来、優子に同情し、愛するようになった幸二は、夫婦間の失われた愛の復活を願って、優子を逸平の浮気の現場に連れて行くが…。それから二年、幸二が再会した逸平は、かつての「伊達男」の面影をすっかり失っていた。 西伊豆の小さな漁村で新たに展開する〈愛(エロス)〉という狂気の形。
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