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顔のない裸体たち の商品レビュー

3.2

42件のお客様レビュー

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2018/01/04

ふつうに読み始めたら思いっきり性描写強くてびっくりした。でもそういう読み物ではない。平野さんの分人という考え方が散りばめられていて、違う人格だからこそできてしまうことってあるな、と納得。 そして、顔のない裸体って、誰なのか。いろいろと考える。

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2017/09/24

刺激的な描写もあるが、心理描写などの文章力が高いので勉強になる。ネット上と、自分自身の乖離、どちらが本当かなど考えさせられる。

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2020/02/26

こちら側とあちら側の「私」。共存しつつもその線引きがわからなくなった男と、分けて生きたい女の話。誰しもにある二面性がうまいこと表現されている。分人主義の、はじまり。

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2017/04/17

『私とは何か――「個人」から「分人」へ』を読み、この本を手に取ったが、内容がハード。それでも平野さんはやはり凄いと思わせた一冊。

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2016/11/23

平野さんの分人主義を表現した小説だという。ネット社会とセクシュアリティの問題を題材にもしている。ということで読んだ。実験的な感じかな。 Amazonの書評を読むと「分人」への言及がほぼなかったのに対して、ブクログの書評では「分人」へ言及している人の割合が相当数いる。Amazon...

平野さんの分人主義を表現した小説だという。ネット社会とセクシュアリティの問題を題材にもしている。ということで読んだ。実験的な感じかな。 Amazonの書評を読むと「分人」への言及がほぼなかったのに対して、ブクログの書評では「分人」へ言及している人の割合が相当数いる。Amazonブックレビューとブクログのレビュワーの層の違いがこの辺に反映されていたりするのかもしれないな。 『私とは何か――「個人」から「分人」へ』 http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4062881721

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2016/04/09

平野先生の作品は 決壊 → ドーン → 空白を満たしなさい → 本の読み方 → 葬送 → 透明な迷宮 → かたちだけの愛 の順番で読んできて、今この作品に至った。 この順番で良かったかもしれない。 平野文学は自分が今まで経験したことのない程の、 とてつもない文章力で、読んでい...

平野先生の作品は 決壊 → ドーン → 空白を満たしなさい → 本の読み方 → 葬送 → 透明な迷宮 → かたちだけの愛 の順番で読んできて、今この作品に至った。 この順番で良かったかもしれない。 平野文学は自分が今まで経験したことのない程の、 とてつもない文章力で、読んでいて一文、一文に溜息が漏れる程。 この作品は女性には少し受け入れにくい内容がテーマになっている。 思わず顔を背けたくなるような描写も多い。 これを平野作品の一番最初に読んでしまったら 別の作品を読まなくなってしまっていたかもしれない。 自分が手に取った一番最初の作品が「決壊」で良かった。 しかし、皆さまの評価同様、平野先生の表現力は何を書いても 平野文学になってしまう。 このような難しいテーマでも十分に魅せられてしまう表現力に圧巻。 そして、登場人物それぞれの心理描写も巧みで、 読み終わって暫くは放心状態に陥ってしまう。

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2013/12/27

平野啓一郎は初めて読みましたが、文章力の凄い作家だなあ、と感じた。 エロス一辺倒になってしまうようなテーマでありながら、人間の内面を心に迫る文章で描いていて、結構下品な表現もありながら、エロスよりも二人の人間の心理描写が印象に残った。

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2013/11/22

いまいち。 事件の種類が違えど、社会に適応できない主人公とそれを取り巻きややもするとそれを助長させる環境や社会、というテーマは決壊とかぶるし、決壊より後に出ているのに比較にならないくらいしょぼい内容だし、別にって感じだった。 普段見ることのできない変態の世界が見えた、という意味で...

いまいち。 事件の種類が違えど、社会に適応できない主人公とそれを取り巻きややもするとそれを助長させる環境や社会、というテーマは決壊とかぶるし、決壊より後に出ているのに比較にならないくらいしょぼい内容だし、別にって感じだった。 普段見ることのできない変態の世界が見えた、という意味で好奇心が満たされたくらいかな。

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2013/08/08

作家、平野啓一郎氏が描くネット社会の齎す『闇』を取り扱った小説です。地方の中学教師・吉田希美子と歪んだ女性観を持つ地方公務員・片原盈。出会い系サイトを介して二人が出会った先にあるものは…。 芥川賞作家、平野啓一郎氏が『現代』と『性』をテーマに描いた衝撃的な作品です。最初にこれを...

作家、平野啓一郎氏が描くネット社会の齎す『闇』を取り扱った小説です。地方の中学教師・吉田希美子と歪んだ女性観を持つ地方公務員・片原盈。出会い系サイトを介して二人が出会った先にあるものは…。 芥川賞作家、平野啓一郎氏が『現代』と『性』をテーマに描いた衝撃的な作品です。最初にこれを読み終えたときはあまりのショックでしばらくの間考え込んでしまいました。もともと、このようなテーマで平野氏が執筆を考えたのは、伝え聞いたところによると平野氏があるときネットサーフィンをしていて、偶然、いわゆる『露出プレイ』をしている人たち向けの専門サイトで「そのテ」の写真を見たことに端を発するのだそうです。 物語は二人の主人公によって進められていきます。どこにでもいるような生育暦を経て中学校の社会科教師となり、滋賀県の中学校で教鞭をとる吉田希美子の物語からスタートします。彼女は生徒の実態調査から『出会い系サイト』に「ミッキー」というハンドルネームを持ち、出入りするようになります。彼女の存在そのものが『欲望』の対象として見られるということにある種の『恍惚感』を感じつつある彼女は、地元の市役所に勤める陰気で歪んだ女性観を持った独身公務員・片原盈(みつる)でした。 彼の生育暦や女性観に関しては具体的な描写が記されているのですが、あまりにあまりな内容ですので、ここではあえて記さないことにします。出会った二人は居酒屋でおざなりの会話を交わしたあとで、ラブホテルに行き、関係を持つことになります。それから、彼等二人のものすごく倒錯した心身のやり取りと、吉田希美子が中学校の教師として営む日常の『水と油』のように決して交わらない『二つ』の世界が続いていくのです。『行為』のどこまでも倒錯した世界は書き方によってはどこまでも下品に書くことが出来るのですが、そこをあえて行わず、本書が文学作品たらしめているのは、平野氏の持つ硬質な文体のなせる業であり、これがなければ単なる『変態カップル』の顛末というだけになっていたでしょう。 エスカレートした二人はあらゆる『行為』を映像に、画像に収めていくようになっていきます。ある日、吉田希美子が投稿サイトに《ミッキー&ミッチー》として投稿された顔を消された自分の裸体が大量に溢れているのを目にするのです。思えばここから先が『賽が投げられた』瞬間だったのでしょう。『野外露出』や『野外プレイ』にエスカレートしていく吉田と片原。そして、ある日、学校に憎悪を持つ片原が『行為』に選んだところが自身の卒業した母校でありました、『真っ最中』に見つかった二人。捕まえようとした教師をサヴァイバルナイフで切りつけ、刺し。最後に取り押さえられる片原。何も出来ずにただおろおろする吉田希美子。崩壊へのカタルシスと、これが事件化され、二人の『行為』がマスメディアを通して世の中に晒される、というところで物語は終わります。 本書を読み終えて、まず思ったことは、平野氏の唱える『分人』という考え方で、(この段階では言葉そのものはない)平野氏いわく「すべての分人を統合するのは『顔』である」という言葉から考えると『ミッキー』という片原盈の前で痴態を曝す分人と、中学教師・吉田希美子という分人は『モザイク』によって分断されていたのですが、事件化されてモザイクで隔てられた『分人』が統合され、『ミッキー』と『吉田希美子』という『水と油』だったものが『ひとつ』になってしまった…。そんなところに彼女の『悲劇』があるのではなかろうか…。読み終えた後にそんなことを考える自分がいるのでした。

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2013/06/12

地方に住む地味な女教師が出会い系サイトで 陰気で偏執的な性癖をもつ男性とセフレ関係になる。 彼の要求は徐々にエスカレートしていき、 ある日、行為を撮影させろと言い出す。 個人を規定する要素が多層化する社会で、 本名や職業、居住地といったデモグラフィックやソーシャルな属性が消失し...

地方に住む地味な女教師が出会い系サイトで 陰気で偏執的な性癖をもつ男性とセフレ関係になる。 彼の要求は徐々にエスカレートしていき、 ある日、行為を撮影させろと言い出す。 個人を規定する要素が多層化する社会で、 本名や職業、居住地といったデモグラフィックやソーシャルな属性が消失し、 さらには衣服や倫理観、性癖といった極パーソナルな属性までも剥ぎとられ、 その上、顔にモザイクをかけられた全裸写真や性交動画がネットで公開された時、 「個」として残るものは何か。 かなり生々しくエグい性描写が続くが、 本質は後の分人思想に連なる「本当の自分とは何か」にある。 このテーマ性を表現するために、 これら個を成立せしめる要件がひとつひとつ取り除かれ、 文字通りむき出しの「個」が晒されていくという、 全編を通じてかなり観念的な世界が提起されている。 なので、そこを読み違えると完全にただの官能小説。 筆力が半端ないので、エロスムードも満載。 物語性や人間の辛苦といった、 いわゆるイメージ通りの文学作品を期待して読むと ずいぶんと違和感を感じる羽目になると思う。

Posted byブクログ