出世花 の商品レビュー
「おくりびと」を観てないのもあり、新鮮で読みごたえがあった。 人との繋がりや命をあたたかく感じられる。
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江戸時代の暮らしぶりが湯灌の仕事を通して描かれる。“落合蛍”など読みながら涙が落ちる。正真を始め、厳しくも優しい人たちに見守られる様子に心が温かくなる。
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これは面白い! マンガ原作者だけあり、登場人物の視点が安定しなくて「これ誰の視点だっけ?」と戸惑うところがあるのだけれど、縁と登場人物たちの情感が豊かで、読後がさわやか。 マンガも同じ題材でかいているらしいので読んでみたいなーと。
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火葬が普及し始めた江戸の世、亡くなった人々の体を、焼き場にもちこむ前に湯灌をし、身奇麗にしてから棺に入れる。菩提寺には出家したお坊さんたちのほかに、そういう仕事に携わる、毛坊主と呼ばれる人たちがいる。 主人公の少女・縁の父親は、妻敵討ち(妻と駆け落ちした間男を追って討つこと...
火葬が普及し始めた江戸の世、亡くなった人々の体を、焼き場にもちこむ前に湯灌をし、身奇麗にしてから棺に入れる。菩提寺には出家したお坊さんたちのほかに、そういう仕事に携わる、毛坊主と呼ばれる人たちがいる。 主人公の少女・縁の父親は、妻敵討ち(妻と駆け落ちした間男を追って討つこと)のために、藩を離れて長い旅に出ていた武士だった。しかし道なかばで毒草にあたって、倒れてしまう。はからずもその末期を看取ることとなった寺の人々は、死にゆく男の願いを聞いて、ひとり残された少女の面倒を見ることになる。 成長し、出家して湯灌にたずさわることになった縁。 ときに屍洗いと侮蔑されて傷つき、ときに隠された人のつらい秘密に触れて苦しみながらも、心を込めて遺体を清め続ける縁はやがて、その心根の美しさから人々に「三昧聖(さんまいひじり)」と呼ばれるようになるが……。 キャッチコピーに江戸時代の「おくりびと」と書かれていて、その広報の仕方はなんだかなあとか思ったのだけれど、それはさておき、とてもよかったです。 「銀二貫」といい「みをつくし料理帖」シリーズといい、高田郁さんの小説は、人情と登場人物の心根のよさに、心をあらわれるような作品ばかりです。どの作品の主人公も、不慮の災害や事故等でつらい思いを重ねて、けれどその中でも我が身の不運をひがむことなく、ときに苦しみながらも前を向いて成長していく。周囲の人々から注がれるやさしさや情を見落とすことなく、まっすぐに顔を上げている。 時代ものがお好きな方には、すごくオススメの作家さんです。
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心がほわっとあったかくなる あぁ、いいな。 最期はこんな人たちに出会いたいなと。 一気に読み切った。
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読後感がさわやか。前に読んだだいこんの残念さをきれいに取り払ってくれた。この人を選考したのが山本一力とは本当に驚きだ。 おくりびとを髣髴とさせる三昧聖、湯灌が仕事の在家仏者である。この人の語る人の縁は、良しにつけ悪しきにつけ読んでいて気持ちが良い。
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久しぶりに読む時代小説である。 新聞に載っていた紹介文に惹かれて読んでみた。 『解説に書かれた粗筋より 江戸の下落合で、路傍の毒草に当たった矢萩源九郎と娘のお艶は、青泉寺に運び込まれた。女敵討ちの旅の果てのことだった。源九郎は命を落としてしまったが、さいわいにも助かったお艶は...
久しぶりに読む時代小説である。 新聞に載っていた紹介文に惹かれて読んでみた。 『解説に書かれた粗筋より 江戸の下落合で、路傍の毒草に当たった矢萩源九郎と娘のお艶は、青泉寺に運び込まれた。女敵討ちの旅の果てのことだった。源九郎は命を落としてしまったが、さいわいにも助かったお艶は、名をお縁とあらため、青泉寺で成長する。その寺は、死者の弔いを専門とする墓寺であった。真摯に死者を弔う住職らの中で暮らすお縁は、やがて自分も湯灌場を手伝うようになり生縁という名を授かる。』 名を変えることで、道を拓いて生きてきた生縁を、 「出世花」と例えたのが、表題作である。 時代小説とはいっても、題材がちょっと異質ではあった。 でも一生懸命に生きている生縁に心打たれる。 時代に関係なく、 一生懸命に真面目に生きることの大切さを、教えられた。 「出世花」「落合螢」「偽り時雨」「見送り坂暮色」という連作であるが、 どれも読み応えのある作品ばかりだった。
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著者の『みをつくし料理帖』がおもしろかったので、こちらも読みました。 江戸時代に、両親と死に別れ、つらい体験をしながらも、周りに支えられて明るく生きていく少女を主人公とした設定は変わりませんが、みをつくしでは料理人、こちらでは三昧聖と、ヒロインの職業はかなり違っています。 女性と...
著者の『みをつくし料理帖』がおもしろかったので、こちらも読みました。 江戸時代に、両親と死に別れ、つらい体験をしながらも、周りに支えられて明るく生きていく少女を主人公とした設定は変わりませんが、みをつくしでは料理人、こちらでは三昧聖と、ヒロインの職業はかなり違っています。 女性として寺で湯灌を行う、三昧聖のお縁。 三昧聖とは、今でいうおくりびとのような仕事です。 妻敵(めがたき)討ちという、初めて知る物騒な言葉に驚きました。 プライドに命をかけなくてはならない、江戸時代の武士の矜持が物悲しく描かれます。 その時代、旅の途中で生き倒れになった者は、たとえ人の手で埋められたとしても、よっぽど深く掘らない限り、野犬に掘り起こされて食べられてしまっていたとのこと。 ぞっとします。 そのような恐怖におびえながら、旅先で父の客死を迎え、その遺体を丁寧に弔ってくれた寺の人々に、子供ながらに深い感謝を抱くお縁。 身寄りがないため、寺に身を寄せ、いつしか三昧聖として働くようになります。 今も昔も、遺体に携わる職業は、屍洗いなどと言われて色眼鏡で見られ、侮蔑されがちですが、心ない人々にさげすまれても、故人を労わりながら、あの世への旅立ちに向け、丁寧に仕事をする三昧聖。 いつしか評判を呼び、ぜひともと名指しで頼まれるようになります。 料理人は食の、三昧聖では死への手伝いをするという意味合いでは、全く異なる職業のようでありながら、どちらも人の人生に深く関係しているという点で、共通していると思いました。 人の生に関わる分だけ、人との交流やドラマも生まれます。 そして、大小さまざまな事件も起こります。 『偽り時雨』で同心が頭を抱える、連続変死事件の毒の原料を探し当てたのは、お手柄。 樒(しきみ)の実は猛毒で死に至ることを知りました。 結局、『落合蛍』で江戸を騒がせた髪切り魔の犯人は、何者だったんでしょうね? なんだかうやむやのままに話が終わってしまったようでしたが。 ホタルの美しさと人の叶わぬ恋心が重ねられた、悲しくはかない話でした。 当初は、はじめの『出世花』だけの単体作品だったとのことですが、その後の話に上手に続き、後日談も3話、掲載されています。 出世とは、仏教用語で言うと、俗世間で言う意味とは違って、世を捨てて仏道に入ることを意味するとのこと。 確かに、漢字を見ればそちらの方がもともとの意味のように思えます。 てっきりサクセスストーリーものかと思っていましたが、出世魚などとは全く違うニュアンスを含めたタイトルだとわかりました。 当時の時代考証もしっかりされており、すぐに物語世界にひたれます。 流れていくようにていねいに綴られた文章。 女性らしい筆の滑らかさ、細やかさが感じ取れます。 正念僧侶の魂の清らかさと哀しみが胸に残りました。 著者は、情感豊かに、市井の人々の「袖摺り合うも多生の縁」を描くのがとても上手。 苦境にくじけないヒロインのひたむきさがいじらしく、まぶしくて、つい肩入れしてしまうし、読了後は自分も頑張ろうと、気持ちも上がります。 著者のほかの作品も読んでみようと思いました。
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人生の折り返し地点を、 もう過ぎてしまいましたが、 もう一度スタート地点に戻って、 生き直そうと思いました。
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みをつくし料理帖の既刊を読みつくしたので、こちらにも手を出しました。 以前、漫画原作者としても手がけた「葬儀もの」の江戸時代版。 高田先生の書く登場人物は、つらい事があっても真っ直ぐで素晴らしいです。 【出世花】は展開がある程度予測はできたものの、題のつけ方がとにかく巧い。 【見...
みをつくし料理帖の既刊を読みつくしたので、こちらにも手を出しました。 以前、漫画原作者としても手がけた「葬儀もの」の江戸時代版。 高田先生の書く登場人物は、つらい事があっても真っ直ぐで素晴らしいです。 【出世花】は展開がある程度予測はできたものの、題のつけ方がとにかく巧い。 【見送り坂暮色】は涙々。口には出せない親子の絆が、とてもあたたかいです。 【落合蛍】と【偽り時雨】は捕り物帳仕立てになっていて、この作品もシリーズになればいいな、という気持ちを煽られました。 正念様とお縁の行く先を見てみたいです。
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