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出世花 の商品レビュー

4.1

92件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    43

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

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2013/10/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

表題作「出世花」は、元々それだけで完結した物語だったものを、担当者の熱意でさらに三作ものしてこの連作短編集が成ったと言う。 人が心に秘める思いの熱さ、その思いを秘めねばならぬこみいったいきさつまで、まだ若い筆運びながら、鮮明に描いている。この人の作品には、感銘を受けずにはいられない。 あたたかい人の手が成し遂げる仕事の重み。その仕事に心をほぐされてゆく人たちの涙と笑顔。 自らが何をなすべきか、なしてはならぬかをわきまえた人の強さと優しさに触れて、心穏やかに読み終えた。 読後感のおだやかさとほっこりとしたあたたかさは、高田郁さんの作品を読むたびに自分の中に積み重なってゆくような気がする。よかった。 私事ですが。 春に父を亡くし、湯灌を見守りました。父を浄めてくださったのは女性おふたり。個人への敬意と亡骸への慈しみを全身から放つおふたりのお仕事ぶりに、親族一同感動し、ありがたい気持ちで合掌。尊いお仕事だと心底思っています。

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2013/10/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

みをつくしからハマりこの作品を読んだ。 素晴らしいの一言だね! 題材は違えど、人に尽くす女性の話。 もう何かあれば潤んでしまう。 解説に資料に飲まれるなとあるけど、この作品は過不足ないと思う。 当時の湯灌にまったく知識がない私でも、ありありと情景を思い浮かべられる。 大好きです。

Posted byブクログ

2013/09/08

デビュー作なのですね。この頃から作者は涙のツボを心得ていたようです。武家の出自でありながら、葬儀に際し死者の体を洗う湯灌に携わる生き方をする「お縁」と人々の交流と別れは、本作品も期待を裏切らず心に染みるものでした。『出世花』『落合蛍』『偽り時雨』『見返り坂暮色』の4短編で読みやす...

デビュー作なのですね。この頃から作者は涙のツボを心得ていたようです。武家の出自でありながら、葬儀に際し死者の体を洗う湯灌に携わる生き方をする「お縁」と人々の交流と別れは、本作品も期待を裏切らず心に染みるものでした。『出世花』『落合蛍』『偽り時雨』『見返り坂暮色』の4短編で読みやすいです。【湯灌(ゆかん)】というものに立ち会った経験がある方は尚更、そうでない方も心揺さぶられる事でしょう。ありがたいお仕事だと思います。

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2013/09/07

江戸時代の葬儀事情が小説を通して知ることができる。 各話の登場人物は秘密を抱えて生きていて、お縁だけがそれを知っている。 「落合蛍」は岩吉さんが報われなくって、そんな愛の形もあるのかと、人のために自分を犠牲にできるのかと、やりきれない思い。 お縁はこれからどう生きていくのでし...

江戸時代の葬儀事情が小説を通して知ることができる。 各話の登場人物は秘密を抱えて生きていて、お縁だけがそれを知っている。 「落合蛍」は岩吉さんが報われなくって、そんな愛の形もあるのかと、人のために自分を犠牲にできるのかと、やりきれない思い。 お縁はこれからどう生きていくのでしょうね。

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2013/08/17

滝田洋二郎監督の映画「おくりびと」を江戸時代に、そして主人公を本木雅弘から女性に置き換えたような人情もので感動的な5つの連続小品集です。屍体の処理という「汚れた」仕事に携わりながら、汚れない心を持つ自立した女性へとお縁が清聴していく姿は清清しいです。でもやはり辛い仕事ですね!9歳...

滝田洋二郎監督の映画「おくりびと」を江戸時代に、そして主人公を本木雅弘から女性に置き換えたような人情もので感動的な5つの連続小品集です。屍体の処理という「汚れた」仕事に携わりながら、汚れない心を持つ自立した女性へとお縁が清聴していく姿は清清しいです。でもやはり辛い仕事ですね!9歳で父と共に行き倒れ、父を亡くした後一人寺に救われたお縁のいじらしさ、そして養女の縁談を断り寺に残る決断、そしてそのことにより知った大きな秘密、醜いが心の美しい男・岩吉の冤罪による刑死、寺の尊敬すべき先輩・正念の母の危篤から分かった正念の出生の秘密と感動の再会・・・。穢いと思われる世界を描きながら、美しい小説です。そのことも「おくりびと」との共通点であり、滝田監督、本木君はこの小説を知っていたかどうか、興味があるところです。

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2013/05/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

武士の娘だった艶が、父を失い弔ってくれた寺に引き取られ、縁と名を改め暮らすことになる。屍洗いの仕事を遣り甲斐に思い努めるが、蔑まれ傷つくことも。しかし、得難い手とその小さき手を握りしめてくれた人もいることを支えに、縁は精進する。読み進めると、一つ一つの情景が浮かび、根底に流れる作者の暖かな視線を嬉しく思う。みをつくしに出てくる小野寺のようなキャラが後半出てきて期待したのだが、最後のからみがなかったのが残念で、次巻を熱望している。

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2013/03/23

「おくりびと」のような、湯灌をする人のお話。高田郁さんの描く女性は、決して美人ではないけれど、芯の通った心温かい女性でとても魅力的。涙もろいからいちいち泣きながら読むことになる。

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2013/03/12

武家の娘だったおえんが、父の死後、三昧聖として生きていく。 死を迎えた人、残された家族を癒していく正縁。 良い話だった。

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2012/12/11

幼い娘を連れ、妻敵討ちの旅に出るも果たせずに力尽きた源九郎。 父を亡くしたお艶は正真住職にお縁という新しい名をいただき、墓寺として遺体の湯灌や火葬を行う青泉寺にその身を寄せることとなった・・・。 正真・正念と、三太・仁平・市次ら毛坊主とともに過ごすうち、最期を安らかに送り出す...

幼い娘を連れ、妻敵討ちの旅に出るも果たせずに力尽きた源九郎。 父を亡くしたお艶は正真住職にお縁という新しい名をいただき、墓寺として遺体の湯灌や火葬を行う青泉寺にその身を寄せることとなった・・・。 正真・正念と、三太・仁平・市次ら毛坊主とともに過ごすうち、最期を安らかに送り出す青泉寺の仕事に光を見出すお縁。 時に「屍洗い」と蔑まれながらも、そのまなざしは真っ直ぐでゆるがない。 娘盛りなのに「おくりびと」として生きていく彼女の強さに胸打たれる。 出世花、落合蛍、偽り時雨、見送り坂暮色・・・どれもせつない。 自分以外の誰かのために必死になれる強く優しい人が、その優しさゆえに黙って重荷を背負い込んでしまうのがやるせないなぁ。 職業の貴賎よりも人間中身だよ、ほんと。

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2012/11/14

江戸時代ってそういう時代だったんだなぁ。 武士は妻が不倫をしたら、妻とその相手を殺しに行かないと面目を保てないとか。しかも子供を置いていくこともできないなんて。 挙句の果てにひもじすぎて雑草を食べてそれが毒草だっただなんて・・・。 笑い話にもならない。 まぁ、本題はそれではない...

江戸時代ってそういう時代だったんだなぁ。 武士は妻が不倫をしたら、妻とその相手を殺しに行かないと面目を保てないとか。しかも子供を置いていくこともできないなんて。 挙句の果てにひもじすぎて雑草を食べてそれが毒草だっただなんて・・・。 笑い話にもならない。 まぁ、本題はそれではないけど。 そんな辛い思いをした娘の艶。 縁と名前を変えてもらってお寺で亡くなった人の体を洗う仕事をする。 本で読むと、すごく神聖な仕事のように思えるけど、いざ自分がやるとなると結構きついものなのだろうなぁ。 私も昔葬儀屋さんで働こうと思って求人に応募したことがあるけど、まず親にちゃんとできるのかよく考えてみなさい、と言われたし。 なんにせよ、とりあえず、もし私が死んだとき、やっぱり男の人に無造作に掃除されるよりは、こういう女の子に丁寧に洗ってもらえるほうがいいな、と思った。

Posted byブクログ