出世花 の商品レビュー
続編が出たのを機に再読です。 思った以上に忘れていて、ほとんど初読のイメージで読みました。 読み返してみると「みをつくし料理帖」とも共通する主人公を取り巻く群像の描き方の上手さを感じます。 基本、全員善人。けなげな主人公。辛い過去を持った人、主人公が憧れる人、優しく見守ってくれる...
続編が出たのを機に再読です。 思った以上に忘れていて、ほとんど初読のイメージで読みました。 読み返してみると「みをつくし料理帖」とも共通する主人公を取り巻く群像の描き方の上手さを感じます。 基本、全員善人。けなげな主人公。辛い過去を持った人、主人公が憧れる人、優しく見守ってくれる人。何となく対比表ができそうです。たぶん、高田さんにとって落ち着く形なんでしょうね。 ============== 10-015 2010/02/12 ☆☆☆☆ 4つの連作短篇です。 父親の遺骸を手厚く湯灌する青年僧の姿に感動した娘が、自ら湯灌を行う者(三昧聖)となって経験する人の姿を描く人情物時代小説です。 湯灌と言う極限の場を扱いながら、少女を主人公にした物語であり、どこか清潔感に溢れ、人情者として見事な出来になっています。ただ、最後の作品がどこか捕り物調的になっているのが気になります。もし、続編を書かれるのなら(そして是非書いて欲しいのですが)、この方向には行かないで欲しいと思います。 ネットを見るとこの本の読者の多くの人が映画「おくりびと」を思い起こしています。舞台が現代と江戸時代、主人公が中年男性と少女という違いが有るにせよ、確かに全体に似た雰囲気があります。この本の初出が2008年6月、「おくりびと」の公開が2008年9月ですから偶然なのでしょうかね。
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三味聖として、新仏さんの湯灌を行うお縁を巡る物語集。 私にとっての一番は「落合蛍」。蛍のように、やさしく、はかなく、悲しい物語。 小説家としての高田郁さんの処女作とか。 どんな物語を書いていきたいのか、思いがにじみ出た作品でもあるのでしょう。
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三味聖のお縁の物語。 聡明でもの静かな娘、お縁とその周辺の人達の人間物語。 江戸時代のしきたりや人間模様がわかりやすく、すぐに入り込める文章が心地よい。 主人公のまっすぐな性格や周辺の人達の支えがさらに良い読後感を与える。 人間として優しくなれる一冊でした。
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葬儀。屍洗い。江戸時代の「おくりびと」とか「Six Feet Under」的な。個人的には最後の章で正念さんが全部持っていった。
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父に先立たれ、寺に引き取られたお緑。三味聖という遺体洗いの仕事をしている。おくりびと、と似たテーマだ。 人からは、ひどい仕事だと忌み嫌われるが、遺族はその場に立ち会うと、お緑をありがたがる。 寺に運び込まれる、子供やお年寄りを巡る、涙のエピソード満載。
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みをつくしの澪や今回の主人公、縁も生い立ちに不遇があるが強く生きていく姿に魅入ってしまう。縁のこれからがとても気になる。
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みをつくし料理帖シリーズで知られる著者のデビュー作。さすがにこれには高田さんらしい料理の話は出てこないが、みをシリーズ同様にすごく優しさを感じます。もっと縁の話を読んでみたいと思いましたが、今更続編はないですね。
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読んで良かったと思えた作品。 湯灌を扱った話だったので、おくりびとを 思いださせるが、それよりも古い江戸時代の 話なので、逆にこんな昔から湯灌があったのだと 思った。 作品の中では「落合蛍」が良かった。 話的にはとても悲しい結末でしたが 他の3作よりも印象に残りました。
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内容紹介 「頭抜けた才能」と文芸評論家細谷正充氏絶賛! お縁9歳~19歳、心洗われる時代小説! 「不義密通を犯した妻の血を引く娘に、なにとぞ善(よ)き名前を与えてくださらぬか」幼いお艶(えん)と共に妻敵(めがたき)討ちの旅に出て六年、江戸近郊で無念の死を遂げた矢萩源九郎(やはぎ...
内容紹介 「頭抜けた才能」と文芸評論家細谷正充氏絶賛! お縁9歳~19歳、心洗われる時代小説! 「不義密通を犯した妻の血を引く娘に、なにとぞ善(よ)き名前を与えてくださらぬか」幼いお艶(えん)と共に妻敵(めがたき)討ちの旅に出て六年、江戸近郊で無念の死を遂げた矢萩源九郎(やはぎげんくろう)が寺の住職に遺した言葉である。しかし、源九郎の骸(むくろ)と魂は三昧聖(さんまいひじり)によって清められ、安らかに浄土へ旅立つ。「艶」から仏縁の「縁」と改名した少女が美しく成長する姿を、透明感溢れる筆致で描く感動の時代小説。 内容(「BOOK」データベースより) 「不義密通を犯した妻の血を引く娘に、なにとぞ善き名前を与えてくださらぬか」幼いお艶と共に妻敵討ちの旅に出て六年、江戸近郊で無念の死を遂げた矢萩源九郎が寺の住職に遺した言葉である。しかし、源九郎の骸と魂は三昧聖によって清められ、安らかに浄土へ旅立つ。「艶」から仏縁の「縁」と改名した少女が美しく成長する姿を、透明感溢れる筆致で描く感動の時代小説。
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湯灌のお話です。 痛々しく辛い場面も多く少し苦しかったですが、主人公のお縁はひたむきで聡明で、湯灌に携わっていく描かれ方はリアルながらも清々しく、タイトルの意味が沁みました。 お縁を取り巻く登場人物も魅力的。 江戸の風景もすぐ目前に浮かぶようでした。
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