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アンのゆりかご の商品レビュー

4.1

33件のお客様レビュー

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2009/10/04

東京に「赤毛のアン記念館」というのがあることは以前から知っていました。 マイミクさんがこの本を読んで良かったと日記に書かれていて、関心を持っていたところ「週刊ブックレビュー」で作家の松本侑子さんが紹介されました。 松本侑子さんも「赤毛のアン」を翻訳したり、関連の著作があります。 ...

東京に「赤毛のアン記念館」というのがあることは以前から知っていました。 マイミクさんがこの本を読んで良かったと日記に書かれていて、関心を持っていたところ「週刊ブックレビュー」で作家の松本侑子さんが紹介されました。 松本侑子さんも「赤毛のアン」を翻訳したり、関連の著作があります。 私は「赤毛のアン」そのものについてはあまり関心がなかったのですが、この本は面白く読みました。 巻頭の15ページのカラー写真が良いです。 孫の村岡恵理さんが11ヶ月の時に村岡花子さんは亡くなっているので恵理さんには祖母の記憶はありません。 巻頭の15ページのカラー写真が良いです。 花子さんの残したものと恵理さんが伝えようとするものが明確に見えてきます。 第1章から第10章までの構成が、花子の年齢と生きた時代が示されていて、20世紀の日本の近代史の中で花子がどのように生きてきたかが分かるようになっています。 東洋英和女学校で、8歳年上の柳原白蓮を知ります。 柳原白蓮は福岡県の炭坑王伊藤伝右衛門と再婚しますが、熊本県荒尾市出身の宮崎隆介と恋に落ちます。漱石の「草枕」とも関連のある人物です。 白蓮事件についても背景を描いています。 白蓮の生涯がよく描かれています。 花子と夫とのラブレターや白蓮との手紙が掲載されています。 その内容は胸を打ちます。 手紙はこうして残りますが、現代のメールは残るのだろうかと感じました。 戦時中に英語が敵性語として禁止され、西洋文学の本が燃やされる中、花子はこっそりと「赤毛のアン」の翻訳に取り組みます。 戦後数年、「赤毛のアン」はようやく日の目を見ます。 この本の中には私たちが知っている、「アンクルトムの小屋」「王子と乞食」などが出てきます。 佐々木信綱、芥川龍之介、久留島武彦、樋口一葉、吉屋信子、林芙美子、田辺聖子も出てきます。 「日本のアンデルセン」と呼ばれた久留島武彦は大分県玖珠市出身です。玖珠市は「童話の里」をうたい文句にしています。 鎌倉に吉屋信子記念館があったことを思い出しました。まだ行ったことはありません。 「図書館」の登場や「朝の読書」運動につながるものもこの本の中から得ることが出来ます。 「赤毛のアン」に関心がなくても楽しめる本です。 爽快な読後感が残ります。

Posted byブクログ

2009/10/04

面白い本だった。「赤毛のアン」がベストセラーとなったのには、この人の情熱とそれまでの歩みがあったからだろう。村岡花子訳で読むことができて、よかった。今でも決して待遇のよくない翻訳業(作家に比べれば、いまだ待遇が悪いと思う)の、先駆者だ。さらには当時の女性の運動も加わって、興味深い...

面白い本だった。「赤毛のアン」がベストセラーとなったのには、この人の情熱とそれまでの歩みがあったからだろう。村岡花子訳で読むことができて、よかった。今でも決して待遇のよくない翻訳業(作家に比べれば、いまだ待遇が悪いと思う)の、先駆者だ。さらには当時の女性の運動も加わって、興味深い。 ただ、話の流れを優先するあまり、一部「あれ?で、この人はその後どうなってるんだ?」と思える詰めの甘さがある。残念。

Posted byブクログ

2009/10/07

仕事関係で興味を持った村岡花子の人生。当然ながら、仕事では知り得なかった彼女の様々な姿が垣間みれた。女性として、1人の人間としての素晴らしい生き様。あらゆる英米文学を世に知らしめ、戦争で傷ついた老若男女の心を明るく照らし、乙女の聖書とされる「赤毛のアン」を日本人に紹介した功績はあ...

仕事関係で興味を持った村岡花子の人生。当然ながら、仕事では知り得なかった彼女の様々な姿が垣間みれた。女性として、1人の人間としての素晴らしい生き様。あらゆる英米文学を世に知らしめ、戦争で傷ついた老若男女の心を明るく照らし、乙女の聖書とされる「赤毛のアン」を日本人に紹介した功績はあまりにも大きい。これを読んでから彼女訳の「赤毛のアン」を読むと、本を抱きしめたくなる。ペンで生きていくことは、人の一部を創ることだと改めて思った。

Posted byブクログ