虚夢 の商品レビュー

薬丸岳【著】

2018/04/04

彼の作品は3作とも読んでいるんだけど、

1作目は少年犯罪、
2作目は性犯罪、
そして今回は心神喪失者の犯罪…
刑法39条がテーマ。

「心神喪失」の通り魔犯に娘を殺された夫婦。運命を大きく狂わされた２人はついに離婚するが、事件から４年後、元妻が街で偶然すれ違ったのは、忘れもしない「あの男」だった…。

またまた重苦しいテーマだけれど
前2作と同様に、
最後の急展開の面白さに加えて、
いろいろと考えさせられる本です。

2018/04/02

精神耗弱者の殺人の是非、被害者の気持ちについてがテーマとなっています。とはいえ、耗弱者自身も悩み苦しんでいるようにも書かれており、考えさせられるお話でした。三上夫妻は最後に少し希望が持てるように書かれていたのが唯一の希望のように思います。個人的には、耗弱者と言えど殺人は問題であり、被害者の気持ちに立てば無罪というのは受け入れがたいもので、何らかの措置は必要だと思います。

2018/02/13

精神障害者犯罪に不満があったのでぐいぐい読み入りました。とてもスッとする内容で気に入りました。もっと薬丸岳さん作品を読もうと思います。

2017/10/19

意外と思ったよりかはハッピーエンドだった。
精神的な病を抱えた人に対して社会はどう対処していくべきなのか…今なおいろんな事件が起きているだけに考えさせられる。

2016/12/23

刑法39条。精神障害者による犯罪。相変わらず重く、暗いテーマで描かれる世界。.相変わらず衝撃のラストを用意してくれていたし、ただの物語では終わらせない薬丸作品らしさが出ていて、面白かった。本当にこの人の作品は、考えさせられることが多い。

2016/06/19

【要旨】「精神鑑定」に真っ向から挑む感動作!
「心神喪失」の通り魔犯に娘を殺された夫婦。運命を大きく狂わされた二人はついに離婚するが、事件から4年後、元妻が街ですれ違ったのは“あの男”だった……。

精神疾患を患い通り魔事件を起こした犯人の青年。
通り魔事件で被害にあった母親と命を落とした幼い娘。
当時何もできなかった作家の夫。
精神疾患を患っている弟を養うために、夜の町で働く娘。
全てがラストに向かって絡まっていく。
後半からの展開が衝撃すぎて、予想をあまりに裏切る展開に読む手が止まらなくなった。
本当に面白かった!薬丸岳さん今のところハズレなし!!

2016/01/28

精神病を患っている犯人に娘を殺され、妻も精神を病み、自らも堕ちた生活を送る三上。別れた妻から、事件の犯人の藤崎を見たという連絡を受けるところから物語は始まります。
いくつも張られた伏線と、もしかすると…。というのが集約され全部解決したときは爽快だけど、なんだか理不尽だとも感じた。

被害者と加害者は明確だけど、その加害者が精神を病んでいれば、責任能力はないと判断される。

佐和子の計画は意外で、あの手紙は本当に被害者の心の叫びだと思う。

ゆきについては、かわいそうすぎてやるせない。自覚症状がないというのが本当にきついし、自覚することで過去の辛い記憶を思い出させるのも酷で…。

何が正解かわからない。

薬丸さんの作品は本当に読みごたえがあります！

2015/09/12

なんともおぞましいプロローグです。精神病それも統合失調症で不起訴になった犯人を中心にした物語です。以外な結末と言えるほどのひねりはなかった。

2015/07/27

通り魔殺人で12人もの人を襲った男は、統合失調症という鑑定結果で、不起訴となった。
その被害者の父親三上は、妻と離婚し、荒れた生活を送っていた。更に、別れた妻は、犯人と同じ病にかかり、どんどん壊れていった。

またまた重いテーマです。
でもこの方の本は、とても読みやすく、毎回興味深くぐんぐん入り込めます。
今回も、寝不足を顧みずの一気読みでした。

刑法39条の存在、被害者の思い、人権など、難しいことばかりなのだと思います。私には、正しい答えは見つかりません。
でも、今回この本を読んで、私なりに考えることが出来て良かったとは思います。

犯人の心情を語らないのは、薬丸さんの描き方なのでしょうか。毎度思いますが、それがやはりリアルな気がします。

2015/07/10

　元ミステリー作家の三上孝一は元妻からかかってきた悲鳴に近い電話に驚く。「あの男が帰ってきたのよ！！」。あの男・藤崎裕之とは、2人の娘・留美を惨殺したにも関わらず統合失調症で犯行当時は心神喪失状態であったとして刑法39条により罪に問われることもなく不起訴となった男である。しかしあんな事件を起こしておきながらわずか4年で普通に外を歩いているなんて考えられない、佐和子の尋常でない様子からして彼女の幻覚だろうと思った三上だったが、実際に藤崎の姿を目の当たりにし、愕然とする。

　この小説のようなことが本当に起こりえるのだとしたら、刑法39条とは一体何なのかと思わざるをえない。作中で主人公が疑問を呈しているのはもっともだと思うし、佐和子が周りを騙し切ったように加害者がふるまっていないと誰がいいきれるのかと思うとやりきれない。病気で本人を責めるのは酷かもしれないが、じゃあこの思いは一体どこへやればいいのか。しかし心神喪失などで不起訴になった人間に対する処遇はあまりにも楽観的で甘すぎるとしか感じられない。