夜市 の商品レビュー
解説の通り、草場の陰にあの世を幻視する日本的な異界間、此岸と彼岸が地続きであるかのような描写、がしっくりとくる。 特別な、勿体ぶった盛り上がりや前振りなく、日常から異界へするする迷い込む。登場人物が大袈裟に泣いたり喚いたりせず、しくしくと異界のルールに則って物語が進むのも、読み心...
解説の通り、草場の陰にあの世を幻視する日本的な異界間、此岸と彼岸が地続きであるかのような描写、がしっくりとくる。 特別な、勿体ぶった盛り上がりや前振りなく、日常から異界へするする迷い込む。登場人物が大袈裟に泣いたり喚いたりせず、しくしくと異界のルールに則って物語が進むのも、読み心地の良さの理由なのかも知れない。
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ホラーというカテゴリだけどエンタメ小説としても秀逸。 短編に詰められた物語の構成が見事。 読み出しは少し文体の稚拙さを感じられたが、そこ此処に散りばめられた語彙が印象的で、読後もずっとその魅力に取り憑かれている笑。 一人一人のキャラクターを深掘りしているわけではないのに伝わる人物...
ホラーというカテゴリだけどエンタメ小説としても秀逸。 短編に詰められた物語の構成が見事。 読み出しは少し文体の稚拙さを感じられたが、そこ此処に散りばめられた語彙が印象的で、読後もずっとその魅力に取り憑かれている笑。 一人一人のキャラクターを深掘りしているわけではないのに伝わる人物像。怪しげな夜市の空気感。場面が浮かぶ素晴らしい描写。 どこかもの哀しい余韻を残す結び。 良い本に出会えた。
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佐伯ポインティさんがYouTubeでおすすめしてた本です。 あらすじを紹介されてて、とても面白そうと思い購入してみました。 中には本のタイトルにもなっている「夜市」だけではなく「風の古道」という物語も書かれていました。 「夜市」はもちろん面白かったのですが、私は何より「風の古道」...
佐伯ポインティさんがYouTubeでおすすめしてた本です。 あらすじを紹介されてて、とても面白そうと思い購入してみました。 中には本のタイトルにもなっている「夜市」だけではなく「風の古道」という物語も書かれていました。 「夜市」はもちろん面白かったのですが、私は何より「風の古道」が好きでした。 夜に読み始め、一気に最後まで読んでしまいました。 本当に引き込まれる物語でした。 私自身ホラーが苦手なのですが、最後まで読み終えることが出来ました。ホラーというより怪奇という言葉が合っている本だと思います。
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異世界をテーマにしたホラー短編。 本書に収録されているのは2編で、一つが「夜市」もう一つが「風の古道」。 前半の夜市はある青年が知人の女性と連れ立って、人ならぬ者たちが集う夜市へ赴く話。 彼は子供の頃に夜市へ迷い込み、そこから逃れるために、そして自分の欲しいものを手に入れるため...
異世界をテーマにしたホラー短編。 本書に収録されているのは2編で、一つが「夜市」もう一つが「風の古道」。 前半の夜市はある青年が知人の女性と連れ立って、人ならぬ者たちが集う夜市へ赴く話。 彼は子供の頃に夜市へ迷い込み、そこから逃れるために、そして自分の欲しいものを手に入れるために弟を売ってしまう。 その罪悪感から逃れられず、彼は弟を取り戻すために夜市へ戻る。 後半の風の古道はそれよりかはライトな話だが、やはり異界の者たちが通る特別な道をめぐる話。 現代のせわしなさとは全く違う古来のゆったり流れる時間のが古道には流れている。 こちらはちょっとこんな人生もいいかもと思った。 2つの作品共に、目の前に情景がアリアリと浮かんでくる良書だった。 特に夜市は人の欲、そして罪悪感について思いを馳せることができた。
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最近装丁が変わったのかな。 この金魚の装丁の本がほしくて、探してようやくゲット。来年の夏、もう一度読んでみよう。
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この作品は「夜市」と「風の古道」の二つからなる中編小説であるが、どちらともホラーとファンタジーと掛け合わせたような作品で、『夜のピクニック』に似た幻想的な美しさを感じさせる物語であった。それぞれ現実ではありえない幻想的な設定の中で、物語が進んでいくにつれ、意外な事実が明らかとなり、両方で楽しめた。「風の古道」のラストでカズキを生き返らせなれなかったことや、夜の果ての闇へ去っていくカズキを見送る場面はとても印象に残った。
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人が住む世界とはズレた別世界の話。 不気味でもありワクワクもする様な不思議な冒険で、読みやすく楽しめた。 子供や幼少期が軸となって話が展開されているので 「自らのある日の遠い思い出」感覚になる。
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読書備忘録676号。 ★★★。 テレビで芸能人がこの方の作品が好きだ!と言っていたのと、「夜市」の書き出しがすごく魅力的だったので、読んでみました。 表題作の「夜市」と「風の古道」という短~中編の中間ボリュームの2編。 確かに、ある種日本人誰もが記憶として持つ原風景、ノスタルジーを感じる物語でした。そしてちょっとだけ怖い。 読みながら考えていましたが、これって子供のころ良く見たちょっと怖い夢に近いです。近所で友達と遊んでいるんだけど、いつの間にか違うところにいて、どうしても家に帰れない恐怖みたいな夢をよく見た。これに近いです。個人的には。 ただ、夢って突然終わる。エンディングもなく。 物語の終わらせ方がすごく難しいと感じた作品でした。 「夜市」今宵夜市が開かれると学校蝙蝠が告げた。裕司は高校の同級生だったいずみを誘って夜市を訪れる。夜市にはあるルールがあった。何かを買わないと夜市から抜け出せなくなる・・・。 裕司には目的があった。昔一度訪れたことがあり、弟を売ってあるものを買ったのだ。今回は弟を買い戻すために、いずみを引き連れて訪れた? 裕司、いずみ、弟は夜市から抜け出せるのだろうか・・・。 「風の古道」少年が7歳の時、自宅からちょっと遠い小金井公園に花見に行って迷子になった。誰もいなくなった公園におばさんが現れ、少年の自宅がある武蔵野市に帰るならこの道をまっすぐ行け、と教わる。その道は両側を塀に遮られた未舗装の道で、少年は無事自宅に帰り着いた。 12歳になった少年は友人にこの話を打ち明け、興味本位で自宅近くのお稲荷さんのそばからその古道に入った。そこは日本を覆う異空間のいにしえの道であった・・・。 本来、現実世界と古道の接点は、神仏的な場所にちゃんと管理されているが、ところどこに裂け目があり、そこから迷い込んでしまう。 そして少年と友達は抜け出せなくなる。異空間で出会う人々。現実世界から来た人々。異空間で生まれ育った人々。 少年と友達は異空間から抜け出せるのだろうか・・・。笑 そうです。どちらも異空間からの脱出物語、と言ってしまえばそれまで。 夜市はちょっとひねりが弱いかなぁ。風の古道は物語を成立させるための異空間設定が細かくて、どうでも良くなってしまった。 ワクワクする舞台でありながら物語にするのは難しいですね!
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『夜市』と『風の古道』の2作品短編小説。 どちらも恐怖、というより不思議?なお話。「世にも奇妙な・・」的な感じ。 自分がもし入り込んでしまったら、とどちらのお話も想像してしまう。 夜市に一緒に行ってしまった子は完全にとばっちりだなぁ。。あれが自分だったらかなりキレるかなぁ(笑) 自分がもし・・考えれば考えるほどにもやもや~としてどきどきするイヤな感じになっちゃう(笑) 後味が悪いという物語でもなく、なんというか物悲しいというか。。 世界観、とてもよかったです。
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夜市と風の古道の2つからなる短編集。 どちらもグッと引き込まれた上、風の古道には夜市であろう描写が一言だけ述べられており、クスッとした。 恒川氏の描く世界は、いつも本当にあるのではないかと思ってしまうほど、現実の延長線上にある非現実を描写するのが上手だと感じる。 また、何かを...
夜市と風の古道の2つからなる短編集。 どちらもグッと引き込まれた上、風の古道には夜市であろう描写が一言だけ述べられており、クスッとした。 恒川氏の描く世界は、いつも本当にあるのではないかと思ってしまうほど、現実の延長線上にある非現実を描写するのが上手だと感じる。 また、何かを買わないと出られないとか外にモノを持ち出せないとか ほんの少し怖い部分があり、それが非現実的であり、神々しいというか、人間より上の存在が住む世界であることの裏付けのようで、なお現実に存在するのではと錯覚する。
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