ノスタルギガンテス の商品レビュー
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ものすごい本を読んだと思う。 この本がどうして世の本棚から姿を消し埋もれているのか。 ノスタルギガンテスは芸術家と写真家によって閉じ込められながら生き続ける木と人の積み上げたものを融合した芸術怪物となった。永遠に生成し流転しノスタルギガンテス運動を飲み込む生きるオブジェ。でも主人公の少年にとっては、名前を与えられた時点で力を失い飼い慣らされた神殿の木であったもの。琥珀の中に閉じ込められた羽虫。恐ろしいもの。 一方の視点では自然と融合し生き続け 一方では無惨に閉じ込められた死骸 この本は私の住む地域の図書館や書店から姿を消し、強く望まねば手元に来なかった。 世には無数の本があふれていてほとんどは本でなくてもいい中身を含んで積まれ一読して忘れ去られる。大きくなり続ける巨大な図書館蔵書オブジェ。一方でこの本は多くの人が行き交う場から姿を消したけれども、ひっそりと光と命を失わず生き続けているように思えた。
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主人公の少年が木のてっぺんに怪獣のおもちゃを括り付けるところから始まる、幻想小説。 少年のイノセントな憧憬を丁寧に描写される。 それは消費社会=現実という巨大な壁に無残にも破壊されるという道程を辿ることによりある意味で輝く。 しかし、真の絶望は完膚なきまでの破壊ではなく、取り込ま...
主人公の少年が木のてっぺんに怪獣のおもちゃを括り付けるところから始まる、幻想小説。 少年のイノセントな憧憬を丁寧に描写される。 それは消費社会=現実という巨大な壁に無残にも破壊されるという道程を辿ることによりある意味で輝く。 しかし、真の絶望は完膚なきまでの破壊ではなく、取り込まれていくことなのかもしれない。 どうしてもこの感想を書く時に私たちは少年のイノセントな憧憬を奪う写真家側の人間にならざるを得ないのだから。
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たぶんこの語り手は作者に近く、作者はいつも退廃の美を世界に探し出そうとしているのだろう、そのような視点が想像できる。 この作中で起きる現象はいろいろな社会現象の寓意にもとれる。 しかし単純に役に立たないものが漂流する木と、それへの名づけ、という観点から不気味な物語として把握した...
たぶんこの語り手は作者に近く、作者はいつも退廃の美を世界に探し出そうとしているのだろう、そのような視点が想像できる。 この作中で起きる現象はいろいろな社会現象の寓意にもとれる。 しかし単純に役に立たないものが漂流する木と、それへの名づけ、という観点から不気味な物語として把握したほうがおもしろそうだ。 世の理の変容と定着。
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同作者の星兎を読んでから十余年、ふと他の作品も読みたくなり手に取ったのがノスタルギガンテスでした。 ああ、そうだった。こんな感覚があった、と思い出させてくれる本。 もっと幼い時に出会っていたら違う見方ができた気がすると思うと、惜しい。 博物館の琥珀の表現が大好きです。
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良い意味でも悪い意味でも重いです。表現や考え方が普通じゃないので、芸術性に関心の無い人には分からないかもしれませんが、わたしは 何てひとだ…とおもいました。比喩的すぎるくらいの言語感覚がまた惹き付けるものがあります。
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友達から社会から、夢見がちな少年の心が踏みにじられるお話。 淡々と表現された弱さが苦々しくも美しい。最終的に得したのはビジネスを割り切った芸術家だけなのかと思うとやるせないが、少年の心細さや世界に対する疑念というのはそんなこと関係なく存在するものなんだろう。 実際に読んで、読みきってこそ価値のわかる本。 かったるい感じに解説ぶってしまったが、内容自体は誰にでも経験のあるもの。 特に、小中学生くらいの人に読んでほしい。
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疲れた。 読み終わるのに二年半かかった。 ようやく次に行ける。 正直内容はイマイチ。 主観は小学生なのに、口語体が難しい言葉を多用してるから感情移入が難しい。 情景の移り変わりも分かりにくいし。 萎えるから普段は考えないけど、面白くねぇーって読みながら露骨に思った。
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なんだか深層心理を浮遊するような世界観に、時に読みにくさも感じた。 けれど読み進むにつれて、この矛盾だらけの世界の理や、誰もが感じているモヤモヤ感をこれほど見事に表現できる作者の文章力にただただ驚いた。 解決やハッピーエンドもない、そしておそらく宝物の一冊。
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廃墟文学。言葉の選び方や繋げ方がうつくしくてでも空虚で、とってもいい。少年の描き方が上手い。キップルを持ってくる人の目線の物語も読んでみたい。
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文章がとても鮮烈で美しい。 階段の上から落とした硝子瓶の蒼さ。 フラッシュバックするほど脳裏に焼きついた。 永遠と化した幼さという具象。 デカダンに満ちていて とても、静かだ
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