クアトロ・ラガッツィ(上) の商品レビュー
題名は、四人の少年。天正少年使節の話。荒海を超える冒険譚かと思いきや、さにあらず。戦国時代の社会情勢、キリスト教会派の対立、現代につながる、東西文化の邂逅を論じた本と言ってよい。 邂逅の前に、西も東も傲岸不遜で、両方を知った宣教師がやきもきするあたり、世界が小さくなっても人間はあ...
題名は、四人の少年。天正少年使節の話。荒海を超える冒険譚かと思いきや、さにあらず。戦国時代の社会情勢、キリスト教会派の対立、現代につながる、東西文化の邂逅を論じた本と言ってよい。 邂逅の前に、西も東も傲岸不遜で、両方を知った宣教師がやきもきするあたり、世界が小さくなっても人間はあまり変わらないと考えさせられる。
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★私たちはいま500年単位で歴史を考えるときがきている クアトロ・ラガッツィというのは「4人の少年」というイタリア語で、九州のキリシタン大名3人が戦国時代末期にローマ教皇庁へ派遣した日本の少年4人、伊東マンショ・千々石ミゲル・中浦ジュリアン・原マルティノのこと。 世界史的には...
★私たちはいま500年単位で歴史を考えるときがきている クアトロ・ラガッツィというのは「4人の少年」というイタリア語で、九州のキリシタン大名3人が戦国時代末期にローマ教皇庁へ派遣した日本の少年4人、伊東マンショ・千々石ミゲル・中浦ジュリアン・原マルティノのこと。 世界史的にはちょうど大航海時代のど真ん中、織田信長の命を受けて天正10(1582)年にイエズス会に率いられた4人の少年使節が、小さな帆船でローマめざして日本をいざ出発。大海原をものともせず2年かけて到着を果たし、少年たちは袴姿に刀を差して晴れがましくローマ教皇に拝謁したのでした。こんなとてつもない計画立案・実行をしたのは、イエズス会の伊太利亜人ヴァリニャーノで、彼は日本や中国を西欧とは違うが同等の高度な文明をもつ国として尊敬していて、この使節派遣も東西文明の相互理解を目的としたものでした。出発して8年を経て、彼らは帰国して西欧で得た知識や文物そして印刷技術を伝えました。でも、あれほど絶頂期でキリスト教保護に熱心だった織田信長もすでにこの世になく時代は急変して、四人は迫害のなかで病死したり、殉教に倒れたり、棄教したりする者もいるというなんとも最悪の末路でした。最後は、60歳になったかつての少年使節のひとりの苛烈な死とマタイ伝の引用で幕が降ります。 初めて読んだ若桑みどりは、『戦争がつくる女性像 第二次世界大戦下の日本女性動員の視覚的プロパガンダ』(筑摩書房1995年、後にちくま学芸文庫2000年)だと思っていましたが、ひょっとして別かも知れないと、今回いろいろ調べてみるとやっと判明しました。それより1年前の生意気盛りの中1の時に読んだ、雑誌『夜想5』(1992年)に載っている論文というかエッセイが最初なのでした。 それは「屍体 幻想へのテロル」という特集の中で、「屍体のメタモルフォーズ」というもので、どういう内容のものなのかは、今すぐその雑誌が見つかりませんので不明ですが、同誌には他に、由良君美の「Necrophagia考」とか、中野美代子の「屍体幻想」、深作光貞の「全身木乃伊の生と死」や、中井英夫の「屍体透視」、寺山修司の「屍体の告白」などそうそうたるメンバーが執筆しています。 1992年といえば彼女は57歳、まだ千葉大教授でしたが、こういう変わった嗜好の雑誌に堂々と書いていたということに驚きます。 ◆レビュー日:2008年03月23日 ◆推敲(更新)日:2012年11月21日
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4人の少年がローマで教皇に謁見するにいたるカトリック、日本の事情を当事者の日記、手紙などの資料をもとに解説。 旅の記録、4人それぞれのその後の人生まで丁寧に記述している。 なかでも使節団の企画者、イエズス会宣教師ヴァリニャーノのエピソードは興味深い。 イエズス会というと「剛」のイ...
4人の少年がローマで教皇に謁見するにいたるカトリック、日本の事情を当事者の日記、手紙などの資料をもとに解説。 旅の記録、4人それぞれのその後の人生まで丁寧に記述している。 なかでも使節団の企画者、イエズス会宣教師ヴァリニャーノのエピソードは興味深い。 イエズス会というと「剛」のイメージが強かったのだけど、彼の柔軟性、開明性、適応性はホントにすごいと思う。フェルディナンド2世の家庭教師が彼だったら30年戦争もなかったろうに・・・
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日本におけるキリスト教の布教について、そしてその時代の日本について。 世界との対比の中で書かれている。明日の我が身がわからない時代。文化の成熟って何だろう。。
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2年かけてようやく読破。 クアトロ・ラガッツィとは日本語で 4人の少年ということで、戦国時代に ローマ法王に謁見した天正遣欧使節を 通して、ザビエルから始まるキリスト教の 伝来と鎖国までを記載した評論です。 -ハンセン病医療施設の付設 -スペインやポルトガルなどの...
2年かけてようやく読破。 クアトロ・ラガッツィとは日本語で 4人の少年ということで、戦国時代に ローマ法王に謁見した天正遣欧使節を 通して、ザビエルから始まるキリスト教の 伝来と鎖国までを記載した評論です。 -ハンセン病医療施設の付設 -スペインやポルトガルなどの国家権力と バチカンの関係 -カトリック教会内の問題 -キリシタン大名の秀吉政権での立場 -宣教師から見た日本の風俗や為政者の性格など などが記載されていてまあまあ勉強になった。 でも、これは大学院生とか退職したおじさんとかが読むよんだね。全530Pで1Pが2段になっている なんてつらすぎました。
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これだけ分厚いのにまだ上巻というのだから驚きです。内容盛りだくさんで、ものすごく読み応えのある本です。 同時期のラテンアメリカでの布教においては、インディオは人間かどうかで論争が起こりますが、日本の場合は初めから白人扱いだったというのは驚きでした。(…だって同じモンゴロイ...
これだけ分厚いのにまだ上巻というのだから驚きです。内容盛りだくさんで、ものすごく読み応えのある本です。 同時期のラテンアメリカでの布教においては、インディオは人間かどうかで論争が起こりますが、日本の場合は初めから白人扱いだったというのは驚きでした。(…だって同じモンゴロイドだし) イエズス会側の目論見も、キリシタン大名の目論見も、またどうして当時の人々がキリスト教を受け入れやすい素地があったのか、などなど、非常に面白く納得のいく話ばかりでした。 歴史好きには、もうたまりません!
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1580年頃に、日本から欧州に派遣された天正青年使節にまつわる話。 もの凄い細かい歴史的背景、人物紹介などを含めた少年使節が派遣されるに至る経緯を、膨大な文献を証拠に紐解いている。 当時戦国時代だった日本では海外との折衝が多くあり、その中でキリスト教の布教が日本に与えた影響は大き...
1580年頃に、日本から欧州に派遣された天正青年使節にまつわる話。 もの凄い細かい歴史的背景、人物紹介などを含めた少年使節が派遣されるに至る経緯を、膨大な文献を証拠に紐解いている。 当時戦国時代だった日本では海外との折衝が多くあり、その中でキリスト教の布教が日本に与えた影響は大きかった。キリスト教の布教には、スペイン国王、ボルトガル商、イエズス会、日本の戦国武将など、多くの人物が絡んでいる。その中でも、ヴァリニャーノというイエズス会巡祭祀を中心として、キリスト教の日本への布教と、天正少年使節の派遣との関係をときながら、展開が進む。
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天正少年使節を軸に、戦国時代末期から安土桃山期の日本と世界の出会いを詳細に描いた大著。 少年使節は、それまでのどの時代よりも日本が世界に開かれた時期に祖国を発ち、世界の覇権をうかがう西欧を見聞し、ローマ教皇との謁見の栄誉に浴した。しかし彼らが帰国した時、日本は急速に世界との扉...
天正少年使節を軸に、戦国時代末期から安土桃山期の日本と世界の出会いを詳細に描いた大著。 少年使節は、それまでのどの時代よりも日本が世界に開かれた時期に祖国を発ち、世界の覇権をうかがう西欧を見聞し、ローマ教皇との謁見の栄誉に浴した。しかし彼らが帰国した時、日本は急速に世界との扉を閉じようとしていた。 信長や秀吉、戦国大名たちがどのようにキリスト教宣教師とその背後の西欧に向き合ったのか、宣教師たちが見た日本はどのようなものだったのかが詳述されている。 著者は「私は一枚の史料よりも、その人間の行為や言動の総合によって判断する。(中略)人間よりも一枚の紙や一個の印鑑を信じるのが歴史家ならば、私は自分が歴史家でないことに確信をもっている。史料ではなく、人間を読む歴史家だと言いかえてもいい」と語っている。 著者の視線は、歴史の流れ以上に、歴史の中で生きた一人一人に注がれ、天下人も宣教師も使節の少年たちも同じ人間として生き生きと描かれているのが、非常に好ましく感じる。 本書は、病死、亡命、棄教、殉教に分かれた4人の少年使節の最期で結ばれる。学術書ながら、著者が描く4人の人生の結末は文学的な感動をもって迫ってくる。
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もっと小説っぽいものを期待して読みはじめてしまったのでかなり苦戦。物語ではなく、どちらかというと論文に近い雰囲気です。(論文としてみればかなり一般向けに読みやすいものですが) 日本におけるキリスト教の状況や、大名たちの事情なんかもかなり詳しく書かれていて、それだけにちょっぴり難解...
もっと小説っぽいものを期待して読みはじめてしまったのでかなり苦戦。物語ではなく、どちらかというと論文に近い雰囲気です。(論文としてみればかなり一般向けに読みやすいものですが) 日本におけるキリスト教の状況や、大名たちの事情なんかもかなり詳しく書かれていて、それだけにちょっぴり難解。かなり気合を入れて読まないとワケが分からなくなります。「分かりやすく伝える・楽しんでもらう」というよりはどちらかというと「正確な史実を伝える」ことを主眼においている印象。手ごわい相手ではありますが、興味深いところではありますし、頑張る価値は大いにある作品だと思います。
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●構成 第一章 マカオから大きな船がやってくる 第二章 われわれは彼らの国に住んでいる 第三章 信長と世界帝国 第四章 遥かに海を行く四人の少年 -- 戦国時代における、イエズス会による日本でのキリスト教布教活動は、困難をきわめた。豊臣秀吉および徳川家康による相次ぐ禁教令でつい...
●構成 第一章 マカオから大きな船がやってくる 第二章 われわれは彼らの国に住んでいる 第三章 信長と世界帝国 第四章 遥かに海を行く四人の少年 -- 戦国時代における、イエズス会による日本でのキリスト教布教活動は、困難をきわめた。豊臣秀吉および徳川家康による相次ぐ禁教令でついに西洋からの布教者が退去するまでの短い間、彼らは様々な手段で日本にキリスト教の種を蒔くことに力を注いだ。 その中で、最も壮大で、またイエズス会の業績の最たるものである、天正遣欧少年使節は、キリスト教史だけでなく日欧の交流史としても、西洋人の日本観と日本人の西洋観の研究においても、非常に注目される。 本書は、数多くなされてきた天正遣欧少年使節の研究成果をふんだんに取り込み、また幾つかの点では従来の研究と異なる著者自身の仮説を交え、歴史ノンフィクションとして読み応えのある本である。上巻では、フランシスコ・ザビエルによる最初期の布教活動から、織田信長と接近し日本での立場を強化しながら信徒を増やしていくイエズス会全盛期の様子を述べ、使節のリスボン到着とマドリードへの移動までを描く。特にイエズス会の日本での活動の様子は、会の中でも布教方針の対立が見られることや、布教基盤の強化のために時の権力者である織田信長とどのように関わり合っていくかを詳述する。 著者の自分語りがところどころ出てくるのはご愛嬌だろう。さほど気にならずに、物語に引き込まれてゆく。
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