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クアトロ・ラガッツィ(下) の商品レビュー

4.5

35件のお客様レビュー

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2024/04/15

本能寺の変、織田信長の暗殺についてがとても読み応えがあった。明智光秀が何故、織田信長暗殺の行動を取ったのか、朝廷の思惑など。これについては日本の中の侍の小競り合い目線では収まらない、キリスト教の存在がここまで大きなうねりとなったのが自分にとっては初めての説でとても興味深く、読んだ...

本能寺の変、織田信長の暗殺についてがとても読み応えがあった。明智光秀が何故、織田信長暗殺の行動を取ったのか、朝廷の思惑など。これについては日本の中の侍の小競り合い目線では収まらない、キリスト教の存在がここまで大きなうねりとなったのが自分にとっては初めての説でとても興味深く、読んだ時は興奮して家族に話したくらい笑 伊勢神宮参りが流行った(定着した?)ことの理由に、キリスト教徒ではない証明として、というのも初耳で興味深かった。 秀吉の暴君ぶりに対して、民衆が対抗せず自殺しているというのを読んだ時、現在の日本国民も政府の酷さに声を上げずに悲観し絶望し自殺する人も、声を上げない人もいるなと思っていたことがどこかつながった。国民性なのだろうか。 織田信長のとんでもなさ、スケールの大きさを思い知り、秀吉のプライドとルサンチマンの高さにドン引きした。 天正遣欧使節の少年たちについて、教科書に出てくる名前以外については知らなかったので、原マルティノが語学に長けているとか、中浦ジュリアンがあんなことに、とか、個性や帰国後の苦労など、生きていた彼らについてきちんと知ることができて良い機会であった。 読んでも読んでも終わらない読書かと思っていたけどなんとか読み終わることができたけれど…固有名詞は知らないことも多く、自分が世界史にも地理にも知識不足ゆえに、理解は程遠いのだと思う。 でも今の自分で読めるところを頑張って読みました。 この本には、原田マハさんの『風神雷神』きっかけで手を伸ばしました。 原田マハさんの勉強家な部分にも、若桑みどりさんの研究熱心、フラットな思考回路、膨大な資料をまとめる文章力に感心しきりでした。 ボリュームがすごすぎるために、文庫化した時に注釈が下巻にだけまとまったのかもですがこれは読みづらかったです。校正に出す費用がなかったのかなあ。 本によっては注釈にまで著者の意見やコメントがあるものもありますが、本著はシンプルな引用元の表記だったので、参照する機会が少なかったのが救いでした。 ◾️印象に残ったフレーズ p102 人間の価値は社会において歴史に名前を残す「傑出した」人間になることではない。それぞれが自己の信念に生きることである。 p118 知識だけが人間を進歩させ、解放するのだから、知識の窓を閉ざして仕舞えば、その成長は遅れる。 p217 「英雄色を好む」などといった俗っぽいことばで、秀吉の行為を見のがすことは自分自身が男根中心主義(ファロセンチュラリズム)である男性の歴史家のやることである。 p220 右近はキリスト教信仰と主君の命令とがどちらが重いかはわからない、ただ自分が変えぬと誓った信仰を変えることは武士にふさわしくない、そのようなことはたとえ主命であってもできないと言った。

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2024/03/20

文章は少し読みにくいと感じるものの、内容は一級品。 ホロコーストとキリシタン迫害の比較は、考えさせられるものがありました。 当時を生きる無名の個人、殉教の人々、そこにはそれぞれのストーリーがあったことを感じました。 西洋と日本、男と女、宗教の対立、常に視点を変えて軸を考える。...

文章は少し読みにくいと感じるものの、内容は一級品。 ホロコーストとキリシタン迫害の比較は、考えさせられるものがありました。 当時を生きる無名の個人、殉教の人々、そこにはそれぞれのストーリーがあったことを感じました。 西洋と日本、男と女、宗教の対立、常に視点を変えて軸を考える。 多様性の時代にこそ、必要な考え方だと思いました。本書以外の作品も読んでみたくなりました。

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2023/10/10

おそらく膨大な資料を元に書かれた労作。小説ではなくて歴史物語。天正少年使節団の話だけでなくその前段階の日本におけるキリスト教布教やスペイン、ポルトガルなどそれぞれの国の関係や織田信長、豊臣秀吉といった天下を統一しようとした武将たち、キリシタン大名、宣教師たち、日本のキリシタンたち...

おそらく膨大な資料を元に書かれた労作。小説ではなくて歴史物語。天正少年使節団の話だけでなくその前段階の日本におけるキリスト教布教やスペイン、ポルトガルなどそれぞれの国の関係や織田信長、豊臣秀吉といった天下を統一しようとした武将たち、キリシタン大名、宣教師たち、日本のキリシタンたちについて幅広く細かめに、もちろん著者のフィルターはあるだろうけど基本的には資料に基づいて歴史が語られる。決して読みやすくはないごつごつとした文章で、時系列も内容によって入れ替わるので気を抜くと話を見失ってしまうこともある。 それでもザビエルの日本でのキリスト教布教開始から江戸時代の禁教までの盛り上がりから衰退までのドラマを少年使節団やキリシタン大名をはじめとした個人の視点を通して描かれる物語は苦労した上での成功からの破滅であって、ひどく哀しい。著者も言う通り日本がキリスト教を手なづけて国際舞台に残る選択をしていたらどうなっていたのか、変えることはできない歴史だけど興味が湧く。

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2023/03/04

ー たしかに、彼らが見聞きした西洋の社会、法と正義、民主の歴史は戦国末期の日本社会で生きた結果を生み出さなかった。しかし、それは彼らが傑出していなかったからだろうか?彼らが傀儡だったからだろうか?いったいだれが、封建制の上に立つ絶対権力を組織化していくさなかの日本で、法と正義と平...

ー たしかに、彼らが見聞きした西洋の社会、法と正義、民主の歴史は戦国末期の日本社会で生きた結果を生み出さなかった。しかし、それは彼らが傑出していなかったからだろうか?彼らが傀儡だったからだろうか?いったいだれが、封建制の上に立つ絶対権力を組織化していくさなかの日本で、法と正義と平和の主張をなしえたであろうか? 心に抱く信仰さえもが死によって抹殺されるような社会にあって、いったいどのように「傑出した」 人間が法と正義を主張できたであろうか?少年たちが見たもの、聴いたもの、望んだものを押し殺したのは当時の日本である。世界に扉を閉ざし、世界を見てきた彼らの目を暗黒の目隠しで閉ざしたのは当時の日本である。それでも、彼らは、自分たちの信ずることを貫いて生き、かつ死んだ。このあとの章でわれわれはその壮絶な後半生を見るであろう。人間の価値は社会において歴史において名前を残す「傑出した」 人間になることではない。それぞれが自己の信念に生きることである。 ー 名作。 プロローグからグッと来る。 最後が分かっているからこそ、「ローマの栄光」の儚さと「落日」までの展開がずっと心苦しい。 最後の穴吊りの拷問がエグすぎる。 権力者の意向に応じて、キリスト教徒にこれだけだけの迫害を出来る日本というのがこの国の姿なんだろうな。 信長、秀吉、家康が世界とどう向き合ったのかを考えると、これは国家だけの話ではなく、企業がいかにグローバル化して世界で戦う企業になるべきなのか、分かりやすく教えてくれる作品でもある。

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2022/12/17

伊東マンショ、千々石ミゲル視点で「おろしや国酔夢譚」「菜の花の沖」のような感じの小説かと勝手に想像してたけど違う。 世界史と室町のキリスト教史をベースに文献を基に書いている。時系列が行ったり来たりして読みづらさもあるが勉強になった。

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2022/04/29

天正少年使節の物語であるが西洋側からの記録や日本側からの記録など様々な視点から事実に基づいた文学作品となっている。読後感じるのは非常に感動的な読み応えのある作品でした。特に天正少年使節をめぐる戦国時代の歴史や戦国大名たちの有り様が別視点から見ることができ非常に勉強になります。また...

天正少年使節の物語であるが西洋側からの記録や日本側からの記録など様々な視点から事実に基づいた文学作品となっている。読後感じるのは非常に感動的な読み応えのある作品でした。特に天正少年使節をめぐる戦国時代の歴史や戦国大名たちの有り様が別視点から見ることができ非常に勉強になります。また私にとって興味のなかった天正少年使節の人生がいかにすごかったのか、西欧に渡っての名声と名誉そして、日本に帰国してからの鎖国をめぐる伴天連追放令に伴う処刑や拷問等の殉教の有り様が少年たちの相反する極端な人生の運命を通して私たちにも非常に考えさせられる物語でした。この小説は事実に基づくものであり歴史小説としても大変勉強になります。一読の価値あり。

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2022/02/13

世の中は、気付かず一方向からしか教えられてない事が多い。 宣教師と子供の使節団の物語を通して、多面的な人や国や立場や人種、多くの違いの角度をもって、読ませてくれる。 「体制と権力あるところに全面的な善は期待できない」 いつの世も同じで汚さも見え隠れするけど、それでも、清らかで...

世の中は、気付かず一方向からしか教えられてない事が多い。 宣教師と子供の使節団の物語を通して、多面的な人や国や立場や人種、多くの違いの角度をもって、読ませてくれる。 「体制と権力あるところに全面的な善は期待できない」 いつの世も同じで汚さも見え隠れするけど、それでも、清らかで未来志向な人達の物語も、また同時に存在する。 その結果の積み上げが、現在に繋がる。 そんなコトを感じながら、北京オリンピックを観てるそんな冬の休日。笑

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2021/08/14

ようやく読み終えた。 やはりこの話はこう終わるよね、とため息とともに切なさで胸がいっぱいになる。 ようやく旅に出発した4人の少年たち。本の中ではあっという間に帰ってくる。個人的に、訪欧時の出来事がたくさん描かれているのだろうという勝手な期待があったので、その点においては少しだけ...

ようやく読み終えた。 やはりこの話はこう終わるよね、とため息とともに切なさで胸がいっぱいになる。 ようやく旅に出発した4人の少年たち。本の中ではあっという間に帰ってくる。個人的に、訪欧時の出来事がたくさん描かれているのだろうという勝手な期待があったので、その点においては少しだけがっかりした。 けれど、帰国後の話は今までに知っていたものの何よりも詳しい。 遠藤周作の「沈黙」と重なる部分もあって、ジュリアンが殉教したのは沈黙のほんの少し前なのだなぁと、自分の知っている話と繋がったことで少しだけ身近に感じた。 江戸時代の鎖国の背景、巷で言われるスペインの日本征服の噂、様々な角度から触れており、まさに論文と呼ぶべき代物である。 当時の日本が非常に混乱していた時代だったが故に、どうしても海外の資料に頼らなければならない反面、その信憑性についてもしっかりと吟味してくれている。 宣教師の発言には時折「?」と思う部分も多いけれど、日本人の生き方や習慣、心、などを心の底から理解することは難しいであろう彼らの発言であるからこそ、行動としてはごく正確に書き表されているだろうと思える。そういった面から、日本でもまだ謎の多い歴史上の人物を自分なりに推察してみるのも面白い、と思った。

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2021/02/06

学校では写真というか図と一緒に紹介された記憶はある『天正少年使節』。 思えば、なぜ使節が派遣されたのか、その後彼らがどうなったのかはほとんど考えたことがなかった。 その時代背景とともに丁寧に書かれた本。上巻の最後の方から現れる少年使節のことよりも、キリスト教が日本でどう扱われてい...

学校では写真というか図と一緒に紹介された記憶はある『天正少年使節』。 思えば、なぜ使節が派遣されたのか、その後彼らがどうなったのかはほとんど考えたことがなかった。 その時代背景とともに丁寧に書かれた本。上巻の最後の方から現れる少年使節のことよりも、キリスト教が日本でどう扱われていたかが良くわかると思う。 決して面白おかしく読める本でもなく、どちらかというと読みにくい部類ですが、とある時代の宗教の扱われ方を覗いてみたい人にはいいかも。

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2020/08/08

極東の端っこの日本から、16世紀・戦国時代にヨーロッパに少年が渡っていた。。。なんともロマンがある。世界史の中で日本は決してガラパゴスで閉じたものではなく、様々な影響を受け、影響を与えていたということが、単純な驚き。

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