クアトロ・ラガッツィ(下) の商品レビュー
日本語、ラテン語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語などの一次史料、二次史料を縦横無尽に統合したこの労作は、「世界史」の中に「日本史」を統合するだけでなく、みずみずしさをももたらしてくれた。 ポルトガルー>スペインー>オランダー>イギリスと覇権の遷移の中でのこ...
日本語、ラテン語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語などの一次史料、二次史料を縦横無尽に統合したこの労作は、「世界史」の中に「日本史」を統合するだけでなく、みずみずしさをももたらしてくれた。 ポルトガルー>スペインー>オランダー>イギリスと覇権の遷移の中でのこの日本の戦国時代はやはりエキサイティングだ。 ジェノサイドとしてのキリスト教迫害と隠れキリシタンについて勉強してみようと思う。
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最近、「世界史の中における日本の位置づけ」に興味があります。 この本は、戦国時代の末期に、いわゆるキリシタン大名からヨーロッパに向けて派遣された「天正少年使節」について書かれた一冊です。 16世紀の半ば、フランシスコ・ザビエルがキリスト教を布教しに来て数年後の日本から、記述が始ま...
最近、「世界史の中における日本の位置づけ」に興味があります。 この本は、戦国時代の末期に、いわゆるキリシタン大名からヨーロッパに向けて派遣された「天正少年使節」について書かれた一冊です。 16世紀の半ば、フランシスコ・ザビエルがキリスト教を布教しに来て数年後の日本から、記述が始まります。 日本に来た宗教関係者が、どのように日本や日本人について感じていたか、いっぽうキリスト教というカルチャーショックを受けた日本、特に九州ではどのような反応があったかについて、詳しく記述されています。 そして日本の実質的な王となった織田信長がキリスト教に対してどのような態度をとったか、その背景にはどのような考えがあったのか、残された資料を追って、著者の考えが記されています。 上巻も400頁を超えたところでようやく、主人公である4人の少年が登場します。 下巻は、この4人の日本人がローマという「世界の中心」に行きどのような待遇をされたのかが、ヨーロッパ側の資料を紐解き、描かれています。 信長の治世に出発した4人が、8年という歳月を経て日本に帰国。 豊臣秀吉の治世になって激変した4人の運命が、つづられていきます。 小説という形ではなく、日本とヨーロッパの資料を咀嚼し編集した「歴史書」と言えるタイプの、本になるかと思います。 読んでいて驚いたのが、16ー17世紀の日本について、多くの記録がヨーロッパに残っているということ。 そして、”世界の果て”から来た4人がどのような思惑によりヨーロッパに向かい入れられたのか、本書を読んで始めて、認識することができました。 背景説明の頁数が多く、登場人物も多くて読むのには苦労しましたが、ヨーロッパ世界と日本との関係について、目を開かせてもらえた一冊でした。 主観ではなく客観的な視点から、日本や日本の歴史を見るというのは大切なことだなあと、あらためて認識しました。 この時代のことに興味が湧いて来たので、関連する書籍を探して、読んでみることにします。
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上下巻で文庫とはいえ1000P程度の大作。 読み終わるのに時間がかかりました。 上巻においては、少し読みにくく冗長な感じ もありましたが、下巻の内容は流れるように 読めました。 カトリックの世界観と日本の戦国時代の 歴史の叙情詩のような大河ドラマで、 よくここまでという大作です。...
上下巻で文庫とはいえ1000P程度の大作。 読み終わるのに時間がかかりました。 上巻においては、少し読みにくく冗長な感じ もありましたが、下巻の内容は流れるように 読めました。 カトリックの世界観と日本の戦国時代の 歴史の叙情詩のような大河ドラマで、 よくここまでという大作です。 欧州の歴史についての知識がもう少しあれば もっとわかりやすいのだろうと思います。
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秀吉や徳川によるキリシタンの迫害、そして日本の鎖国体制がどうやって築かれていったかを、主にキリスト教側からの視点で書いていると思う。少年使節となった4人だけでなく、キリシタン大名や背教者にも焦点をあてて、なぜキリシタンの迫害が日本で起こったのかが解説されている。非常に勉強になる1...
秀吉や徳川によるキリシタンの迫害、そして日本の鎖国体制がどうやって築かれていったかを、主にキリスト教側からの視点で書いていると思う。少年使節となった4人だけでなく、キリシタン大名や背教者にも焦点をあてて、なぜキリシタンの迫害が日本で起こったのかが解説されている。非常に勉強になる1冊でした。
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戦国時代の終結、スペイン・ポルトガルの没落、イギリス・オランダの興隆、キリスト教会派の対立、その渦に巻き込まれる日本のキリスト教。幾つもの要因が史実を成している中で、 世界史の教科書も日本史の教科書もいかに立体感、重層感がだせないか、(だせずにいるか)がよくわかる。 これくらい多...
戦国時代の終結、スペイン・ポルトガルの没落、イギリス・オランダの興隆、キリスト教会派の対立、その渦に巻き込まれる日本のキリスト教。幾つもの要因が史実を成している中で、 世界史の教科書も日本史の教科書もいかに立体感、重層感がだせないか、(だせずにいるか)がよくわかる。 これくらい多面的に書かれていると、強く引きこまれる。理解するのが大変だけど。
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日本のダイナミックな時代。 驚くのは、はじめてザビエルが日本に渡来してから、キリスト教が広がるスピード(そして、キリシタン禁令が出るまでのスピード)。 XX年後には、YYYが洗礼を受けキリシタン大名となり、更に、XX年後には、信長と謁見、そして、XXX年後に、少年使節をローマに送...
日本のダイナミックな時代。 驚くのは、はじめてザビエルが日本に渡来してから、キリスト教が広がるスピード(そして、キリシタン禁令が出るまでのスピード)。 XX年後には、YYYが洗礼を受けキリシタン大名となり、更に、XX年後には、信長と謁見、そして、XXX年後に、少年使節をローマに送っている。キリスト教のキの字も知らないところから、XXX年後には、ラテン語、ポルトガル語を自在に操って、法王に謁見する少年が輩出される。そして、XXX年後には、キリシタン禁令が発布され、少年達は迫害にあい、国外追放、殉教の道を歩むことになる。 交通機関、通信手段が限られた時代での、このスピード感には、ただただ驚かされる。 現代において、グローバル化のスピード感云々が議論されるが、議論の土台が間違っているかもしれない。
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これホント面白い本ですよ。信長の時代に遠路はるばる日本からローマまで旅した少年使節団のお話し。日本に一時は広まりかけたキリスト教が、結局は失敗して衰退していく過程が描かれている。大航海時代のポルトガルやスペイン、そのバックボーンとなったイエズス会とローマカトリック、彼等がどのよう...
これホント面白い本ですよ。信長の時代に遠路はるばる日本からローマまで旅した少年使節団のお話し。日本に一時は広まりかけたキリスト教が、結局は失敗して衰退していく過程が描かれている。大航海時代のポルトガルやスペイン、そのバックボーンとなったイエズス会とローマカトリック、彼等がどのような意図をもって布教しようとしたのか。これはいわば西洋文明と日本文化ががちで衝突した歴史上最初の一点なんだろうね。にしても当時の航海技術では日本からヨーロッパまで行くことは純粋に命がけ。事実嵐に襲われたりとか何度も死にかけている。スエズ運河も当然無い時代なので喜望峰経由、恐ろしく時間も掛かる。これ読むとよくローマまでたどり着いたなあと。そしてよく戻ってきたなあと。で、この少年四人がルネッサンスを生でみた歴史上唯一の日本人なんだよね。彼等が戻ってきた後秀吉や家康は自らの支配体制を強化すべくキリスト教を敵として利用しながら弾圧してくんだけど、この本の主題の一つは結果としてこの時に行った鎖国政策が日本の発展や日本人のメンタリティに今尚いろいろと影を落としているんじゃないかという一点です。確かに今の民主主義の問題点、改革の難しさなんかも、近代がすっぽり抜け落ちた国特有のものかもしれない。あと例えばメイロマさんみたいにあちらの文化を盲信するだけで上手く取り入れられない人とかもね。まっ、でも徳川も弊害ばかりじゃなくて、良い面もある。キリシタンの布教という視点で書かれた本なので当然その部分は何も触れられてないんだけど。
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ただ感動という言葉のみ。 これだけの重厚感ある物語を読んだのはひさびさである。学校では小田、豊臣、徳川の戦国時代から江戸に至るまでの三者を功績ばかりを習っていたようなきがしているが、その影で世界と日本をつなぐ動きが実際動であったのか、生き生きとした描写で知ることができる本書は、表...
ただ感動という言葉のみ。 これだけの重厚感ある物語を読んだのはひさびさである。学校では小田、豊臣、徳川の戦国時代から江戸に至るまでの三者を功績ばかりを習っていたようなきがしているが、その影で世界と日本をつなぐ動きが実際動であったのか、生き生きとした描写で知ることができる本書は、表面だけの歴史学習を深めるためにも、ぜひ読みたい2冊上下巻。 ※登場人物がたくさん出てくるし、名前も名字や名前、キリシタン名と時々に応じて様々に書かれており、関係性が見えてくる前では理解に結構手こずるかも。
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4人の使節が帰国後、日本の激変する社会状況の中でどのように生きていったのかということが興味深く書かれていた。今までの学校で習った自分の戦国史の捉え方が、すごく変わった。 一番面白かったのは、戦国時代〜初期の徳川幕府の時代について、西洋・日本・キリシタン・仏教信者・時の権力者etc...
4人の使節が帰国後、日本の激変する社会状況の中でどのように生きていったのかということが興味深く書かれていた。今までの学校で習った自分の戦国史の捉え方が、すごく変わった。 一番面白かったのは、戦国時代〜初期の徳川幕府の時代について、西洋・日本・キリシタン・仏教信者・時の権力者etc・・・異なる視点から、どの立場にも偏らず、実際の資料を元に丁寧に語られていること。 そして、無名の無数の人々に寄り添う視点に感動した。
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4人の少年がローマで教皇に謁見、そしてその後の顛末。 印象に残ったのは切支丹武将、高山右近と切支丹への弾圧。 高山はノブヤボではそこそこな武将になっているけど宣教師や信者たちからみると勇猛果敢にして名領主というスーパーマンだったらしい。 マンガ「ひょうげもの」で描かれる数寄者ぶり...
4人の少年がローマで教皇に謁見、そしてその後の顛末。 印象に残ったのは切支丹武将、高山右近と切支丹への弾圧。 高山はノブヤボではそこそこな武将になっているけど宣教師や信者たちからみると勇猛果敢にして名領主というスーパーマンだったらしい。 マンガ「ひょうげもの」で描かれる数寄者ぶりといい最近気になる戦国武将。 一方、切支丹への弾圧の激しさはかなり凄惨。 異端審問などキリスト教の黒歴史も相当なものだけど、ヨーロッパでやったぶん、日本ではやられたというか。。。 ほぼ同時代のドイツ30年戦争での有様を考えると、日本の信者は相当平和的で従容としている気がする。
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