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クアトロ・ラガッツィ(下) 天正少年使節と世界帝国 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2008/03/25 |
JAN | 9784087462753 |
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商品レビュー
4.5
35件のお客様レビュー
本能寺の変、織田信長の暗殺についてがとても読み応えがあった。明智光秀が何故、織田信長暗殺の行動を取ったのか、朝廷の思惑など。これについては日本の中の侍の小競り合い目線では収まらない、キリスト教の存在がここまで大きなうねりとなったのが自分にとっては初めての説でとても興味深く、読んだ...
本能寺の変、織田信長の暗殺についてがとても読み応えがあった。明智光秀が何故、織田信長暗殺の行動を取ったのか、朝廷の思惑など。これについては日本の中の侍の小競り合い目線では収まらない、キリスト教の存在がここまで大きなうねりとなったのが自分にとっては初めての説でとても興味深く、読んだ時は興奮して家族に話したくらい笑 伊勢神宮参りが流行った(定着した?)ことの理由に、キリスト教徒ではない証明として、というのも初耳で興味深かった。 秀吉の暴君ぶりに対して、民衆が対抗せず自殺しているというのを読んだ時、現在の日本国民も政府の酷さに声を上げずに悲観し絶望し自殺する人も、声を上げない人もいるなと思っていたことがどこかつながった。国民性なのだろうか。 織田信長のとんでもなさ、スケールの大きさを思い知り、秀吉のプライドとルサンチマンの高さにドン引きした。 天正遣欧使節の少年たちについて、教科書に出てくる名前以外については知らなかったので、原マルティノが語学に長けているとか、中浦ジュリアンがあんなことに、とか、個性や帰国後の苦労など、生きていた彼らについてきちんと知ることができて良い機会であった。 読んでも読んでも終わらない読書かと思っていたけどなんとか読み終わることができたけれど…固有名詞は知らないことも多く、自分が世界史にも地理にも知識不足ゆえに、理解は程遠いのだと思う。 でも今の自分で読めるところを頑張って読みました。 この本には、原田マハさんの『風神雷神』きっかけで手を伸ばしました。 原田マハさんの勉強家な部分にも、若桑みどりさんの研究熱心、フラットな思考回路、膨大な資料をまとめる文章力に感心しきりでした。 ボリュームがすごすぎるために、文庫化した時に注釈が下巻にだけまとまったのかもですがこれは読みづらかったです。校正に出す費用がなかったのかなあ。 本によっては注釈にまで著者の意見やコメントがあるものもありますが、本著はシンプルな引用元の表記だったので、参照する機会が少なかったのが救いでした。 ◾️印象に残ったフレーズ p102 人間の価値は社会において歴史に名前を残す「傑出した」人間になることではない。それぞれが自己の信念に生きることである。 p118 知識だけが人間を進歩させ、解放するのだから、知識の窓を閉ざして仕舞えば、その成長は遅れる。 p217 「英雄色を好む」などといった俗っぽいことばで、秀吉の行為を見のがすことは自分自身が男根中心主義(ファロセンチュラリズム)である男性の歴史家のやることである。 p220 右近はキリスト教信仰と主君の命令とがどちらが重いかはわからない、ただ自分が変えぬと誓った信仰を変えることは武士にふさわしくない、そのようなことはたとえ主命であってもできないと言った。
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文章は少し読みにくいと感じるものの、内容は一級品。 ホロコーストとキリシタン迫害の比較は、考えさせられるものがありました。 当時を生きる無名の個人、殉教の人々、そこにはそれぞれのストーリーがあったことを感じました。 西洋と日本、男と女、宗教の対立、常に視点を変えて軸を考える。...
文章は少し読みにくいと感じるものの、内容は一級品。 ホロコーストとキリシタン迫害の比較は、考えさせられるものがありました。 当時を生きる無名の個人、殉教の人々、そこにはそれぞれのストーリーがあったことを感じました。 西洋と日本、男と女、宗教の対立、常に視点を変えて軸を考える。 多様性の時代にこそ、必要な考え方だと思いました。本書以外の作品も読んでみたくなりました。
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おそらく膨大な資料を元に書かれた労作。小説ではなくて歴史物語。天正少年使節団の話だけでなくその前段階の日本におけるキリスト教布教やスペイン、ポルトガルなどそれぞれの国の関係や織田信長、豊臣秀吉といった天下を統一しようとした武将たち、キリシタン大名、宣教師たち、日本のキリシタンたち...
おそらく膨大な資料を元に書かれた労作。小説ではなくて歴史物語。天正少年使節団の話だけでなくその前段階の日本におけるキリスト教布教やスペイン、ポルトガルなどそれぞれの国の関係や織田信長、豊臣秀吉といった天下を統一しようとした武将たち、キリシタン大名、宣教師たち、日本のキリシタンたちについて幅広く細かめに、もちろん著者のフィルターはあるだろうけど基本的には資料に基づいて歴史が語られる。決して読みやすくはないごつごつとした文章で、時系列も内容によって入れ替わるので気を抜くと話を見失ってしまうこともある。 それでもザビエルの日本でのキリスト教布教開始から江戸時代の禁教までの盛り上がりから衰退までのドラマを少年使節団やキリシタン大名をはじめとした個人の視点を通して描かれる物語は苦労した上での成功からの破滅であって、ひどく哀しい。著者も言う通り日本がキリスト教を手なづけて国際舞台に残る選択をしていたらどうなっていたのか、変えることはできない歴史だけど興味が湧く。
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