犬はどこだ の商品レビュー
主人公、紺屋は、犬探しを専門とした調査事務所を開業することにした。 しかし舞い込んだ仕事は、ひとつは失踪者の捜索。 もう一つは、神社に伝わる古文書の由来を解析することだった。 もちろん、犬探しが専門のつもりだったけれど、条件次第では来るものは拒むつもりはない。 そこで、紺屋...
主人公、紺屋は、犬探しを専門とした調査事務所を開業することにした。 しかし舞い込んだ仕事は、ひとつは失踪者の捜索。 もう一つは、神社に伝わる古文書の由来を解析することだった。 もちろん、犬探しが専門のつもりだったけれど、条件次第では来るものは拒むつもりはない。 そこで、紺屋はこの2つの依頼を受けることにしたが、 全く無関係に見えたこれらの依頼は、調査を続けるうち、次第に1つの線に繋がっていく… 登場人物が、みんな素敵でした。 主人公の紺屋や、その妹、梓、喫茶店のオーナー友春。 中でもお気に入りは、探偵にあこがれて紺屋のもとにやってきた、半田です。 シリーズものとして書いたらしいのですが(もちろんこの1冊でもしっかり完結しています)、この本が刊行された2005年から、もう7年。 2作目は、まだ出ていないようですね…。 続編をはやく読んでみたいです。
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後ろ向きな探偵さんは好き。対してがつがつしてる助手さんとの対比がなかなか。ひそかなお気に入りは妹さん。
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犬捜し専門の仕事を始めたはずなのに、依頼は失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、ふたつはなぜか微妙にクロスして-。いったいこの事件の全体像は? 犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵・紺屋、最初の事件。
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主人公の無気力感に妙に共感できるところからのめりこみ始め、傍観者(=読者)の立場からはどう見ても単一事件なのに一向に交わらない二人の探偵にイライラどきどきさせられつつ、最後はなんともいえない微妙な読後感という、私好みのミステリーでした。 郷土史的な記述も、インターネット的な記述も...
主人公の無気力感に妙に共感できるところからのめりこみ始め、傍観者(=読者)の立場からはどう見ても単一事件なのに一向に交わらない二人の探偵にイライラどきどきさせられつつ、最後はなんともいえない微妙な読後感という、私好みのミステリーでした。 郷土史的な記述も、インターネット的な記述も、違和感なく読める辺りに著者の人物が透けて見えるような気がするのも楽しい。 さわやかな読後感のミステリーが読みたい気分なのに、でもこういう感じ好きなんだよな・・・
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一見何の変哲もない古文書解読が思わぬ方向に繋がり、更にその真意が明らかになった時には寒気すら感じました。 主人公、紺屋の最後の呟きには心底同意せざるを得ないです。 一応シリーズものとのことなので続きに期待。 米澤先生の作品では比較的珍しい「妹」キャラも出てくるので、そちらが気になる方にもオススメです。
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歴史や民俗学もからんでいて、読み応えのあるミステリ。 一筋縄ではいかない終わり方も、なかなかよかった。 このふたりのコンビも、読んでいて楽ししかった。 続編を気長に待つとしよう。
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読ませるなぁ。 で?で?って感じでどんどん進んでいく感じ。 紺屋とハンペーのコンビもいいし。 犬探し家業なのに、だれもそう思ってない「紺屋S&R」 あー、面白そうな職場だ。 でも、怖いなぁ。 ネット世界での姿は見えなくても、存在がわかって その確かに存在する者からの リアルな...
読ませるなぁ。 で?で?って感じでどんどん進んでいく感じ。 紺屋とハンペーのコンビもいいし。 犬探し家業なのに、だれもそう思ってない「紺屋S&R」 あー、面白そうな職場だ。 でも、怖いなぁ。 ネット世界での姿は見えなくても、存在がわかって その確かに存在する者からの リアルな攻撃・・怖いな。 ちょっと前の作品なんで、今はもっと違った感じなのかしら。 その攻撃の被害者とも言うべき佐久良桐子が 一番怖い人?? んー、こわいよなぁ、 攻撃されてる自分を使う感じ。 全てをなかったことにぃ、という感覚が怖いけど、なんか現実的。 面白かったぁ。
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やる気はないけど、真面目な探偵さん。 やる気はあるけど、ちょっとチャラっとした後輩探偵さん。 開設と同時に、紹介されて。。。と舞い込んできた依頼。 事業趣旨とは違うけど、受けた以上はちゃんとやる。 最後、あー、そうなんだ。。。という展開。 表に出ない(=事件になっていない)行方...
やる気はないけど、真面目な探偵さん。 やる気はあるけど、ちょっとチャラっとした後輩探偵さん。 開設と同時に、紹介されて。。。と舞い込んできた依頼。 事業趣旨とは違うけど、受けた以上はちゃんとやる。 最後、あー、そうなんだ。。。という展開。 表に出ない(=事件になっていない)行方不明者ってものすごい数いるから、実際こういうこと、あるかもね。 そして、しれっと、日常を過ごすんだ・・・。 すっきりしているような、でも、少し澱を残した終わり方でした。
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失踪人探しと古文書の解読、ふたつの依頼を同時に受けた調査事務所〈紺屋S&R〉。所長と押掛け所員が別々に担当する。すると2つの依頼が微妙にかみ合い始める。 読者からすれば当然生まる疑念、そして回答は明らかだったりするけれど、もちろん登場人物たちは気づけない。よくある読者のイライラ。 「なんで気づかないんだよ〜」 よくあるよくある。しかし本作の依頼自体はどこか牧歌的にな雰囲気があり、緊張感に欠けるので登場人物たちのヒントの見逃しはあまりストレスにならない。 そして終盤、2つの依頼から導き出された本当の危機に対し、主役としてヒーローとして万全に行動してみせる様がとても爽快感があった。まあ、最後はちょっとゴニョゴニョだけど……。 物語の緩急が非常に心地よい良作でした。
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現代を舞台に職業探偵を書こうとすると、どうしてもマンガ的劇画的になりがちだが、この『犬はどこだ』はリアルと虚構のバランスが絶妙だ。そして田舎や中途半端な地方都市を描かせたら抜群にうまいなぁ、米澤さん。 病気退職で都落ちしてきた元銀行員が地元でペット捜しの調査事務所を開く。開業二...
現代を舞台に職業探偵を書こうとすると、どうしてもマンガ的劇画的になりがちだが、この『犬はどこだ』はリアルと虚構のバランスが絶妙だ。そして田舎や中途半端な地方都市を描かせたら抜群にうまいなぁ、米澤さん。 病気退職で都落ちしてきた元銀行員が地元でペット捜しの調査事務所を開く。開業二日で依頼は立て続けに2件。しかし『孫捜し』と『古文書の解読』という共に当初の予定を逸脱した案件に、困惑しながらも調査を始めるのだが... 役場に勤める旧友が、じいさん達の苦情処理も兼ねて主人公の事務所に半ば押し付ける形で仕事を廻してくる設定が面白い。この役場の窓口が探偵と依頼人をつなぐパイプ役になっているのだ。そして小説や映画の世界の『探偵』に憧れるフリーターの後輩が臨時職員として加わり物語が始まる。 心に瑕を負った主人公が事件に関わることによって本来の自分を取り戻していくというハードボイルドの定石を踏まえつつ、一見して脱力のストーリーが次第に不気味な様相を呈して、しかもミステリ的なツイストが幾重にも加わるという贅沢な作品。それを都会の路地裏や薄暗いバーカウンターなど出さずにやってのけるのが憎い。 ラストに震える。 『犬はどこだ』というタイトルも巧い。
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