光の指で触れよ の商品レビュー
面白かったけど、違和感も残る。それは私が田舎の子だからか。今の自分の状況と重ねてしまう部分があるからか。 (追記) 自給自足の生活と地に根を張ること、土地のしがらみをひきうけることは切り離せないと思う。だからこそジレンマが生まれるんじゃないかな。それがあたかもないように描かれて...
面白かったけど、違和感も残る。それは私が田舎の子だからか。今の自分の状況と重ねてしまう部分があるからか。 (追記) 自給自足の生活と地に根を張ること、土地のしがらみをひきうけることは切り離せないと思う。だからこそジレンマが生まれるんじゃないかな。それがあたかもないように描かれていることが違和感の原因だと思い当たったすっきり。20110629
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「素晴らしき新世界」の続編と知らずに買って、放置しておいたら3.11。その後の自分の身の周りの変化にまるで呼応するかのように、このコミュニティ小説は示唆に富んでいる。福島のウインドファーム、エネルギー問題、自給自足を目指すコミュニティ、シュタイナー教育、そして家族の絆...特に大...
「素晴らしき新世界」の続編と知らずに買って、放置しておいたら3.11。その後の自分の身の周りの変化にまるで呼応するかのように、このコミュニティ小説は示唆に富んでいる。福島のウインドファーム、エネルギー問題、自給自足を目指すコミュニティ、シュタイナー教育、そして家族の絆...特に大規模停電下でのコンビニ店員の奮闘振りはまさにあの日見た光景そのものだった。その後、実際にこの小説の最後の舞台になった相模原市藤野に移住した人と知り合い、トラジションタウンの活動を知ることになる。不思議な符合が起きている。
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すごい小説に出会ってしまった。 自分の心を奥深くから、揺さぶられ、揺さぶられ、 持って行かれた感じ。 それにしても、改めて、この作品を読んで、思った事。 テレビはいらない。 テレビはサッカー用に、昔のように、 捨てるとまではいわないけれど、 コンセントを抜いて、布カバーでも掛けておこう。 「新しい車や、新しいテレビや、新しい冷凍食品が買えない、あるいは、しばらく新しいモノの情報に接していない。それで不安になるのは、そう仕組まれているからではないか。そのことに気づいて、今度はいいように操作されている自分のありかたが不安になった。自分は自分の主人ではないという不安」
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夫、林太郎の不倫をきっかけに、ヨーロッパへ渡った妻アユミと娘キノコ。 寄宿舎学校にいる息子森介。 風力発電の研究者とその妻がそれぞれに関係を持った人たちから影響を受け、 考え方を変えて、同じところに行き着くお話。 原発に頼らない電力供給、自給自足の生活。お金からは得られない幸福。 登場人物のひとりが私と同じ名前。 新刊でもないのに、このような内容の本を今、手に取ったことがとっても不思議。 本は、本屋さんでも図書館でもずらっと並んでいるけれど、 自分にとって必要な内容の本は、必ず私の目に留まるようにオーラを出す。 それに抗うことは絶対にできない。 そして読むと、心に体に電気が走る。 でもこの本は図書館の本棚に普通にあった。 だけどなぜか手に取った。 どんな意味があるのか考えてみよう。 ただ、精神世界の部分には共感できなかったし、必要だったのかなと思う部分もあった。 この家族のお話は前作があるようなので、読んでみようと思う。
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新刊ではないこの作品をなぜいま手に取ったのか、自分でも疑問だった。 読み進めるごとにその理由が身に沁みた。 こういうことがあるから読書は止められない。
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シュタイナー教育について友人と話をした数日後、この本をすすめられた。 池澤氏の本は未読。「ティオの夜の旅」しか知らなかった。 読み始めて、「現代女性作家によくあるような、結婚崩壊話かな」と思った。 それは早合点だとわかる。 アユミと林太郎の夫婦は、夫の不倫が原因で結婚生活を一...
シュタイナー教育について友人と話をした数日後、この本をすすめられた。 池澤氏の本は未読。「ティオの夜の旅」しか知らなかった。 読み始めて、「現代女性作家によくあるような、結婚崩壊話かな」と思った。 それは早合点だとわかる。 アユミと林太郎の夫婦は、夫の不倫が原因で結婚生活を一旦停止することになる。 長男の森介は新潟の全寮制の高校にいるため、家庭崩壊とは直接関わらないが、アユミはまだ幼い長女キノコを守るため(理由はのちにわかる)、ヨーロッパに行く。 彼女はオランダ(とフランス)とイギリスで、「コミュニティ」とよばれる集団に身を置いて生活をはじめる。 農業やキッチンの仕事を手伝うことで、自分の生活を支える集団。 家族よりゆるやかで、会社よりしばられた関係に、興味を覚えた。 信仰が(多少は)彼らをつなぐもとになっている場合もある。 そういう意味では、修道院や日本の寺院などの生活に似ている。 アユミは、精神と肉体のつながり、世界と自分のつながりを考え、家族とはなにかを再び考える。 一方、林太郎は森介を通じて新しい知己を得て、不倫関係を終えて(美緒は、あまりにもかませ犬だ・・・笑)、風車の仕事も辞めて、新しいカタチの農業を始めることを模索する。 有機農業の先にあるような、自給自足の生活に近い。 オカネを介在しない世界。 家族とは何か。 食(=農業)とは何か。 教育とは何か。 新しいカタチの豊かさを模索していく。 「世界はすべてつながっている」 というフレーズが、この作品の本質なのだろう。 こういう生き方もある。 こういう世界もあるのだ、と教えてくれた本に感謝。 しかし、アユミとトーマスのあの話にはビビリました。うへ。
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再読。初読2008 再読でもわだかまりを感じる。 宗教と家族という集団について、踏み込んで振れて偏りがある。 一方で、分析的な議論あるいはきれいな直感だけの家族観も現実と違う。 反対に農業については、もっといろいろな視点で議論できたのでは。
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幸せ4人家族のはずが、 父は不倫、息子は全寮制高校、 母と娘はヨーロッパへ・・ 色んな生き方があるよね。
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倫理的な問題を考えるために書かれているという意味では、たとえば小野不由美の「十二国記」だったり、辻村深月の「メジャースプーン」だったりと変わらないはずなのに、ここでの池澤は物語的な構造や想像力よりもリアリズムが勝ってしまって、共感できるようなお話になっていないように感じた。前編に...
倫理的な問題を考えるために書かれているという意味では、たとえば小野不由美の「十二国記」だったり、辻村深月の「メジャースプーン」だったりと変わらないはずなのに、ここでの池澤は物語的な構造や想像力よりもリアリズムが勝ってしまって、共感できるようなお話になっていないように感じた。前編にあたる、「すばらしい新世界」と比べても、さらにパワーダウンしている感じ。
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とある家族の崩壊と再生。…ながい。「素晴らしい新世界」は未読だが、問題なかったようだ。 現代の日本においてお金に依らない生活をするというのがどれだけ難しいか、という話。
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