寒い国から帰ってきたスパイ の商品レビュー
冷戦時代のスパイの話。 池上彰さんが好きな本だという事で読んでみた。 歴史の知識が浅い自分には少々難しい内容であったが、途中から世界観にどんどん引き込まれていく。 乾いた骨をしゃぶり続ける狼。その骨を取り上げないと新しい獲物に飛びつこうとしない このセリフが妙に心に残った。 ...
冷戦時代のスパイの話。 池上彰さんが好きな本だという事で読んでみた。 歴史の知識が浅い自分には少々難しい内容であったが、途中から世界観にどんどん引き込まれていく。 乾いた骨をしゃぶり続ける狼。その骨を取り上げないと新しい獲物に飛びつこうとしない このセリフが妙に心に残った。 スパイものの小説というものを初めて読んだのだが、映画でもスパイものというジャンルは全然見た事が無い。 007すら見た事が無いため、今度見てみようと思う。 歴史を改めて学んだのちに読み直したいと感じた。
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諜報活動は人の騙し合いである。真相を幾重にも隠していく、その先には彼らの尊厳をむしり取られていく裏切りや懲罰が潜んでいる。国家という組織はいつしか利権や体裁を優先する組織となり人に命を瑣末に扱うゲームに興じているのではないか。一人ひとりの献身がチェスの駒のように扱う人々もまた駒と...
諜報活動は人の騙し合いである。真相を幾重にも隠していく、その先には彼らの尊厳をむしり取られていく裏切りや懲罰が潜んでいる。国家という組織はいつしか利権や体裁を優先する組織となり人に命を瑣末に扱うゲームに興じているのではないか。一人ひとりの献身がチェスの駒のように扱う人々もまた駒となっていることに気付かない道化師のようでやるせない。情報という形が無いものに奔走する姿は人固有の滑稽である。スパイに限らずスマホにご執心の方々もしかり。
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スパイものの古典かつ金字塔と言われる作品らしい。その手の『分野で一番』と言われる作品は読めるうちに読んでおきたい、と思って読んでみた。 ラスト30頁で見事に世界が反転する様は、ミステリーファンなら嬉しい騙され方でしょう。 ラストは切ないけど。 守りたいものを守るために、敢えて...
スパイものの古典かつ金字塔と言われる作品らしい。その手の『分野で一番』と言われる作品は読めるうちに読んでおきたい、と思って読んでみた。 ラスト30頁で見事に世界が反転する様は、ミステリーファンなら嬉しい騙され方でしょう。 ラストは切ないけど。 守りたいものを守るために、敢えて嵌めに行って失敗させる、という大変逆説的な作戦で、人間の心理として、こんな作戦がとれるものだろうか、と言う気もしたが、少なくとも撹乱戦法としては機能するような。
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冷戦スパイモノの傑作!とされているので買って読みました。たぶん原語で読めれば傑作なんでしょうけれど…もっと意訳してくれた方が良かったのかも。大学生の頃に読んだフリーマントルのチャーリー・マフィン・シリーズのような興奮までは及ばなかったのが正直な感想。出会った時代のせいかも。
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スパイ小説の金字塔と言うことで読んでみた。諜報部員の生々しい現実とスパイ情報部員の中にも普通の人間と同じ血の通った人間味のあるストーリーが具体的にリアルに描かれている。物語を通して情報部員の裏に潜む非情な世界とスパイの特殊な使命と悲劇が描かれている。スパイ物として非常に面白い物語...
スパイ小説の金字塔と言うことで読んでみた。諜報部員の生々しい現実とスパイ情報部員の中にも普通の人間と同じ血の通った人間味のあるストーリーが具体的にリアルに描かれている。物語を通して情報部員の裏に潜む非情な世界とスパイの特殊な使命と悲劇が描かれている。スパイ物として非常に面白い物語であります。
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先日亡くなられたスパイ小説の大家ジョン・ル・カレの代表作の一つだ。僕の生まれる前年に発表されている、すでに古典といってもいいのではないか。 現代のスパイ小説を読みなれていると、本作に出てくる人物は純朴に映る。遂行される作戦も単純で遂行されるスピードも牧歌的だ。どんでん返しの...
先日亡くなられたスパイ小説の大家ジョン・ル・カレの代表作の一つだ。僕の生まれる前年に発表されている、すでに古典といってもいいのではないか。 現代のスパイ小説を読みなれていると、本作に出てくる人物は純朴に映る。遂行される作戦も単純で遂行されるスピードも牧歌的だ。どんでん返しのあるストーリーだが、ひねりがなくストレート。そう、夏目漱石の心を読んでいるような印象で、まさに古典的名作だ。
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「スマイリーの言葉は正しかった。攻撃への攻撃、報復にたいする報復、これは永久にくりかえされて、停止するところがない」 イギリス秘密情報部(通称サーカス)のリーマスは、「ベルリンの壁」で分断された東ドイツにおける諜報活動の責任者だった。だが、東ドイツ諜報機関の副長官ムントによって...
「スマイリーの言葉は正しかった。攻撃への攻撃、報復にたいする報復、これは永久にくりかえされて、停止するところがない」 イギリス秘密情報部(通称サーカス)のリーマスは、「ベルリンの壁」で分断された東ドイツにおける諜報活動の責任者だった。だが、東ドイツ諜報機関の副長官ムントによってイギリスが築き上げてきた諜報網はあえなく壊滅。リーマスはベルリンからの撤退を余儀なくされる。 酒に溺れ、組織の金を横領し、サーカスをも追われたリーマスは職業安定所で紹介された図書館で働き始め、愛し合う女性ナンシーと出会うも荒んだ生活は変えられず、トラブルを起こしてついに投獄されてしまう。 やがて出獄したリーマスを待っていたのは、東ドイツの工作員だった。彼らによって多額の報酬を保証されたリーマスは、再び東ドイツの地へと帰っていく。 だが、それは宿敵ムントの失脚を図るサーカスが巡らせた、巧妙な罠だった――。 東西冷戦下、壁によって東西に隔てられたベルリンを舞台に繰り広げられる、東ドイツ諜報機関とイギリス秘密情報部の二重スパイを巡る暗闘。前線のエージェントはしょせん作戦上の手駒にすぎず、作戦の全貌と真の目的を知るのは一握りの上層部の者のみ。一体どこから仕組まれていたというのか? 冷徹なまでに完璧に作り込まれた作戦はしかし、思わぬところから綻びが生じ、崩壊していくのだ。 派手なアクションもなく、胸の空くようなオチもない。リアリズムに徹した物語は苦渋の連続で、ル・カレ作品ではお約束、全てが終わった後のこの虚無感と言ったら……。 東側の国を「寒い国」と表現する言葉のセンスが素晴らしい。1963年に出版され、一躍ジョン・ル・カレの名を世界に知らしめたスパイ小説の傑作。
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おもしろいのだけどなんだろ、いうほどめいさくなのだろうか。著者はそこまで称賛されるべき書き手なのだろうか。 リーマスが身を持ち崩す(ように装う)様子などそこまで克明に詳しく描く?もっと短く済ませられないもの?尋問の内容などもそこまで詳しく描く?断片的に済ませられないもの?後半の裁...
おもしろいのだけどなんだろ、いうほどめいさくなのだろうか。著者はそこまで称賛されるべき書き手なのだろうか。 リーマスが身を持ち崩す(ように装う)様子などそこまで克明に詳しく描く?もっと短く済ませられないもの?尋問の内容などもそこまで詳しく描く?断片的に済ませられないもの?後半の裁判のシーンなどはスリリングな場面だしどんでん返しも含まれているから書く必要があると思うけど。 まあ最後のどんでん返しもスリリングだしラストの壁のシーンもすごく美しいしいいんだけど、別の書き手がかいたほうが間延びしないのではなかろうか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
30年ぶりくらいに再読。 ほぼ覚えていなかった。 ただ、後味の悪い作品だった記憶があったが、読み返してやっぱり読後最悪。 しかし、これがスパイ小説の神髄なんだろうな。 善悪の区別もない、因果応報もない。 何ともやるせない。 三分の二程度、法廷への場面までは、やや冗長。 しかし、ラスト三分の一でのスリリングな展開は見事すぎる。 それまでのストーリーの必要性もここで頷ける。 そういえば、東ドイツという国があったのだなあ… と、当時はこんなひどい話もあったのかもしれないなあ… と、今もあるのかもしれないが… と、感慨に沈む。
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スマイリー三部作を読了したので戻って本書を読んでみた。 スマイリー三部作より話がだいぶわかりやすく、アクションシーンというか手に汗握る展開も多めだったので楽しく読めた。 オチはやっぱこの作者だとこうなるよねえという感じだったけど感慨深い。 これで新作の『スパイたちの遺産』を読...
スマイリー三部作を読了したので戻って本書を読んでみた。 スマイリー三部作より話がだいぶわかりやすく、アクションシーンというか手に汗握る展開も多めだったので楽しく読めた。 オチはやっぱこの作者だとこうなるよねえという感じだったけど感慨深い。 これで新作の『スパイたちの遺産』を読む準備が整ったのでしばらくしたら読みたいなあ。 それにしてもスパイたちの遺産のあらすじ本書のネタバレになっちゃってる気がするんだけど…本書は発売されたのだいぶ前だからもうネタバレでもいいだろって感じなのかな。
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