燃えるスカートの少女 の商品レビュー
どの短編も美しさと醜さと汚さが同居しているマーブル模様のような短編集だった。 ほぼ全ての話に愛が描かれているが、その愛の描き方も儚くて淡い愛もあれば、剥き出しの性愛や欲情をぶつけられるような愛もある。 短編集の幕開けを飾る『思い出す人』から素晴らしかった。 恋人が逆進化して動...
どの短編も美しさと醜さと汚さが同居しているマーブル模様のような短編集だった。 ほぼ全ての話に愛が描かれているが、その愛の描き方も儚くて淡い愛もあれば、剥き出しの性愛や欲情をぶつけられるような愛もある。 短編集の幕開けを飾る『思い出す人』から素晴らしかった。 恋人が逆進化して動物や魚、両生類に日に日に変わっていく話だが、主人公は彼だと疑いようもなく信じている。恋人が逆進化したとき、相手だと確信を持って証明するものは霊性を孕んだ愛くらいしかない。彼女はその霊性を信じている。 この物語で一気に掴まれてしまった。 続く『私の名前を呼んで』の不可思議なユーモアさ、『溝への忘れもの』の愛を伝えるための器官を失ってしまった夫婦の戻らない日常の切なさ。気味の悪い幕開けをしながらも、家族の愛の結末を迎える『マジパン』など、どれも心に残る短編ばかりだった。 他の著作がなかなか手に入りにくいのが残念。
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こういうの好きな人は好きなんだろうけど、私には少し合わない。 翻訳者の方はとても好みだったようだけれど… 解説や裏の説明や作品紹介にセックスよくでてきてたみたいだけど読後は、そんなに出てきてたっけな感じ。 作者の年齢… 解説で村上春樹好きと触れていて、確かにそんな感じはする。
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[捨てる短い本] [ #300ページ以下で捨てる本 ] __________________ 家が狭いこともあり 捨てる本/残す本 を感想を添えて紹介してます☺︎ #燃えるスカートの少女 #エイミーベンダー #管啓次郎 訳 #thegirlintheflammable...
[捨てる短い本] [ #300ページ以下で捨てる本 ] __________________ 家が狭いこともあり 捨てる本/残す本 を感想を添えて紹介してます☺︎ #燃えるスカートの少女 #エイミーベンダー #管啓次郎 訳 #thegirlintheflammableskirt #aimeebender 刊行年:2007 / ページ数:272ページ/ジャンル:文芸作品 / 国:アメリカ / 価格:660円 / __________________ 「彼女は何かを得るよりも何かが足りないことのほうがずっと好きで、もちろん、男に関してもおなじだった。」 この文に書かれていることが、収録されている作品に共通している気がした。 女の子たちは、体の構造上、常に欠けている状態だ。 持っているのが穴なので、「したい」という能動の感情が「受け入れる」という受動とイコールになる。 そしてそれはどうしても、入り込まれる=自分の体を抉るという行為になり、ナイフを刺すように、傷つける行為とイコールになる。 一方で自分が凹みがある性別だから、逆に凸側になってみたいと思う。だから女の子たちは、常に凶暴性を抱えることになる。 でも現実は、その凶暴性を発揮できる性別ではないから、結果、自らの体を傷つけるしかなくなっていく。 毎日見かけるお腹に肉のついた女の子をファックしたいと思いながら、見知らぬ老人に抱かれる女の子も、殺したかった父親が死んで、誰彼構わずセックスをしてみる図書館員も、みんな誰かに対して能動的になりたくてもそれができる性別でないから自分を傷つけるしかない。傷つけることで生と結びつくしかない。 父親が死んだ日に腹部に大きな穴があいた男性と、反対に腹が膨れて、死んだ母親を出産した女性を描いている短編も、背中にこぶがある男のこぶが凹んだ部分に妊娠した腹をくぼめる女性を描いている短編も、どれも自分が凸側であることを望んでいてそれが敵わない現実に対する苦しさを叫んでいるのではないか。 女の子たちの周りには、自分たちの体を象徴するかのように、何かが欠けたものばかりが登場する。 戦争で唇を欠いた男性、人間から逆進化して猿、海亀、サンショウウオと変化していずれは見えなくなってしまう男性。そうした喪失と女の子たちが向き合う様は自分たち自身と向き合っているように見える。 最終的に、女の子たちが究極に求めている関係というのは、自分を傷つける行為とも、出産という生産行為とも離れられる、性別のない誰かとの関係なんじゃないだろうか。 だから、この短編集の中に出てくる女の子が本当に愛しているのは、一生の食い扶持に困らず、でも常に疲れたと言いながら一歩も家に出ず死にたがってる男の子だけなんだと思う。 男の子には、その女の子以外に身寄りがない。2人に性的関係はなく、女の子は色んな人とデートをしながら、帰ってきた時に必ずその男の子が待っていることを期待している。 一方で、凸と凹が完全に交わるように、手を結ぶと中和し合う火の子と氷の子を描いた作品では、2人の共存は成立しないことが描かれている。この作品集の中で、凸凹がしっかりと噛み合って成立している作品はほとんどない。 だから、女の子たちは、欠け続けるしかないということなのだ。 この作品中に描かれているのは、女の子達の性別のもつ永遠の叫びだと思う。 #読了 #読書 #読書記録 #本棚 #book #本のある暮らし #断捨離 #残す本
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すごく不思議で切ない読後感のある物語たちだった。お気に入りは『フーガ』と『癒す人』。どの物語も、強烈な喪失感を感じさせるもので、性描写のテイストも相まって村上春樹っぽさを感じるな、と思っていたら、訳者あとがきで実際に影響を受けてることがわかった。
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一つ一つの物語が、解決したような、けむに巻かれたような、寂しくて不思議な終わり方をしていく。ふわふわとした感覚で読みました。 表現が詩的で美しいですが、何度も繰り返し読まないと沁みてこないかも。
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日常の延長にあるファンタジー。 『私の恋人が逆進化している。』とか書き出しが素敵。 よく分からない結末の話も多いけど、全部愛だなあって感じがして好き。 訳がちょっと読みにくかったから、原文だともっと詩的で世界観に浸れそう。 「癒す人」という話が特に好き。
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キテレツな短編集なのだが この娘をやっちゃえ は 孤独に苛まれている美しいセクシーな娘が 寂しさから老人にからだを与えた後 自分が全身おちんちんになり、魅力的な自分をファックしたい、ヤりたい気分になろうと試みるも 鏡の中に 寝た男が恋していた娘に似せて短くした髪のさみしげな自分...
キテレツな短編集なのだが この娘をやっちゃえ は 孤独に苛まれている美しいセクシーな娘が 寂しさから老人にからだを与えた後 自分が全身おちんちんになり、魅力的な自分をファックしたい、ヤりたい気分になろうと試みるも 鏡の中に 寝た男が恋していた娘に似せて短くした髪のさみしげな自分を見る 「初めてのデートでやるとき、男はその後の2、3回よりもはるかに上手に抱きしめてくれるものなのだ。(略)あなたは誰かしら彼が最後に愛していた相手の代理みたいなもので、(略)それであなたはこのすてきな感情の残り火をすっかり受け取ることになる。」 『この娘をやっちゃえ』 なかなか辛辣に真理を捉えている 奇想天外すぎる短編集で 起承転結やら整合性は無茶苦茶だが どこかグリム的な アンデルセン的な寓話性を感じる 残酷でエロティシズム、フェチズム、寂しさに満たされている 引き込む力が凄まじく、性愛と孤独、生きる悲しみと喜び。夢中で読み終えてしまう。
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私には全くはまらず。 久しく洋物を読んでいなかったせいか、文と文に全くつながりが感じられず、読むのが辛かった。 詩だと思えばマシだったのかも。 原語版を読まないとなんとも言えないが、翻訳も、直訳すぎて意味がわかりづらい感じがする。 そのあたりには原語版の良さをそのまま生かそうとし...
私には全くはまらず。 久しく洋物を読んでいなかったせいか、文と文に全くつながりが感じられず、読むのが辛かった。 詩だと思えばマシだったのかも。 原語版を読まないとなんとも言えないが、翻訳も、直訳すぎて意味がわかりづらい感じがする。 そのあたりには原語版の良さをそのまま生かそうとしている気持ちがあるんだろうけれども。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
エイミー・ヘンダー作。新聞か何かで紹介されていたのだが、ちょっと合わなかった。短編なので、飛ばし読み。 海外作品は訳の仕方でずいぶん変わるんだろうね。
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全体的に寂しい雰囲気で、時々官能的な短編集。 台詞回しや言葉が洒落てるけど、気取っていないところが読んでいて心地いい ただ普段あまり小説を読めていない自分には話としてどう繋がってるのかわからない話もあったので、解説ありでそれぞれ読みたいという気持ちもある 個人的には私の名前を...
全体的に寂しい雰囲気で、時々官能的な短編集。 台詞回しや言葉が洒落てるけど、気取っていないところが読んでいて心地いい ただ普段あまり小説を読めていない自分には話としてどう繋がってるのかわからない話もあったので、解説ありでそれぞれ読みたいという気持ちもある 個人的には私の名前を読んで、溝への忘れ物、癒す人が好き。
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