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疫病と世界史(上) の商品レビュー

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36件のお客様レビュー

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2012/05/06

世界中で長く読み続けられている中公文庫の「世界史」を書き上げたマクニールが、『疫病』という観点から歴史を紐解いた本。 最近文庫化して中公文庫「世界史」の隣においてある「銃・病原菌・鉄」と似たテーマであり、病気というものが如何に人類に影響を与えてきたのかがよく分かる。 人類...

世界中で長く読み続けられている中公文庫の「世界史」を書き上げたマクニールが、『疫病』という観点から歴史を紐解いた本。 最近文庫化して中公文庫「世界史」の隣においてある「銃・病原菌・鉄」と似たテーマであり、病気というものが如何に人類に影響を与えてきたのかがよく分かる。 人類を最も多く殺したのは事故でも戦争でもなく「病気」であり、これが常に戦争の結果や文明の運命を大きく左右してきた。 スティルバーグ監督の映画「宇宙戦争」の最後に、酸素が原因で侵略者達が滅亡するシーンがあったと思うが、人類は他の地域から侵略を受ける度に、お互いの病原菌を運んで大打撃を受けてきたのである。免疫力というものが古来の戦争には非常に大きな勝因であるらしい。 よくも悪くも人口を抑えてきた疫病だが、最近はかなりの種類を滅してきたかのように思える。しかし、アフリカ大陸を考えてみるといい。未だに野生の動物が数多く暮らす彼の大陸は、動物が駆逐されない範囲で生態ピラミッドが成立していることを表す。つまり疫病が人口増加の制約として機能しているということだ。 人口が多くなるほど、新たな疫病が広がる確率が高くなる。少し前に起こった鳥インフルエンザもその一つだ。人類の未来を考える上で、唯一の天敵を学ぶことの有意をこの本は教えてくれる。

Posted byブクログ

2012/04/01

読了したのはかなり前だが… ワクワクしながら、「スゲー!スゲー!マジでー?!」と驚きながら、あれよあれよという間に読み終わってしまったことが印象的。 ザックリとしていながら、世界が網羅されているという、スリリングで素敵な歴史書です。 超オススメ!!

Posted byブクログ

2012/03/04

世界史の大家であるウィリアム・H・マクニール先生による、疾病が及ぼした影響から世界史を読み解こうとする野心作。大変ざっくりした展開で驚くが、古今東西の具体例がふんだんに盛り込まれているので、納得できる。 「マクロ寄生」と「ミクロ寄生」に挟まれる「宿主」。バランスをうまくとること...

世界史の大家であるウィリアム・H・マクニール先生による、疾病が及ぼした影響から世界史を読み解こうとする野心作。大変ざっくりした展開で驚くが、古今東西の具体例がふんだんに盛り込まれているので、納得できる。 「マクロ寄生」と「ミクロ寄生」に挟まれる「宿主」。バランスをうまくとることで、この三者は存在し続けられる。この平衡状態の網目は、環境によって変化する。例えば、熱帯では密度が高いため、外来種や資源以上の生命を養うことができない。反対に、より寒冷乾燥な気候になればなるほど、密度が低いため、外来種が入る余地がうまれる。 宿主と寄生体の間には、緊張した関係がある。寄生体に対して免疫を持たない宿主は、寄生体から破滅的な攻撃を喰らうことになる。しかし、攻撃が激しすぎて宿主を完全に絶滅させてしまえば、寄生体の生存に関わる。何世代も(本書内では四~五世代とある)かけて、両者が和解しようとするプロセスをたどる。結果、宿主は免疫をもち、寄生体の暴力性はマイルドになる。 これらの仮説を駆使して、上巻では原始時代~モンゴル帝国勃興以前の世界史を読み解いている。

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2011/06/06

ウイルスや細菌などによる疫病と人類は切っても切れない関係にありますが、その疫病の蔓延が歴史に及ぼした影響を、ときに少々強引とも思える論により展開されてゆきます。 それにしても内容は幅広く、人類の黎明期から現代、しかも全地球規模にわたって丹念に述べられています。日本もちょっぴり。 ...

ウイルスや細菌などによる疫病と人類は切っても切れない関係にありますが、その疫病の蔓延が歴史に及ぼした影響を、ときに少々強引とも思える論により展開されてゆきます。 それにしても内容は幅広く、人類の黎明期から現代、しかも全地球規模にわたって丹念に述べられています。日本もちょっぴり。 「ミクロ寄生」「マクロ寄生」といった独創的な捉え方も興味深いです。

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2011/05/19

疫病と人間との関係、さらに疫病が歴史に及ぼした影響まで考察した好著。「マクロ寄生」と「ミクロ寄生」の概念は非常に面白い。

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2021/11/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 人類に寄生、感染発病する疾病、捕食者を地域と時系列で追った社会学的著書。現生人類の誕生前の樹上生活時から、世界各地に文明が栄える12世紀までを上巻で取り上げている。  著者は寄生を広義にとらえ、ライオン・オオカミなどによる捕食、ヒトによる寄生(略奪・支配)をマクロ寄生とし、微生物についてはミクロ寄生と定義した。さらに気候、統治、農耕による影響を加えて検討している。一例で言えば、ヒトの移動や都市の形成にともない新たな寄生を受けた当初は劇症を発するが、寄生主も生き延びるために変態し、慢性化をして定着していくといった具合である。  読者が印象的であったのは、戦争の必要性(人口、食糧)、風土的疾病による見えないバリア、宗教発祥の地域性など、単なる道徳やイデオロギーでは解し得ない生き物としてのヒトという観点だ。

Posted byブクログ