死因不明社会 の商品レビュー
医師法で医師は死体又は、妊娠四ヶ月以上の死産児を検案して異常があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない、そうである。検案というのは検死の事でATOKでも変換できてしまう用語である。ちなみに医師が行うのは検死で、警察官が行うのは検視だそうだ。今日の読...
医師法で医師は死体又は、妊娠四ヶ月以上の死産児を検案して異常があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない、そうである。検案というのは検死の事でATOKでも変換できてしまう用語である。ちなみに医師が行うのは検死で、警察官が行うのは検視だそうだ。今日の読売朝刊にも異状死なのに届けなかったとして送検された医師が不起訴処分になったと言うような記事があった。 異状死は改めて死因を特定しなければならないのですがこれは解剖をしてみないとはっきりしない場合が多い。もちろん解剖しても死因が特定できない場合もあるのでしょうが。 日本では解剖率が2%程度しかなく例によって先進国としてはかなり低率であるそうな。残り98%は体表面をみるだけで死亡診断書が書かれているのである。重篤ながん患者であったとしても直接の死因がそのがんであるとは限らず、また行き倒れで目立った外傷もない死体などは解剖してみないと死因の特定は出来ないものである。すなわち日本では死者の多くの方に的確とはいいがたい死因が記された死亡診断書がだされているのである。また、殺人事件であったものが見過ごされた事案結構な率で存在する可能性もある。 本書はBLUBACKSとして刊行されているが、流れとしては海堂尊のチームバチスタの番外編みたいなものである。時風新報桜宮支社の別宮葉子記者が厚生労働省の白鳥圭輔室長に独占インタビューする形で構成されているがこの二人はどちらも海堂尊の書く小説の登場人物。内容的にもチームバシスタシリーズで手を変え品を変え主張されている事柄である。 超概説するならば、死亡時医学検索を確立させるためAiを導入すべしというのが筆者の主張である。AiというのはCTやMRI等病気の検査で使われる機材を使った画像診断システムである。バチスタの最新TVシリーズアリアドネの弾丸で詳しく解説されているやつである。 高齢者医療とか医療費の増加といった医療問題とはまた違った日本の医療制度の問題がわかるというものである。
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死亡時画像診断(Ai)をテーマにした小説をいくつも書いている,現役医師で人気作家の著者が,死亡診断書(死体検案書)の作成にAiを導入すべしという持論を展開。2007年の本。 日本では年間100万の人が死亡するが,そのうち解剖される2万人を除く98万人は,体表の観察のみでいい加...
死亡時画像診断(Ai)をテーマにした小説をいくつも書いている,現役医師で人気作家の著者が,死亡診断書(死体検案書)の作成にAiを導入すべしという持論を展開。2007年の本。 日本では年間100万の人が死亡するが,そのうち解剖される2万人を除く98万人は,体表の観察のみでいい加減に死因の特定がされている。この現状では,真の死因は不明となり,治療の効果判定も難しく,医学の基礎をなす死亡統計も不正確になる。この死因不明社会に対する特効薬がAiだ。 死亡時に,CTやMRIを使って死体の画像診断をするAi。これで死因がわかる場合もあるし,なお不明であれば解剖に回すこともできる。Aiを前置すれば,遺族に解剖の承諾も求めやすい。遺体を損壊しないAiは,遺族の抵抗も少ない。本書では,小説の登場人物も現れて,こういった利点を力説。 Aiに国家予算をつけるべしという主張がメインで,腰の重い国に対する権力批判がちょっと鼻につく。第五章「医療事故調査委員会における厚生労働省の謀略」など。厚労省批判というより厚労官僚批判になってしまってるのも微妙な感じ。 小説に出てくる架空の人物に「エーアイは社会的に強く要請されているシステムなんだ。そしてエーアイ導入を阻んでいるのは、官僚と、彼等を取り巻く御用学者たちさ。」とか言わせてたりも(p.235)。 本書刊行から5年経ち,Aiの重要性は認識されてきているようだけど,まだまだ不十分のようだ。
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面白かった。 自分と、フィクションの登場人物と、専門家の話が組み込んであるのがよかったと思う。 わかりやすいし、親しみやすい。 詳細に理解できたとは言い難いが、納得できる内容だったと思います。 無知は罪とありましたが、それを専門家に委託していたので、その部分は無知でもよいと思って...
面白かった。 自分と、フィクションの登場人物と、専門家の話が組み込んであるのがよかったと思う。 わかりやすいし、親しみやすい。 詳細に理解できたとは言い難いが、納得できる内容だったと思います。 無知は罪とありましたが、それを専門家に委託していたので、その部分は無知でもよいと思っていたけど、そんなことも言ってらんないってことになってきているんだと思います。
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バチスタ繋がりで、読んでみました。 大事な人がある日突然亡くなった時、外傷だけで死因が決定してしまうってめっちゃ不安。難しいかったけど、勉強になりました。
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今更ながら、読みました。死亡時画像病理診断を中核とする死亡時医学検索の再構築の必要性を、分かりやすく、かつ説得力をもって主張するもの。
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事件性の可能性がある場合でも、死因を特定する解剖は、遺族の承諾を得る必要があり、遺族は身体にメスが入る事を嫌がり承諾しないケースが多い。 しかし事件性が見えて来た時、火葬されているため、結果として、不利益になっている。 しかし死者にMRIを取る事で、不利益を防ぐ仕組みづくりの構築...
事件性の可能性がある場合でも、死因を特定する解剖は、遺族の承諾を得る必要があり、遺族は身体にメスが入る事を嫌がり承諾しないケースが多い。 しかし事件性が見えて来た時、火葬されているため、結果として、不利益になっている。 しかし死者にMRIを取る事で、不利益を防ぐ仕組みづくりの構築を提案している。
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Aiがテーマだろうということで購入してみました。 解剖を取り巻く実態を知るに従ってAiの重要性を小説では無くノンフィクションから読み解くことが出来て、ちょっぴり勉強になりました
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※このレビューにはネタバレを含みます
最初はお堅い感じの文芸書かと思ったが、一般人にもわかりやすくAIの有用性や、現代社会の闇を写し出している。 白鳥と別区の対話形式をとっているのも面白かった。 海堂尊ワールドをより深く理解するのには最適の1冊となるだろう。
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海堂さんが小説を通して主張しているAi導入の必要性や、日本での制度確立の課題などが記されている。一度読んでもなかなか頭に入らない。何度か読み返してみようと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
AIの必要性について理解できました。アリアドネの弾丸などもAIをもっと浸透させたいという考えがあって書かれたものだと思いました。 ご本人のホームページhttp://author.tkj.jp/kaidou/でも死亡時画像診断をすすめていこうとする熱意がよくわかります。
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