熱球 の商品レビュー
重松清2作目。前に読んだ『赤ヘル1975』は強くなる直前の広島カープがメインで、今回は山口県を舞台とした元高校野球児のオッサンの話。山口県に縁がないので『赤ヘル1975』よりも情景や舞台に共感はできなかったが、上京した主人公が地元に一時的に帰ってきて、町の閉塞感に辟易しながらも旧...
重松清2作目。前に読んだ『赤ヘル1975』は強くなる直前の広島カープがメインで、今回は山口県を舞台とした元高校野球児のオッサンの話。山口県に縁がないので『赤ヘル1975』よりも情景や舞台に共感はできなかったが、上京した主人公が地元に一時的に帰ってきて、町の閉塞感に辟易しながらも旧友やふるさとの地と向き合っていく過程はむしろ赤ヘルよりも好きな構成だった。地元で就職する気がない自分にとって、もっと時間を経て今の地に生活の根をおろして、頻繁に地元に帰ることもなくなった頃に年老いた両親や自分の家族の境遇に悩まされるヨージの気持ちがわかりすぎてしまうようになるのも怖い気がする。 今はどのコミュニティの友人たちとも“いま”の話しかしないけど、ヨージぐらいの年齢になって各々が自分たちの生活を持ち始めたときに共通の話題がなくなって日常の愚痴とかしか話すことがなくなっていくのは悲しいと思う。現に高校時代の友人とは既にちょっとそんな感じになってしまっている。
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青春を過ごした田舎への帰郷。 遠く離れた場所で暮らしていれば、考えないように忘れたふりもできるのでしょうが、帰ってきたことで、嫌でも突きつけられる過去と現実。 忘れてしまいたいことほど、忘れられないものですね。 それだけ強く心に残っているということなんでしょうし。 田舎には田舎...
青春を過ごした田舎への帰郷。 遠く離れた場所で暮らしていれば、考えないように忘れたふりもできるのでしょうが、帰ってきたことで、嫌でも突きつけられる過去と現実。 忘れてしまいたいことほど、忘れられないものですね。 それだけ強く心に残っているということなんでしょうし。 田舎には田舎の、都会には都会の良さがあるものだとは思いますが、こういう田舎の空気感は苦手です。 息が詰まりそう。 逃げたくなる気持ちもわかりますね。 立ち向かうのはかっこいいと思いますし、乗り越えられるのもすごいこと。 だけど、逃げることも悪いことではない。 同じ過去を持ち、それぞれ大人になった彼らが、どんな決断をしていくのか。 大人になったから見えてくるものもありますね。 綺麗事ばかりじゃない大人の姿。 年齢が変わればまた、読む側も受け取り方も変わるかもしれません。
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20年前の苦い思い出を消化出来ぬまま久しぶりに戻った故郷。 懐かしい旧友との再会。 様々な想い。 でも、今を生きるんだね。 どんな事があっても。 逃げてもいい。 故郷はそこにある。
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真夏の炎天下を走ることや雨の中でボールを追うことの「意味」など問わないでほしい。…それが、僕の考える「高校球児」だった。 前後にもっとたくさんあったけど、ここに一番惹かれた。 「それって意味あるの?」なんて物事の意味を問うことが賢いとか、かっこいいと思われてるけど、意味なんてなく...
真夏の炎天下を走ることや雨の中でボールを追うことの「意味」など問わないでほしい。…それが、僕の考える「高校球児」だった。 前後にもっとたくさんあったけど、ここに一番惹かれた。 「それって意味あるの?」なんて物事の意味を問うことが賢いとか、かっこいいと思われてるけど、意味なんてなくていいんだと思う、そう考えちゃうことも「意味」を探してるのかななんて思ってしまうけど。
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The 重松清! 親子の関係と家族のあり方、昔の仲間との関わり方の変化、それぞれの人間関係が描かれている作品。 高校野球ならではのアツくてダルくて一生懸命な姿勢がわりと好き。 美奈子と甲太が高校生になった時、どういう高校生になるのか、想像するのが楽しい。
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「熱球」はやはり「熱球地をすすりて」の熱球か。巻末の差作者あとがきでわかる。物語は40代の中年には体感として感じられるのではないだろうか。人は強くなく弱いのか、いやそもそもそんな話じゃなく、ひたすらに生きているということかとも思った。
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ソフトボール部だからという理由だけで 手に取ったこの本を学生の頃読んで、 すぐの模試で出た時 最高ってなったのを思い出した。笑笑 実家に帰ったついでに改めて読み直すと 大人になっても色んな視点で見てしまうからか もしくは涙腺が緩くなったのか、、 美奈子の子どもとは思えない大人な...
ソフトボール部だからという理由だけで 手に取ったこの本を学生の頃読んで、 すぐの模試で出た時 最高ってなったのを思い出した。笑笑 実家に帰ったついでに改めて読み直すと 大人になっても色んな視点で見てしまうからか もしくは涙腺が緩くなったのか、、 美奈子の子どもとは思えない大人な対応や 過去のシュウコウ野球部の出来事 そして大人になったらそれぞれの想い。 感情移入してしまってついつい感動していた。 目をうるうるしながら読み切ったが ほっこりいい小説だった。
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著者がラジオに出演していて、今更ながら興味を持ち、手に取ってみた本作。 主人公がちょうど私の現在の年齢に近く、また設定(閉鎖的な地方から上京して生活する)も似ているため、すっと物語に入ることができた。 ラジオでは会話文を口に出して読んでいること、文庫に入れるときはペンを数本使...
著者がラジオに出演していて、今更ながら興味を持ち、手に取ってみた本作。 主人公がちょうど私の現在の年齢に近く、また設定(閉鎖的な地方から上京して生活する)も似ているため、すっと物語に入ることができた。 ラジオでは会話文を口に出して読んでいること、文庫に入れるときはペンを数本使い切るほど朱を入れるということを知ってから読んだので、元の形も気になったし、さすがに滑らかな会話文も堪能できた。
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ふるさとや青春の苦い思い出等、思い起こしました。単純な解決策がないことに向き合うときに寄り添ってくれる本です
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20年前、甲子園まであと一勝となって次は決勝戦。でも悲劇が・・・。 そして、故郷に戻ったエース、高校教師になり母校の監督をしているキャッチャー、流行らない飲食店を営む4番打者、そして、みんなのアイドルのマネージャー。元球児たちの想いが交錯します。 離れて暮らす妻との事、父親と田舎...
20年前、甲子園まであと一勝となって次は決勝戦。でも悲劇が・・・。 そして、故郷に戻ったエース、高校教師になり母校の監督をしているキャッチャー、流行らない飲食店を営む4番打者、そして、みんなのアイドルのマネージャー。元球児たちの想いが交錯します。 離れて暮らす妻との事、父親と田舎へ行く娘との関係、狭い田舎で暮らすには、1人暮らしの親との距離などなど、この物語はいろいろな事を問い掛けているんだなと思いました。 周防高校野球部を愛していたザワ爺が亡くなった。ザワ爺は試合に負けても「ようがんばった。ようがんばった」と。 最後の通夜での監督の弔辞が心に響きました。
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