仏果を得ず の商品レビュー
文楽の世界の面白さ、技を身に着け(技という言葉は陳腐かな)伝統文化を伝えていこうと奮闘する人たちの日常をバックボーンに、主人公 健の成長が描かれています。 いや、主人公 健の成長がバックボーンで、メインは文楽の世界かも・・というくらい、読者側には文楽の面白さが伝わってくる物語。 ...
文楽の世界の面白さ、技を身に着け(技という言葉は陳腐かな)伝統文化を伝えていこうと奮闘する人たちの日常をバックボーンに、主人公 健の成長が描かれています。 いや、主人公 健の成長がバックボーンで、メインは文楽の世界かも・・というくらい、読者側には文楽の面白さが伝わってくる物語。 何かに魅了され、それを追い求め突き進んでいくということは決して簡単なことではなく苦悩が多いけれど、その過程に存在する幸せを噛みしめながら日々精進し生き続けていくことが、地味だけどいかに意味のあることなのか・・と、伝統文化に携わる人たちの日常を見た気がしました。 ・・が、私たち一般人にも同じことが言えるのでしょうね。健の悩み方ひとつひとつは、私たちと同じで共感しながら読みました。 同じ世界にいる先輩方の存在は、ありがたいなー・・と思いました。 単なるしきたりではない、「伝統」という言葉の中に時代を通しての人の繋がりと、時代時代の人の想いを感じます。 文楽なぞに興味なし・・という方にも読んでほしい一冊。
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文楽の道を極めようとする主人公とその周辺の人々の話。 文楽中の登場人物を語るために考え抜くシーンや、師匠から叱咤されるシーンなど、本当に面白い。 こんな世界を新たに知る楽しさと、ストーリー自体の楽しさにアッという間に読了。 読後感もよく、よい本に出会えました。
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デビューしました。面白くて、一気に読みました。 ちょっと感想がずれますが、高校時代不良だった人って不器用で融通が利かなくて、一途ですよね。何だか女性の造形にもそれを感じるのは、著者が元ヤンなんだろうか、とか思ったりして。 もう亡くなったのですが義理の父が歌舞伎の義太夫だったので...
デビューしました。面白くて、一気に読みました。 ちょっと感想がずれますが、高校時代不良だった人って不器用で融通が利かなくて、一途ですよね。何だか女性の造形にもそれを感じるのは、著者が元ヤンなんだろうか、とか思ったりして。 もう亡くなったのですが義理の父が歌舞伎の義太夫だったので、語りと三味線を両方やるってどんななんだろうと思いながら読んでいました。多読家でしたが、小説でも勉強していたのだろうか。もっと話を聴きたかったなあ。 ***以下抜き書き** ・俺はついに、確信を抱いた。近松門左衛門は『女殺油地獄』で、あらかじめ定めづけられた生への疑問を、描きたかったんだ。 たとえばいま、女だから俺と同じ舞台に立てないと知って、ミラちゃんががっかりしているように。たとえば研修所出身の俺は、自分の見台なんか一個しか持ってなくて、師匠に借りたりしてやりくりしてるけど、文楽の家に生まれた大夫は、代々伝わる漆塗りや螺鈿の見台をごろごろ持ってるように。 自分ではどうしようもない部分で、なにかが決められてしまうことがある。 それは仕方のないことだ。そこから自由になりきれるものは、だれもいない。だけどそれは、哀しみやむなしさを確実に生み出しつづけている。俺は語れる。それを自分なりに咀嚼して、語ることができる。 ・「どっちもあっていいんじゃないですか。この世界だって、研修所出身と文楽の家に生まれたものとで、半々ぐらいだし。どっちなのか、べつに気にする人もいないいし」 そういえば、兎一兄さんがどちらなのか知らない。健はそう思った。 「それを聞いて安心した」 兎一郎は浴衣姿で腕を組む。「古い考えのひともいる世界だから、いたずらに刺激しすぎるのはよくない。モーツァルトのオペラを無邪気に楽しんだ、アホなフランス貴族とは勝手がちがう。革命的舞台を作りあげたいなら、細心の注意を払って駆け引きしないとな」 「いや、そんなおおげさなつもりはなく…」 「近松門左衛門は、きっとそういうつもりだったさ」 ・勘平がどんな男なのか。意志のひとなのか、いいかげんなやつなのか。それをつかめば、「勘平腹切の段」に揺らぎがなくなる。夜空を眺めつづけて、ついに星のめぐりを把握した太古の人々のように。茫漠として見える言葉の堆積は、実はきらきらと光る宝をひそかに隠している。それを探り当てなければならない。
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文楽を極めんとする若手大夫のお話。お堅いイメージの「文楽」が、一気に身近になる一冊。演目「仮名手本忠臣蔵」の一セリフと、主人公の心境をなぞらえる最後の場面で、初めてタイトルが生きてくる。主人公の芸を極めようとする姿勢が素晴らしかった。何事も一生懸命が大事です。もし文楽を観に行った...
文楽を極めんとする若手大夫のお話。お堅いイメージの「文楽」が、一気に身近になる一冊。演目「仮名手本忠臣蔵」の一セリフと、主人公の心境をなぞらえる最後の場面で、初めてタイトルが生きてくる。主人公の芸を極めようとする姿勢が素晴らしかった。何事も一生懸命が大事です。もし文楽を観に行ったら、大夫と三味線のやり取りから、文楽の面白さを感じ取ることができるだろうか?ともあれ、早速鑑賞したくなったことは間違いありません。
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読みはじめから 文楽の世界のど真ん中!! 文楽初心者としては 不安な入りでしたが スルスルと 読み終わり事ができました。歌舞伎でも 相撲でも 男の世界。素直に カッコいいなぁって思いました。
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小学校の学校の行事で一回だけ観たことがあっただけの文楽。 三浦しをんさんの文章で表現されるとなんて輝いてみえるのだろう。 もう一度鑑賞してみたくなりました。
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文楽のことは全く知らなかったけれど、どんどん引き込まれていきました。 特に後半の健太夫と兔一の語りは文楽の世界を覗けれた気分です。 熱いです。
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面白かった。 主人公のお師匠さんの生き方、素敵だなぁと思いました。 しをんさんのお話に出てくる男性は、みんな一生懸命で素敵ですよね。 そんな男性のことを、女は見逃しませんよ。 なので、恋愛が簡単にうまくいくのは当然だと思います。 このお話も、芸のためなら命を懸ける… けど、恋愛も...
面白かった。 主人公のお師匠さんの生き方、素敵だなぁと思いました。 しをんさんのお話に出てくる男性は、みんな一生懸命で素敵ですよね。 そんな男性のことを、女は見逃しませんよ。 なので、恋愛が簡単にうまくいくのは当然だと思います。 このお話も、芸のためなら命を懸ける… けど、恋愛もね…(うまくいきたい) というお話でした。 主人公のこれからが気になりました。
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ちょっと苦手だった作者さんなのですが、これは面白かったです。伝統芸能の文楽の世界へぐっとひきこまれる強い魅力があり、ストーリー展開も前向き、とてもよい読書でした。
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文楽の太夫なんて古風な仕事をごくごく真面目にしているのに、恋にも奥手なのに、主人公の一見軽めなキャラクターが良い!!名人である師匠の全くもって全然軽いキャラクターが良い!!!! ついでに人形浄瑠璃をまた見に行きたくなった。いろいろとおいしい小説でした。
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