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波乱の時代(上) の商品レビュー

4.1

23件のお客様レビュー

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2009/10/04

18年間FRB議長として活躍したグリーンスパン氏の回顧録。 著者の価値観や人生観、人となりがよく分かり、時の大統領に 請われ、長くFRB議長であた著者とはどんな哲学を持っている のかに、惹きつけられた。 また、ベルリンの壁崩壊後どう行動し、どう感じて いたのかなど、...

18年間FRB議長として活躍したグリーンスパン氏の回顧録。 著者の価値観や人生観、人となりがよく分かり、時の大統領に 請われ、長くFRB議長であた著者とはどんな哲学を持っている のかに、惹きつけられた。 また、ベルリンの壁崩壊後どう行動し、どう感じて いたのかなど、大きな歴史的転換点における政策運営 の裏側を見ることができる。 政策判断に関わる大統領とのやりとりや時の大統領 を著者がどう評価していたかなどが、赤裸々に書かれていて、興味深い。 星をつけるのもおこがましいと思い、星5つ。 〈心に残ったことば〉 ○著者が影響を受けた3人。?アダムスミス:個人の自発性と市場の力という啓蒙主義の考えを主張し、1930年代にはめいせいが失墜していたが、現在ではグローバル経済で圧倒的な力をもつまでにふっかつした。思想的に最大の影響を受けたのがアダム・スミス。?ジョン・ロック:イギリスの偉大な社会哲学者。人生・自由・財産に関する基本的な概念を確立した。?ジョセフ・シュンペーター:20世紀の経済学者。その創造的破壊の概念は現代資本主義で技術の変化が果たす役割の核心をついている。 ○優秀な女性と付き合うのが苦になることはない。現に、そういう女性と結婚している。わたしにとって、空虚なデートほど退屈なことは考えられない。これは独身時代に失敗を重ねて学んだ点だ。 ○ともに仕事をしていて、パーカーが権威を認められているのは主に、誰よりも経済をよく知っているからであることに気づいた。わたしはパーカーほど広範囲な知識を持っているわけではないが、差はそれほど大きくない。それに、毎日好きな仕事をするなかで学んでいる。仕事を続け、学び続けていれば、いつか追いつけるだろうと考えた。 ○わたしが関わった大統領の中で、ニクソンとクリントンは飛びぬけて優秀。 ○最終的に、自分がいちばん得意な部分だけに事業を絞り込むのが最善の道。 ○わたしが生まれて育ったのは、市場経済が高度の発達した国であり、それを支える法律、制度、慣習などははるか以前に確立し、成熟していた。ロシアで見聞きすることになる動きは、欧米各国ではわたしが生まれるはるか以前に起こっていたのである。旧ソ連で作られたせいどがすべて崩壊した後にロシアが苦闘する様子をみて、わたしは脳の一部が損なわれた患者を観察する脳神経科医になったようだと感じた。財産権を保護する仕組みがなく、信頼関係の伝統もないまま、市場が機能仕様とするのを見守ったのは、まったく新しい学習の経験であった。 ○中央計画経済には創造的破壊がなく、改良していこうとする動機がない。

Posted byブクログ

2009/10/04

先代のFRB議長アラングリーンスパンの自叙伝。グリーンスパンの凄さは卓越した経済分析力だけでなくホワイトハウスとの連携の上手さにもあるんだなと本書を読んで思った。1987年に就任して2006年に退任するまで実に19年間にわたって議長の座にあったグリーンスパン。在任中にソ連が崩壊し...

先代のFRB議長アラングリーンスパンの自叙伝。グリーンスパンの凄さは卓越した経済分析力だけでなくホワイトハウスとの連携の上手さにもあるんだなと本書を読んで思った。1987年に就任して2006年に退任するまで実に19年間にわたって議長の座にあったグリーンスパン。在任中にソ連が崩壊して、その後浮き沈みしながらも世界経済を牽引してきたアメリカ中央銀行の議長をそれだけに期間勤めてきたのだから世界経済の「皇帝」であったと言えますね。よくストレスで倒れなかったね。「根拠なき熱狂」の時の舵取りは批判が多いですけど。彼の在任期間中の大統領はフォード、カーター、レーガン、父ブッシュ、クリントン、息子ブッシュの6人。それぞれの大統領を比較して論じているところが権威の大きさを物語っている。読みどころはやはりグリーンスパンの晩節を汚したとされる90年代後半のバブル処理の部分。アジア通貨危機を契機にLTCM危機、ロシア危機などの外生的要因があったり、FRBには株式市場には介入しないという伝統的な方針があり、政治的非難を恐れたことなど理由はいろいろ書いてあるけど、議会から独立している以上、大衆の期待に応えなければならない議会とは違うスタンスで政策を決定すべきだというのが一般的な解釈なのでしょうか。本書を通じて学べるのはアメリカの経済史とFRBの意志決定における哲学。分析結果だけをそのまま鵜呑みにするのではなく損益をよく考えた上で意志決定するのがFRB流だそうです。ブラックマンデー、LTCM危機、ミレニアムブーム、9・11テロの際の意思決定に関しては議会やマスコミに叩かれていただけに「俺はこんだけ頑張ってたんだ!」っていう主張が強くて非常におもしろい(笑)。

Posted byブクログ

2011/08/07

原著は一冊なのに翻訳になると上下巻に分かれてしまうことは多いが、本書に関しては上が回想録、下が今後の見通しなどを章立てにしたものになっており、とても読みやすい。スタン・ゲッツと共に音楽を学んだ青年時代からブラック・マンデー、議会との対立や歴代大統領の思い出(どうもブッシュ親子に対...

原著は一冊なのに翻訳になると上下巻に分かれてしまうことは多いが、本書に関しては上が回想録、下が今後の見通しなどを章立てにしたものになっており、とても読みやすい。スタン・ゲッツと共に音楽を学んだ青年時代からブラック・マンデー、議会との対立や歴代大統領の思い出(どうもブッシュ親子に対してはいい思いがないようだ)などがつづられている。FRBの基本的な政策としては、経済状況を反映して長期金利が下がったのを確認して短期金利を利下げしていくというもので、景気を刺激するために利下げを要求してくる政治家との対立には困らされることが多かったようだ。また、インフレ圧力を抑えきれなくなることを常に懸念しており、利上げ段階では念を入れて「ここまで」と思った段階+一回分の利上げを行なう■金融政策で利上げという抗生物質の投与を止める時期が早すぎると、インフレという感染症がぶりかえすリスクがあるのだIT技術により、企業が抱える不確実性が減少した。それまでは在庫を余分に抱え、従業員を余計に雇って予想外の事態や経営判断の間違いに備えていたが、このヘッジがだんだんと不要になってきた。

Posted byブクログ