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死者のための音楽 の商品レビュー

3.8

46件のお客様レビュー

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2012/07/17

じわじわとくる。 また読みたい。 「長い旅のはじまり」は、父と娘と息子の話。二度楽しめた。 一度目はそのままの物語として。 二度目は、MF文庫ダヴィンチ版の最後の解説で、もう一度読んで欲しいとあって少しだけ読み直したときだ。 深読みのしすぎだろうが、二度目に読んだとき、 父は...

じわじわとくる。 また読みたい。 「長い旅のはじまり」は、父と娘と息子の話。二度楽しめた。 一度目はそのままの物語として。 二度目は、MF文庫ダヴィンチ版の最後の解説で、もう一度読んで欲しいとあって少しだけ読み直したときだ。 深読みのしすぎだろうが、二度目に読んだとき、 父は乙一、娘は山白朝子、そして息子もまた乙一(もしくはもう一つの別名義)なのではないかと考えた。 物語のラストは、母子が旅をしているとある。 彼らは父と娘、母と息子、また、夫婦にも見えるらしい。 様々な関係性を想像させる。 乙一という、ある種のブランド名詞がリセットされる為の、長い旅のはじまり…。なのかも?

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2012/06/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

息苦しく、眼の裏が熱さを通り越して痛いほど哀しいのに心が暖かくなる短編。ぞわりと恐ろしくはない、物悲しいホラー。 淡々としながら情熱的に生きる様とざわめくような死に心を動かされた。 どれも素敵だけど、「鬼物語」「鳥とファフロッキーズ現象について」が好み。悲哀。 書き下ろし「死者のための音楽」は母と娘、どちらにも心沿わせることのできる情感豊かな短編でした。

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2012/04/11

(No.12-28) 短編集です。ほとんどはホラーっぽい話。 先日読んだ「エムブリヲ奇譚」がとても良かったので、以前出版されたこれも読んでみました。全部で7編収録。 主人公も設定もバラバラな話ですが、一編読むごとに、切なくて、哀しくて、やるせない気持ちでたまらなくなりました。 ...

(No.12-28) 短編集です。ほとんどはホラーっぽい話。 先日読んだ「エムブリヲ奇譚」がとても良かったので、以前出版されたこれも読んでみました。全部で7編収録。 主人公も設定もバラバラな話ですが、一編読むごとに、切なくて、哀しくて、やるせない気持ちでたまらなくなりました。 私は単行本で読んだのですが、装丁や栞紐がぞくぞくするほど素敵です。ネットの画像で見る限り文庫版よりずっと良いと思います。 一番辛くてどうしようもない気持ちになったのは「黄金工場」。ううっ、その上気持ち悪くなってきた・・・。 読後感が一番良かったのは「鳥とファフロッキーズ現象について」です。あれが犬だったりしたらストーリーはありふれている気がしますが、謎の鳥なので独特の雰囲気がありました。 表題になっている「死者のための音楽」の最後では泣きそうになりました。何で違う結末にしてくれなかったの?そんなのって・・・。 ともかく珠玉の短編集とはこのことでしょう。素晴らしい! 「山白朝子」は雑誌「幽」に書くときに使ってるペンネームらしいです。

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2012/01/16
  • ネタバレ

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【読み始め:2012年1月16日/読了:2012年1月16日/時間:2h】 どれから読もうかな、で恩田さんの「六月の夜と昼のあわいに」と悩んで、結局先に開いた方にしてみました。全体的な所感としてはやっぱり乙一さんだなぁ、と。でも知らずに読んでたらどう思ったんだろうなぁ。 読み易さは言うまでもなくピカイチ。癖のある表現、というかややこしい表現がないので途中文章に引っ掛からずさらっと読めます。短編集だけあって、寝る前に一話ずつさらっと読むのにも適しているような気がしました。 相変わらず、というかいつ、どの作品を読んでも変わらない雰囲気が好きです。 あの雰囲気はなんて表現すればいいんだろう。重すぎず軽すぎず、ゆったりとしているような、……ヒーリング系の音楽を聴いてる感じが近いんだろうか。 内容はどれも面白かったです。そこと儚い不可思議とちょっとの不条理が盛られた感じが。どの話もすごい不思議な箇所が多々あるのに本筋に大きく関わらないからか大体スルーされてるのが好きです。 以下は一話毎の簡単な感想。個人的なメモに近いです。 ■長い旅のはじまり むかしの日本。坊さんと母子の話。 全体的にあっさりとした感じ。ただ、母が子を慕い、子が母を慕う雰囲気が好き。話がちゃんと巡ってるあたりがすごくらしい気がした。結局どこのお経だったんだろう。読んでる途中実は坊さんが犯人でした!というオチと、お宮の子供の名前が物凄く長すぎて子供が川で溺れているのを坊さんに教えに言った子供が名前を呼んでいる内に亡くなった、というオチがくるんじゃないかと勝手にドキドキしてしまった。当然そんな事はない。 ■井戸を下りる 明治位の日本イメージ。お父さんが子供に昔を語る話。 結局雪はどうなったんだろう。あと話の途中ずっとお父さんの子供の頃遊んでた相手が男の子だと勘違いしていた。いや、あれはわざと……だといいなぁ。全体的な雰囲気は好き。謎が多いのも乙一さんらしい。途中で京都の胎内巡りを思い出しました。 ■黄金工場 少し古い日本、憧れの女の人と少年と工場の話。 乙一さんらしい。色んな意味で。登場人物の中でおかあさんが淡々としすぎて一番怖い。いやおかあさん以外は怖くない、の方が正し……くもないか!おかあさんが何処までも人間らしいのに、黄金の魔法が解けた途端急に空恐ろしくなる。ホント怖い。 ■未完の像 昔の日本。仏像を彫りたい少女と仏師見習いの男の話。 女の子の気風の良い感じが好みです。あと、何となく仏師の男の人の気持ちが分かるような気がしました。相変わらず不思議。 ■鬼物語 むかしむかし、で始まるくらいの日本。一つの村と、一つの血筋の話。 流石不条理!あと人が死ぬときの描写がいつもあっさりしてて空恐ろしい気分になる。なんか怖い。すごい怖い。寝物語とかに読んだらうなされる。間違いなく。鬼怖い。 ■鳥とファロッキーズ現象について 現代日本。鳥と女の子の話。あとお父さん。 こういう話は乙一さんが書く中でも本当凄く好きです。鳥可愛い。殆ど描写の無い筈のお父さんに凄い和む。題名から想像できない、というか予想外の話でした。凄いオススメ。うっかりうるっときてしまった。 ■死者のための音楽 現代日本……から少し昔くらい?お母さんと娘の話。 これもうるっときてしまった。母と娘系の話は弱いから困る。これと鳥の話がこの短編集の中でも乙一さんらしいなぁ、と個人的に思いました。他のどの話も乙一さんにしか書けないと思うけども。娘の独白と母の独白に、お互いが慕っているのを見て和んだり泣けばいいのか、それとも所々噛み合わないお互いの感情に複雑な気分になればいいのか、と悩むような気分になるなぁ。でも母親のとった行動は娘にしか理解されないだろうし、反対に娘にだけでも理解されるのはとても幸福なんだろうな、と思いました。

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2011/12/09

グレー乙一と黒乙一が楽しめる一冊。鬼物語は完全に黒。seven room のような気分を味わえる。鳥~と死者~は白っぽいグレー乙一で良かった。死者~は号泣してしまった。111208

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2011/11/24

山白朝子=乙一氏(公表されてすっきりした・・・)の短編集。中田氏名義が白乙一ならこちらは黒。はじめは黒というかグレー、というような和風ホラーがつづきますが、「黄金工場」あたりから雲行きが怪しくなっていきます。とつとつとした語り口からふいにまみえるグロテスクな場面。どこか「来た…!...

山白朝子=乙一氏(公表されてすっきりした・・・)の短編集。中田氏名義が白乙一ならこちらは黒。はじめは黒というかグレー、というような和風ホラーがつづきますが、「黄金工場」あたりから雲行きが怪しくなっていきます。とつとつとした語り口からふいにまみえるグロテスクな場面。どこか「来た…!」と身構えていた、言葉を変えれば期待もしていたエグい描写が、けっこう容赦ありません。それでも、「鬼物語」では兄弟の絆と親子・父母の愛情と情景の凄まじい美しさが印象に残り、「鳥とファフロッキーズ…」においてはその鳥と少女のやはり愛情にうたれ、そして最後を締める表題作である意味禁忌の欲望を肯定したともいえる物語で深い余韻を残します。やっぱり巧かったです。何年たっても、好きな作家であることにかわりありませんでした。

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2011/09/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

図書館にて。 ラストから2作目の鳥の話が好き。なぜか駅の改札のあたりで立って読んでいたが、泣きそうになった。 まんま乙一ワールドだった。もうどんな名前でもいいから、もっと書いてほしい。

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2011/08/30

…おばあちゃん、まるで後を追うみたいだったね。病院で、返事をしないおばあちゃんにむかって、話しかけてたよね。「ねえ、音楽は聞こえてる?」(「死者のための音楽」より)。怪談専門誌『幽』の連載で話題騒然の作家、待望の初単行本。 (BOOKデータベースより) *** 恒川作品に似て...

…おばあちゃん、まるで後を追うみたいだったね。病院で、返事をしないおばあちゃんにむかって、話しかけてたよね。「ねえ、音楽は聞こえてる?」(「死者のための音楽」より)。怪談専門誌『幽』の連載で話題騒然の作家、待望の初単行本。 (BOOKデータベースより) *** 恒川作品に似ていて、でもさらに暗く、若しくは切なく、哀しくした感じでした。 どのお話も結構好きです。 「長い旅のはじまり」 父と娘、母と息子、夫婦。彼らと和尚の不思議な話。 「井戸を下りる」 井戸に下りた男の昔話。 「黄金工場」 とある工場からでる、廃液。その液に触れたモノは…。 「未完の像」 仏像をつくりたいと願う少女。彼女が彫ったものは、まるで命を得たように。 「鬼物語」 ある村に住む村人たちと、その近く森に住む鬼の話。 「鳥とファフロッキーズ現象について」 父と娘で暮らしていた家に、黒い鳥が加わった。鳥には不思議な力があり、ある事件を境に日常は一変する。 「死者のための音楽」 ずっと音楽が聞こえていた母と、娘の話。 装丁も素敵でした。

Posted byブクログ

2020/01/28
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山白朝子短篇集『死者のための音楽』 後回しにしつつも読むのが楽しみだった本。っていうのもネットで「山白朝子=乙一?」って書かれてたから。わくわくしつつも先入観を捨てて読みました。 装丁が綺麗です開いてびっくりしたのがスピン!細いのが3本。しかも長い!なぜ3本!?(笑)こんな本初めて見たわ(・∀・) で、読んだ感想ですが、確かに似てはいると思う。雰囲気って言うか残酷なのに暖かいとことか。とくに最後の2つ。最後なんかめっちゃ泣いたさ(ρД`)。。 でも「じゃあ覆面か?」って言われると正直解んない(笑)考えてもしょうがないしね。ただ私好みなのは確かです(・∀・)良い本に出合えてよかった 未だに細い3本のスピンが謎(笑)

Posted byブクログ

2011/06/26

乙一さんがツイッターにて別名義で出したとおっしゃっていた怪談短編集。読んでみて納得。確かに乙一さんの作品で味わえた雰囲気がこの作品には広がっていました。怖いけど切なく、心が温かくなる短編集でした。 お気に入りの作品は、未完の像、鬼物語、鳥とファフロッキーズ現象について、死者のた...

乙一さんがツイッターにて別名義で出したとおっしゃっていた怪談短編集。読んでみて納得。確かに乙一さんの作品で味わえた雰囲気がこの作品には広がっていました。怖いけど切なく、心が温かくなる短編集でした。 お気に入りの作品は、未完の像、鬼物語、鳥とファフロッキーズ現象について、死者のための音楽。

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