村上春樹にご用心 の商品レビュー
f.③2023/10/03 f.②2017/5/6 f.2007/12/22 p.2007/9/25
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久しぶりに、スッキリできる書籍に出会った。 もやが急に晴れたとは、まさにこのこと。 いつものことだけれど、村上作品の解説本の類に手を伸ばしてしまう。 私にとって、作品そのものは意味がわからないのに面白いはじめての作家であり、ずっと好きだという気持ちがやまない。 ハルキストとし...
久しぶりに、スッキリできる書籍に出会った。 もやが急に晴れたとは、まさにこのこと。 いつものことだけれど、村上作品の解説本の類に手を伸ばしてしまう。 私にとって、作品そのものは意味がわからないのに面白いはじめての作家であり、ずっと好きだという気持ちがやまない。 ハルキストとしての初めの一歩を娘が村上春樹に興味を持ったことで、反芻している。好きだと自覚してからは、本当にずっと好きだと思っていたけど、自覚してからだって、好きの内容は意外と様変わりしてきたと思い至る。 で、読みなくなった。他人が語る村上春樹を。 内田樹は共感材料が多い、語り口が楽しいし、多分、この人のことを人として好きだ。内容、言葉遣いを通して、私が見ている人柄をとても素敵だと思っている。わかる!そうありたい!と思っている延長にいる人。延長というのは、分かるし、共感できるけれど、学びが多いという意味だ。 村上春樹ことはじめのころ、私が何者か、理解できないミュージシャンやお酒なんかがよく出てきて、煩わしさを感じていた。今は以前ほど露骨ではないのか、私が慣れたのか、実は私の知識が増えたのか、わからないけど、そう思うことはなくなった。そのあたりの内田樹の解説からして、唸りっぱなし。それらの役割と私の距離感を理解する。ふーんから、はじまり、期せずして、面白いと私が感じる根本的な理由が掴めたような気がしているのだ。 村上春樹が文壇でよく言われない直接的な理由はなんとなく知っていたつもりだし、ハルキストってそれさえも勲章みたいに思っているから、掘り下げて考えてこなかった。文壇から否定されているメカニズムには、ほーっと思ったし、それが文学そのものに繋がるところでちょっと熱くなる自分を感じた。 読書が好きだし、物語が好きだ。私が学生だった時代、小説は下らないという価値観が残っていたし、私にも物語が好きなんて女子供の言うことぞという感覚もあった。文芸論も、文化論も好きだがけれど、考えると、これは自分が小説・物語を好む理由が欲しかったからと説明できるかもしれない。文学とは何か!その価値とは何なのか!突き詰めて、学んでもよかったなと今では思う。きちんと、今でも好きだから。 それでも、もっぱら日本の小説ですが、読書が趣味ですと卑下して言ってしまう。自分の面白さと文学的価値は基準が違うし、文学的価値がない読書は堂々と胸を張れないように思ってきた。 私は小説をこよなく愛しているので、小説以外で震えることは本当に少ないのだけれど、小説そのものではなく、ましてや、具体的な小説について解説している箇所でもないのに、心が震えた部分がある。 家族とは欠落と不在を持って、意識される集団であるということ。ひいては、人間とは、失うものに価値を求め、美しさを説くものという内田氏の持論。恐ろしい、祖母と父の死に面した時、また、それから新しい家族を持った時、私が考えた幸せも悲しみも亡き祖母と父を想う気持ちだった。娘を育てている今、振り返るとこも、常に祖母も父も健在だった日のことで、それは、幸せと共にハルキストに成長していく、私の人生そのものだった。家族になのか、春樹になのか、自分になのか、さらにないまぜなのか、そこに強力に感傷的になる自分がいて、少し混乱したりもした。
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人間には根源的に共通した部分がある。 「世界」に読まれるっていうのは きっとそういう事でしょうね。 外国語に翻訳された文章を再度日本語に翻訳しても原文と同じ文章が出てくる。 根源的に、みんな井戸を抜けるし孤独だしパスタ作るし走るし泳ぐのだ。
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村上春樹は好きではないが、その作品を手掛かりに披露される内田樹の知見には、相変わらず唸らされるところがある。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
私は村上春樹はあまり好きじゃないです。 (アンチではないですよ?ただ、つかみきれないその文に 畏怖も感じるのですが、なんか、怖い) 著者は珍しいことに 冬ソナが好きなのです!! しかも超真面目に語っているぜコノヤロー。 ここまでいろいろと思いを巡らせることができれば 幸せなんだろうなぁ。 村上春樹の魅力をこれでもかと ぶつける、著者らしい(と言われる)作品。 翻訳しやすい文だということに 驚かされました。 現実にフランス語にかかわる彼が訳した分と 原文は近いのよね。 しかもハルキストらしく、 大体文脈予想をしてらっしゃる(笑) 文壇のかくかくしかじか話も 必見であります。
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筆者がメディアやブログの日記で「村上春樹」について書いたものを、まとめて1冊にした本。そういう意味で、一つ一つのエピソードは納得させられるものがあるものの、全体としてのまとまりにはやや欠けたしまった感もある。また、村上氏の作品のいくつかをピックアップして、謎解きや解説をしたもの...
筆者がメディアやブログの日記で「村上春樹」について書いたものを、まとめて1冊にした本。そういう意味で、一つ一つのエピソードは納得させられるものがあるものの、全体としてのまとまりにはやや欠けたしまった感もある。また、村上氏の作品のいくつかをピックアップして、謎解きや解説をしたものではない。 いきなり読み始めるのではなく、あとがきで全体像をつかんでから、最初に戻った方がいいのかも知れない。 目からウロコの指摘がいっぱいある。例えば、p.58「近いところでは村上春樹の作品はほぼすべてが「幽霊」話である。」なるほど。そう思って見ると、不可思議な言動をする登場人物の正体が、少しだけ分かったような気がする。 p.65「私たちの世界にはときどき「猫の手を万力で潰すような邪悪なもの」が入り込んできて、愛する人たちを拉致してゆくことがある。だから、愛する人たちがその「超越的に邪悪なもの」に損なわれないように、境界線を見守る「センチネル(歩哨)」が存在しなければならない…というのが村上春樹の長編の変わることのない構図である(ご存じなかったですか?)。」なども、私はハッとさせられた。 この本は、基本的に村上作品を肯定的に扱っているので当たり前かもしれないが、読み終わったあと、よ~し、もう一度村上作品を読んでみよう、と思わされる力がある。私も、このブログに読んだ本の感想を書くとき、その本を肯定するにしても否定するにしても、その本を読みたくなるような、そんな感想を書かなければいけないなあと、改めて考えさせられた。
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お蕎麦屋さんに置いてあった本。「ご自由にお持ち帰り下さい」とあったので、弟がもらってきた本を弟より先に読了。この方は、本当によく村上春樹を読まれてるなという印象。共感できるところも多々あった。今日はちょうど、ノーベル文学賞の発表日。村上春樹さんが授賞されたら私もうれしいし、(授賞...
お蕎麦屋さんに置いてあった本。「ご自由にお持ち帰り下さい」とあったので、弟がもらってきた本を弟より先に読了。この方は、本当によく村上春樹を読まれてるなという印象。共感できるところも多々あった。今日はちょうど、ノーベル文学賞の発表日。村上春樹さんが授賞されたら私もうれしいし、(授賞するにせよ、しないにせよ関係ないかもしれないが)また彼の小説を読みたくなるだろう。
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もしかしてこの本に書かれているように、村上春樹さんの作品が「誰も気付かないけど世界的に共通して失われたものをテーマに書かれている」ために読者が増えている…のかもしれないな。「文化的雪かき仕事」とは「小説」であり「バー」であり「音楽」や「映画」でもあるのかな
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「100パーセントの女の子とウェーバー的直感について」という最後のめちゃくちゃなエッセイが好きですね。
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村上春樹は評論家に評判悪いと初めて知った。理由はなんとなくわかるけれど、評論家に受けがよかったり悪かったりすることで、小説の面白さが変わるわけでもないし、どっちでもいいや。小説とか音楽とかを、好き嫌いで語ることができないというのは因果な商売だなあと思う。 まあそう言い出すと、村上...
村上春樹は評論家に評判悪いと初めて知った。理由はなんとなくわかるけれど、評論家に受けがよかったり悪かったりすることで、小説の面白さが変わるわけでもないし、どっちでもいいや。小説とか音楽とかを、好き嫌いで語ることができないというのは因果な商売だなあと思う。 まあそう言い出すと、村上春樹を読み解く試みも無意味ということになるんだけど。まあ、無意味だなあ。
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