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村上春樹にご用心 の商品レビュー

3.9

48件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

    12

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2010/08/02

最近『スプートニクの恋人』を読んだ。ぐいぐい惹き込んでいくような面白さがあったので、英語版も買おうかなと(英語の勉強になるし)、昨日新橋の文教堂で迷ったんだけど、あまりの値段の高さ(1920円)に断念した。 それはさておき、こういう文学批評っていったいどこにその価値があるのだろ...

最近『スプートニクの恋人』を読んだ。ぐいぐい惹き込んでいくような面白さがあったので、英語版も買おうかなと(英語の勉強になるし)、昨日新橋の文教堂で迷ったんだけど、あまりの値段の高さ(1920円)に断念した。 それはさておき、こういう文学批評っていったいどこにその価値があるのだろうか。橋本治が「批評とマーケティング」で言っていたように、批評が社会をリードするのは(批評に意味があるのは)、”社会はいつでも未完成で、しかし、その社会にすむ人間は、いたって簡単に「未完成である」ということを忘れてしまうから”というのが一つの理由として考えられる。 また人間は一人一人その価値観、世界観が違うから、その「ずれ」を埋め合わせるため、あるいは議論を活発化させるために批評は存在している、とも言えるかもしれない。 しかし殊文学に至っては、それがうまく当てはまらない。 文学とかそういうものはとても「個人的」なものであり(あるいは「単なる娯楽のようなもの」)、そこに批評が介在することで、作品そのものが昇華されるとは思えないからである(じゃあこのレビューは何なの、とか言わないでね)。 その作品をどう捉えるかは、あくまで読者側が行うことだ。 であるからして、文学批評(文芸評論)というのは、その批評家が提示する批評内容に読む側が同意できるか否か、ただそれだけのことである(と思う)。 (だから文学批評って必要ないと言われれば、ないとも言える気がするし) 僕は小説はあまり読まないけど、村上春樹は好きだし、また内田樹の(村上春樹に対する)捉え方もよくよく同意できる。 ただそれだけのことで、文学とかそういうものは本当に個人的な営みなんだな、と思う。厳密な意味で、それは他の人と共有できるとはあまり思えない。 (2007年11月10日)

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2010/05/04

文化的雪かき仕事という表現がとでも印象深かった。 誰も評価してくれる訳ではないけれど、この世に必要不可欠な仕事。 村上春樹に僕が惹かれる理由が父性の欠如にあるということを認識できたことが収穫だった。

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2010/04/16

村上春樹文学はひとつの宇宙論。 村上文学には父が登場しない。だから世界的になった。 強い人間なんてどこにもいない、強い振りの出来る人間がいるだけさ。 日本でも村上が日本文学をだめにしたとか言われるんだけど、僕ごときでだめになるような文学なんて、最初からだめだったんあjないかなって...

村上春樹文学はひとつの宇宙論。 村上文学には父が登場しない。だから世界的になった。 強い人間なんてどこにもいない、強い振りの出来る人間がいるだけさ。 日本でも村上が日本文学をだめにしたとか言われるんだけど、僕ごときでだめになるような文学なんて、最初からだめだったんあjないかなって正直に思っていますね。 村上春樹は文壇的には孤立した作家。 村上は人々が邪悪なものによって無意味に傷つけられ、損なわれる経験を淡々と記述し、そこに何の意味もないことを繰り返し、執拗に書き続けてきた。

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2010/04/03

 この本は、内田樹氏が自身のブログに書きためていたものをまとめた形になっています。ばらばら感もありますが、村上春樹はないものをないと書く作家であることがわかりました。

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2020/04/03

僕の村上春樹の読み方が「合っていた」ことを知り、 とてもうれしい(もちろん、内田さんの解釈によればだけれど)。 以前のブログで、2003年に以下のような記事を書いているし、 http://blog.livedoor.jp/m-24_93028/archives/2003-11....

僕の村上春樹の読み方が「合っていた」ことを知り、 とてもうれしい(もちろん、内田さんの解釈によればだけれど)。 以前のブログで、2003年に以下のような記事を書いているし、 http://blog.livedoor.jp/m-24_93028/archives/2003-11.html それと「不条理なことが起こり得ること」という テーゼは、岡崎京子の「リバーズ・エッジ」のテーマだと僕は理解している。 ということで、僕の中ではまたもすっきり。 内田さんに感謝。

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2009/12/09

村上春樹の小説の世界観や村上春樹自身の考え方などについて書かれています。 その中で、村上春樹の小説には死者からの言葉がよく出てくるとあります。 著者はその意味を最初すごく考えていたが、そんなものにもともと意味自体ないという考えに至っています。これは小説の中で台詞にも「意味はな...

村上春樹の小説の世界観や村上春樹自身の考え方などについて書かれています。 その中で、村上春樹の小説には死者からの言葉がよく出てくるとあります。 著者はその意味を最初すごく考えていたが、そんなものにもともと意味自体ないという考えに至っています。これは小説の中で台詞にも「意味はない」とあることからわかります。 そこから、カフカなどの不条理の話になり、突然の病気やいじめ、事故、無能な上司による評価など世の中の不条理に我々は意味を見出したがるが、そこには意味はないと論じています。 私は意味があるかないかというのは状況次第だと思います。そもそも意味とは最初からあったりなかったり決まっているものではなく、人や時間や場所などの条件によって意味を見出すかも変わるからです。 不条理な状態から距離を置く、例えばいじめの環境から逃げる、会社をやめるなどの場合は意味がないと考えていいでしょう。 ただ不条理な状態から逃げれない場合もあります。 例えば、突然不治の病にかかることや見ず知らずの人に暴行を受けて障害を負ってしまうなどの場合は逃げることはできません。そのときにこれは意味がないと冷静に受け止めることは困難だと思います。 その場合は意味づけをすることが前に進むために必要だと思います。 人間には意味をつけたがる習性があるので、意味をつけなくてもよいという立場を持ってよいという主張は納得できました。

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2009/10/11

村上春樹のことだけでなく、いろんなことについて感じて自分なりに考えて、意見を持って。でも、それが果たして正しい考えなのか、ほかの人はどう考えているのか意見を聞いてみたい。 そういうときに、この筆者の考えはすごく説得力があって、共感できるし、新しい発見も多い。 村上春樹の文...

村上春樹のことだけでなく、いろんなことについて感じて自分なりに考えて、意見を持って。でも、それが果たして正しい考えなのか、ほかの人はどう考えているのか意見を聞いてみたい。 そういうときに、この筆者の考えはすごく説得力があって、共感できるし、新しい発見も多い。 村上春樹の文学では、「雪かき仕事」の大切さがよく取り上げられているというのも慧眼だった。 「雪かき仕事」は特に賃金が払われるわけでもなく、社会的敬意も向けられないけれど、誰かがやらなければ必ず困る人がいる。 生活の中で突然ふりかかる「邪悪なるもの」に取り込まれてしまわないために、「僕」は「雪かき仕事」をきちんと続けている。 かなりざっくりと自分の特に気に入ったことをまとめてしまうとこんな風になるんだけれど、 なるほどなあ、と思う。 こういう風に考えると、私が村上春樹に惹かれる理由も、すごくしっくりくるんだよねえ。 シンプルな朝食を手際よくこしらえて食べたり、 毎日きまったコースをジョギングした後に浴びるシャワーの気持ちよさであったり、そういう描写は読んでいてもさっぱり気持ちよくて、神聖ですらある。 簡単そうでいて、日常で実践し続けるのはなかなか難しいんだよね。 それこそ、すぐに邪悪なほうに取り込まれてしまうから。 話は変わって、文章を書くということについて。 書き手は完璧に正確な表現者でなければ書いてはならないなんてことないんだ。 オーソリティーがこうすっぱりと言い切ってしまうすがすがしさ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「あ、この本面白かった。またこの人の本出たら買おう」と思うのはせいぜい十人に一人くらいである。  それで十分だと思う  十人のうち八人、九人に支持される本を書こうなどと大それたことは考えないほうがいいし、そもそも考えても書けない。  私の書くものは、私の書くものが「読みたい」人のために書かれたものであって、私の書くものが「読みたくない」人のためには書かれていない。「私の書いたものを読みたくない人」は読んでも意味がよく分からないか、意味は分かるが腹が立つかのどちらかである。  私の考え方や書き方が「気にくわない」という意見をお持ちの方はそう思う権利があり、私はそれを尊重する。そういう方にお薦めしたいのは、とりあえず読まないことと、運悪く読んでしまった場合には、読んだという事実そのものを忘れてしまうことである。

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2009/10/07

村上春樹について書かれた本の中で最良のもののひとつだと思う。 うまい言い方が見つかりませんが、「切り刻んで、並べて、洗って、ひとつひとつ手にとって論評する」式ではなくて、「頭から丸のみする」式の読み方をしているとでもいうのでしょうか。

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2009/10/04

2冊目。自分でもむちゃくちゃな順番だったと思う(笑)。とりあえず「内田樹って!?!?!?!なんだこのひと?!?」状態のときに図書館で借りられたのがこれくらいしかなかったので(笑)。うなぎの話が強烈なインパクトだ。「雪かき仕事」がいかに重要か、またライ麦畑の番人がいかに愛しいかとい...

2冊目。自分でもむちゃくちゃな順番だったと思う(笑)。とりあえず「内田樹って!?!?!?!なんだこのひと?!?」状態のときに図書館で借りられたのがこれくらいしかなかったので(笑)。うなぎの話が強烈なインパクトだ。「雪かき仕事」がいかに重要か、またライ麦畑の番人がいかに愛しいかということ。これができれば大人なんだなと思った。やっと初期春樹三部作を読んだ(09・9・30)笑

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2009/10/07

読み始めてから思い出したのだが、村上春樹作品をここ数年読んでいないので、具体的に思い出せなくなっていたのだった。 そんな状態で読んでもあまり意味がないような…

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