ケーブ・ベアの一族(上) の商品レビュー
子どもの頃に読んだ。ネアンデルタール人の生活などかなり興味深かった。大好きな本です。 今になって、集英社版と評論社版があり訳が多少違うことを知りました。
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最初に児童書として刊行された時から読みたいと思っていた本。 数十年たってから読み始めても色あせない面白さでした。 主人公の少女エイラは、5歳の時に大地震で家族を喪ってしまいます。 たった5歳の少女が生き延びるには自然は厳しいものですが、水の位置を常に気にしながら移動するエイラは、命を失う寸前に、やはり大地震で住む場所を失った一族に拾われます。 しかしその少女は、透きとおるほど白い肌の色、金髪碧眼、すらりと伸びた手足を持つ、とてもみにくい少女でした。 一族の者たちは見るに堪えないその少女をそのまま捨てていこうとしましたが、薬師のイーザは救える命を見捨てることはできませんでした。 エイラはクロマニオン人、一族はネアンデルタール人。 ほぼ一緒くたに学校では習いますが、クロマニオン人はホモ・サピエンス。 私たちの直系の先祖ですが、ネアンデルタール人はホモ・ネアンデルターレンシス。 私たち人類とは種族が違います。 上巻ではとりあえず、エイラが一族に受け入れられていく過程が書かれていますが、体の作りが違うので、彼らがわかり合うまでにとてつもない苦労があります。 まず、ネアンデルタール人は発声器官が未発達のため、話せる音節には限りがあります。 エイラが最初に話した自分の名前が、彼らには発音のできない音でした。 なのでエイラというのは、彼女の本名に近いネアンデルタールの音で発せられる名前です。 また、ネアンデルタール人の脳には前頭葉がなく、そのため想像したり未来を予想したりができません。 その代わり、代々伝わる部族の記憶というものをが存在し、自分が体験したことがなくても先祖が経験していれば、自分の経験と同じように思い出すことができます。 これはすごいことですが、大きな変化に対応できない、ということでもあります。 前頭葉のないネアンデルタール人の額は後方に傾いていますが、前頭葉の発達したクロマニオン人はまっすぐに平たい形をしています。 これが一族には醜いと感じられるところです。 また大きく湾曲した短い脚ではなく、すらりと伸びたまっすぐな脚、がっしりとした力強い手ではなく、細かな作業ができるようよく動く関節など、目に見える違いのほかに、鼻歌を歌ったり、感情が揺さぶられたときに涙が出るなど、情操にも差があるようです。 この先は物語になるので必ずしも事実ではないのでしょうけれど、一族はそれぞれの守り神であるトーテムを信じ、薬師のイーザがエイラの母親代わりだったように、もグールというまじない師(一族の精神的支柱)のクレブが父親代わりとなり、ことばや礼儀などをエイラに教えます。 一族の長であるブルンは、みにくいよそ者であるエイラを仲間にすることには賛成しきれません。 なぜなら過去に例のないことだからです。 しかし精霊たちの積極的な反対の印も見つけられず、様子見をしているのですが、彼の息子のブラウドが、エイラを目の敵にしていじめまくるのです。 男は狩をして女子どもを守る。 それ以外の生活の雑事はすべて女の仕事であり、女は男に絶対服従を強いられます。 抽象的思考を持てない一族の女たちは、何の疑問もなく代々それを受け入れていますが、エイラはなぜ男だからといってえらいのかが納得できません。 そういうところも不穏の種なわけです。 ネアンデルタール人とクロマニオン人の生活なんて想像もできなくて、次のページをめくる楽しみは最初から最後まで続きました。 エイラ、幸せになってくれよ~。
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評論社版と人名訳が異なっている部分はあるものの、問題なく読めた。作者(ジーン・アウル)は評論社版で未成年には不適切と判断され省略された部分があったことを残念に思っていたようで、こちらを正本として読んだ方が良さそうだ。(宇野亜喜良の表紙絵の美しさも要因のひとつ) 今回知ったが作者はMENSAのメンバーになるほど頭の良い女性のようで、主人公の驚異性は本人の経験も投影されているのかも?
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子どもの頃ワクワクして知った、人類の歴史。アウストラロピテクスやネアンデルタール人など、最近様々な発見があり、研究が進んでいると聞く。 そのネアンデルタールとホモサピエンスが同時期にいた時代。出会うこともあっただろうということが言われている。その時期のことがこの本のベースである。...
子どもの頃ワクワクして知った、人類の歴史。アウストラロピテクスやネアンデルタール人など、最近様々な発見があり、研究が進んでいると聞く。 そのネアンデルタールとホモサピエンスが同時期にいた時代。出会うこともあっただろうということが言われている。その時期のことがこの本のベースである。今までにない設定にワクワクしながら読んだ。 ホモサピエンスの子どもがアクシデントによりネアンデルタールの一族と暮らすことになる。そこで引き起こされる事件は主に種の違いをもとにしたものだ。そんなことを想像できるとは著者もよく調べて想像を働かせているのだろうし、私自身もリアルに想像ができるのが本当に新鮮だ。これからひとりぼっちのホモサピエンスであるエイラがどうなっていくのか、とても楽しみだ。
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面白かった。 好奇心旺盛で、活発なエイラの成長をヒヤヒヤしながら見守るのは楽しかった。 エイラの周りの人々は皆、エイラや現代人の私と異なる価値観を持っているけど、その中でも一人一人の性格や関係性があって面白かった。 エイラの親代わりの二人が本当に暖かい。
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パーソナル資産活用のために読みたい 2010/1/10 ドキドキ、ハラハラで、面白い。 全編に渡る「かったるさ」は否めないが、それでも読ませるなにかがある。パーンの竜騎士シリーズを好きな人などは、面白いかも。 パーソナル資産活用という面はあまり読み取れなかった。今後のシリーズに期...
パーソナル資産活用のために読みたい 2010/1/10 ドキドキ、ハラハラで、面白い。 全編に渡る「かったるさ」は否めないが、それでも読ませるなにかがある。パーンの竜騎士シリーズを好きな人などは、面白いかも。 パーソナル資産活用という面はあまり読み取れなかった。今後のシリーズに期待。
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ネアンデルタール人の一族に拾われたクロマニィヨン人の少女エイラの物語。作者の自由な想像力で紀元前三万五千年頃のヨーロッパ大陸を舞台にします。最近の研究で、現代人の遺伝子にネアンデルタール人の遺伝子が若干だが含まれているケースがあるとか。交雑もあったのかもしれないな。
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ネアンデルタール人の一族に拾われたクロマニヨン人の少女を主人公にした大河小説。読んでから随分経つが、未だに断片が脳裏に蘇る。 わたしが貪るようにシリーズを一気読みしたのは、確か7年ほど前だったか。 何故か今になって唐突にレビューを書く気になったので、少し書く。 考古学的にどこ...
ネアンデルタール人の一族に拾われたクロマニヨン人の少女を主人公にした大河小説。読んでから随分経つが、未だに断片が脳裏に蘇る。 わたしが貪るようにシリーズを一気読みしたのは、確か7年ほど前だったか。 何故か今になって唐突にレビューを書く気になったので、少し書く。 考古学的にどこまでが確かなことなのかわからないが、描写のリアルさは主人公や周りの人々の思考から生活の端々、取り巻く動植物や地形などの自然に至るまで見事に徹底されており、まるでノンフィクション映画を観ているような感覚で最終巻まで読み通した。 わたしには生活の描写が特に印象的だった。狩りのシーンや、狩りや調理の道具や衣類などを作るシーン、主人公が薬草を少しずつ覚えていく過程、言語の発達過程、ネアンデルタール人とクロマニヨン人のコミュニケーション方法の違い、主人公が動物たちと信頼関係を築いていく過程、ネアンデルタール人の宗教儀式のシーン、ネアンデルタール人とクロマニヨン人との関係性……などなど、読後数年経っていながらこれほどまでに次々と思い出せるほど、印象的な描写は数多い。 といっても、記憶があやふやになっているものも多々あることに気づいたので、何年かして子育てがひと段落したら、ぜひまた読み返したい。 ただ買い揃えるには高すぎるので、次に読むときもまた図書館頼みになることは確実である。 息子も読めるようになってから、になるのかなぁ。 何年先になるのやら。
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クロマニヨン人のエイラが地震で家族や同族から切り離されひょんなことからネアンデルタール人と暮らすことになる話の1作め。 想像とはいえ なかなかリアルにかけています。 男尊女卑がこの本で描かれるようであったとはおもわれないが 狩りの仕方や 生活の様子などよくかけています。 口の構造など生理的な違いに関する言及もあり、読ませます。 ただ禁忌に関する部分についてはちょっと同意的なところもありました。 アマゾンの部族も 植物にやたら詳しいので きっと昔はそうだったんだろうなと思われるところが随所にみられ1級のエンターテインメントにはなっていると思いました。
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原始時代のお話。 前にトラクの話を読んでいたので比較的入りやすかったです。 まああっちとはまた違ってもっと細かく描写されていたりしますが。 結構シリーズ続いているみたいなので続きが楽しみです。
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