世界屠畜紀行 の商品レビュー
内澤旬子さんというイラストルポライターの方が、屠畜と差別についての問題意識を根底に持ちつつ、臆せず挑む体当たりルポルタージュです。といっても、そんなに難しいものではなく、好奇心旺盛で怖いの知らずで、タブーを知りつつ物怖じしない内澤さんの視点が気持ちいいほど。 単に屠るだけでは「肉...
内澤旬子さんというイラストルポライターの方が、屠畜と差別についての問題意識を根底に持ちつつ、臆せず挑む体当たりルポルタージュです。といっても、そんなに難しいものではなく、好奇心旺盛で怖いの知らずで、タブーを知りつつ物怖じしない内澤さんの視点が気持ちいいほど。 単に屠るだけでは「肉」にはならないのです。 その中にちらりと『鋼の錬金術師』のアニメの話が出てきていました。第一期第8話の肉屋の倉庫に牛肉が天井からずらりと鉤に引っ掛けられてぶら下がっているシーン。「あり得ない」とダメ出しされています(苦笑)確かに、肉で牛の体重は支えられません。(ちなみに、原作コミックにはこのシーンはないと書かれています)よく見ていらっしゃる。 ちなみに、そういう風に作画が間違った表現になるのは、資料自体が存在しないせいもあるのだと思います。 手書きの味のあるイラストがたくさんあって、しかもその視点には「愛」がある。屠畜という営みを心から愛している人なんですよね。興味がありましたら、ぜひご一読ください!むしろ、興味がなくても読んでみてほしい本です。
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面白い。肉を食べる以上、各国家畜を捌く人がいるのも当然なのだが、その仕事や人たちにスポットを当てた本は初めて読んだ。 ありがたい人たちです。 ただ欧州の動物愛護の見解から殺される家畜に他の家畜が殺される所を見せないように配慮するなどバカバカしい愛護精神も印象に残った。
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屠畜という行為に差別意識を持つことが不当であることは理解できるし、肉を食するということを正しく受け止めるためにそのプロセスを避けることなく知ることは大事だと思う。でも理屈じゃなくて血を流すという行為に対する抵抗感を覚えるのも偽らない本音だ。生の営みというのがきれい事だけで済ませてしまわないようにするにはこういったことも受け止める必要があるんだと思った。
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お肉を解体するテクニカルな描写が大変面白い。 フランスの市場でマル剥きにされたウサギを見て「美味しいそ♪」と思ってしまった私は、作者とかなり感覚が近いんだろうな。 食べるという行為をとても愛する私にとって、モンゴルの章で語られてた、 「たくさんの命をもらって自分が生きていると...
お肉を解体するテクニカルな描写が大変面白い。 フランスの市場でマル剥きにされたウサギを見て「美味しいそ♪」と思ってしまった私は、作者とかなり感覚が近いんだろうな。 食べるという行為をとても愛する私にとって、モンゴルの章で語られてた、 「たくさんの命をもらって自分が生きているという自覚、それがまずないとダメ。そうしてらはじめて誰かがやってくれている事に対してありがとうという気持ちになる。」 という言葉に深く共感しました。
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家畜をつぶして肉にする行為を、日本を含め約十カ国で取材したノンフィクション。挿絵つきでわかりやすく、文章も会話調で読みやすい。 筆者は、屠畜が家族単位でなされる国の場合は、ある家族に頼んで豚を一頭つぶしてもらい、工場でなされる場合はそこを見学して本書を書いている。 バリやエジプト、チェコでは屠畜行為は、ごく一般的な行為と見なされ、羊ほどの大きさになると肉屋を呼んでつぶしてもらう。遊牧民のモンゴルに至っては、男子ならだれでも羊をつぶせる。屠畜作業も挿絵つきで詳しく述べられている。頸動脈を切り、身体外に血を流す放血をおこなうバリやエジプトにチェコ、腹に手を入れ大動脈を切り、体内の一部に血をためて外に血を流さないモンゴル。いっぽう日本やアメリカでは、大量の牛や豚が大屠畜場で効率よく処理されている。炭酸ガスを吸わせ仮死状態にしてから、放血し、次々と流れ作業で解体されていく模様が順を追って詳細に描かれている。 本書では、屠畜作業の説明の他に、屠畜という命を奪う行為がもたらす職業偏見についても、宗教にからめて踏み込んでいる。屠畜行為を食事の用意と見なしている国では、家族の一員が屠畜するため、偏見が介在する余地はなく、逆に祭りや客をもてなす意味合いが強く、豊かな家を象徴する行為と見なされる。朝鮮戦争で身分制度が崩れた韓国、社会主義国のチェコでは、職業偏見がそもそも存在しないため、肉屋に対しても偏見を持たない。いっぽう、日本やインドでは屠畜行為に対する不浄感が強く残っているため、偏見はある。 野菜の育て方に関する書物が多いなか、肉をつくる行為を特別視する日本において、この手の書物を出す意義は高いと思うが、残念ながら、のぞき見趣味が多い印象を受ける。
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なぜ「肉」を食べるのか、屠蓄することは、人間にとってどんなことなのか・・、韓国、バリ島、エジプト、ヨーロッパ、モンゴル、アメリカ・・日本の屠蓄場をルポ。内臓処理業者、皮なめし工場など徹底した取材で丁寧なイラスト付き。 動物愛護の視点からも屠蓄論を展開するが、さまざまな矛盾にウチザ...
なぜ「肉」を食べるのか、屠蓄することは、人間にとってどんなことなのか・・、韓国、バリ島、エジプト、ヨーロッパ、モンゴル、アメリカ・・日本の屠蓄場をルポ。内臓処理業者、皮なめし工場など徹底した取材で丁寧なイラスト付き。 動物愛護の視点からも屠蓄論を展開するが、さまざまな矛盾にウチザワさんは、いつも「なんだかな・・」と答えの出ない問題の前で立ち止まる。 凄絶そうな屠蓄の現場もウチザワさんにかかると「オモシレ~、自分もやってみたい!!」になるし、まだ温かい湯気を出している肉を見て「ウマソ~」というのが救いとなる。 肉は正直、旨いけれど、「肉屋の陳列ケース」にあるのが、私にとては肉であり、どうも動物そのものとしての肉対峙は遠慮したいな。 圧巻の書でした!
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日ごろ私たちが口にしている肉がどのように解体処理されているのかをルポした本。日本だけでなく著者が世界数カ国を実際にまわり、イラスト付きで食肉加工の過程を丁寧に説明している。お国事情が分かって面白い!しかし、ときどき著者の「私はこういうの大丈夫」系のコメントが不要と思ったりした。
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世界の屠畜場の現場を取材した、著者自筆イラスト満載のルポルタージュ。 普段パック詰めでずらーっとスーパーに並んでいて、当たり前のように買っているお肉。狂牛病だとか、鳥インフルエンザとか、口蹄疫のときばかりやたらニュースで取り上げられるお肉の現場。 そして、日本に古くからある屠畜...
世界の屠畜場の現場を取材した、著者自筆イラスト満載のルポルタージュ。 普段パック詰めでずらーっとスーパーに並んでいて、当たり前のように買っているお肉。狂牛病だとか、鳥インフルエンザとか、口蹄疫のときばかりやたらニュースで取り上げられるお肉の現場。 そして、日本に古くからある屠畜を職業とする人々への差別――。 それら全部をひっくるめて、ひとつひとつ向き合って自分で考えてみて、それでも「屠畜という作業が好き!」ときっぱりと断言する作者に拍手。 これまで日本で何かとブラックボックス扱いされていた屠畜という仕事に、「好奇心」で挑んだ力作にして良作だと思う。 この、「好奇心」というのはともすれば諸刃の剣だ。ただの興味で首を突っ込むと、無責任な「野次馬」になりかねない。 屠畜のルポ本だと聞いていたときから、「屠畜職の差別のことはどう書かれているのかなぁ」と気になっていた。私自身が、差別はとてもとても、ナイーブなテーマだと思っているためだ。 しかし、著者のあっけらかんとした屠畜作業自体への好奇心と、屠畜に携わる人々およびその技能への純粋な敬意が、そんな湿っぽい私の心配を吹き飛ばしてくれた。 そうか、そうだよな、だって私達お肉を食べてるんだものな。それが事実なんだもの。しかもそれが現代社会の日本で支えられているのは、立派な「技能」と食品の品質に対する「意識」があってこそのものなんだものな。 著者の言うことはまっとうで、しかもとてもシンプルだ。変な理屈をこねたり、頭でっかちになってわかったようなことは言わない。 肩肘張らない、そして責任意識もきちんとある、素敵なルポルタージュであった。ぜひとも、もっともっと多くの人に読まれてほしいと思う。そして、おいしいお肉が食べられる幸せを、素直に噛み締められるようになれば、それでいいと思う。
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普段その存在を意識することのまったくない世界を満喫できました。著者をテレビで見たことがありますが、見た目ほっそりとしているけど、すごいバイタリティーのある人でした。この本もすごいです。パック詰めされた肉や切り身の魚、手入れの行き届いた野菜を当たり前に食べている自分は、せめて感謝の...
普段その存在を意識することのまったくない世界を満喫できました。著者をテレビで見たことがありますが、見た目ほっそりとしているけど、すごいバイタリティーのある人でした。この本もすごいです。パック詰めされた肉や切り身の魚、手入れの行き届いた野菜を当たり前に食べている自分は、せめて感謝の気持ちを忘れず食事をしようと思いました。
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面白かった! お肉がつくられる過程ってこんな手順なんだ、と知れて満足。「印刷に恋して」と同様、イラストもわかりやすい。世界の諸地域によってやり方違ったりするんだなー。 はしばしににじみ出る著者の自意識(日本人だけど嫌悪感ない、気持ち悪くもない、私ヘンでしょ?!(ちょい自慢)みた...
面白かった! お肉がつくられる過程ってこんな手順なんだ、と知れて満足。「印刷に恋して」と同様、イラストもわかりやすい。世界の諸地域によってやり方違ったりするんだなー。 はしばしににじみ出る著者の自意識(日本人だけど嫌悪感ない、気持ち悪くもない、私ヘンでしょ?!(ちょい自慢)みたいな)はちょっと気になったけど…。今の食育やトレーサビリティの時代、そんなに嫌悪感を抱くか? 日本は特殊事情があるとはいえ。 まあそれは置いといても、情報たっぷりでよかった。もっと他の国も知りたいなー。
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