いっぺんさん の商品レビュー
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いっぺんさん いっぺんさん 今は廃村になってしまった山奥の村の祠にお願いをして、白い石を見つけられたらその願いがいっぺんだけかなう。主人公は2つのお願いをいっぺんにしてしまうのだが。。。後味の良いファンタジーです。 コドモノクニ 春夏秋冬のそれぞれの不思議の中で、子供たちが消えていく。こちらは結末がダークファンタジーになっています。 小さなふしぎ 昔、縁日などでみかけた鳥のおみくじ。その鳥が死んでしまった後に起こる小さな不思議。懐かしくてちょっと悲しいお話です。 逆井水 若い女性ばかりの村に誘われた主人公は、その村に伝わる若返りの水のおかげで楽しい2日間を過ごすのだが。。。 民話風な男の夢想かな? 蛇霊憑き 蛇の霊が取り付いた妹の死に関して、姉の一人語りの形式で物語は進んでいきます。最後の一ひねりを楽しんでください。 山から来るもの 残飯を持ち去る不思議な人影。山に住むその人影を見た家族の行く末は? これもダークファンタジーです。 磯幽霊 なくしたイヤリングを磯部で探す女性。その悲しい物語。ちょっと月並みな感じです。 八十八姫 人柱となった幼なじみの追想。”私に会いたくなったら山に来てね、姿形が変わってしまっているからすぐには私だってわからないかもしれないけど。” さて、どんな彼女を山で見つけることができるのでしょうか? 全体的に、民話をアレンジした感じの短編です。朱川さんの短編は、ダークファンタジーよりもノスタルジックなゆるいファンタジーが好きです。「いっぺんさん」と「小さなふしぎ」が良いです。 竹蔵
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ノスタルジックホラーなんて分類を初めて知りましたが、ぴったりだなと思いました。 どこか懐かしく、切ない話の数々。そんな中に、ゾクっとする話が紛れているのが、ミソだなと思いました。
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『花まんま』に続けて読みました。 比較になってしまいますが、『いっぺんさん』のほうが後味の悪い話が多くて個人的には好みでした。この作者は文章が丁寧で読みやすい。 笑うところではないけど、文章にユーモアがあるのが好印象。 『小さなふしぎ』の「…それなのに国からの手当は、それこそ雀の...
『花まんま』に続けて読みました。 比較になってしまいますが、『いっぺんさん』のほうが後味の悪い話が多くて個人的には好みでした。この作者は文章が丁寧で読みやすい。 笑うところではないけど、文章にユーモアがあるのが好印象。 『小さなふしぎ』の「…それなのに国からの手当は、それこそ雀の涙だ」とか、 『逆井水』の「よくある都市伝説(舞台は田舎だが)」とかその辺が非常に好きです。 話として特に好きなのは『磯幽霊』と『八十八姫』。八十八姫は究極に切ない。 「磯幽霊」とその後日譚「磯幽霊・それから」が文庫版に収録されているそうなので、そちらも読んでみたいと思います。
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短編。 『いっぺんさん』いちどだけ願いがかなうという石を探しに行く子ども 『コドモノクニ』居場所のない子供が消えてゆく、今もこのようなことが起こっているのかと想像すると怖い 『ちゅんすけ』小鳥のおみくじ 『八十八姫』生き神様? 『山からくるもの』その姿を見たら不吉なことが・・ 他...
短編。 『いっぺんさん』いちどだけ願いがかなうという石を探しに行く子ども 『コドモノクニ』居場所のない子供が消えてゆく、今もこのようなことが起こっているのかと想像すると怖い 『ちゅんすけ』小鳥のおみくじ 『八十八姫』生き神様? 『山からくるもの』その姿を見たら不吉なことが・・ 他に不思議な水や、蛇憑き、磯の探し物をする幽霊のお話など等。
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不思議な話が詰まった短編集。表題のいっぺんさんは、ほのぼのとしていて、最後は切なくて良かったが、それ以外はこれといって面白くなかったので、最後まで読み切らずにやめてしまった。
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図書館にて。 表題作が一番、心に響いた。 いっぺんさん、何だか太っ腹で、素敵な神様だなと、心が温かくなりました。 きっと、神様が一番強い力を発揮するのは、自分のための願いではなくて、誰かのために、心からの願いや祈りを捧げる人の声を聞く時なのかもしれないなと思った。 改めて...
図書館にて。 表題作が一番、心に響いた。 いっぺんさん、何だか太っ腹で、素敵な神様だなと、心が温かくなりました。 きっと、神様が一番強い力を発揮するのは、自分のための願いではなくて、誰かのために、心からの願いや祈りを捧げる人の声を聞く時なのかもしれないなと思った。 改めて、その人の幸せを祈ろうと思うような存在がいるって、素敵なことだよなと感じた。 そして、身近な人達の見えない祈りに支えられて、生きている人間は沢山いるんだろうなと思った小説でした。
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読み切りが上手い人だなぁ。作者。 いっぺんさんが一番穏やかに読めた。いい人すぎて切ないなぁ。神様も彼を救おうと「病院いけ」と言ったんだろうな。
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人生で一度だけ願いを叶えてくれる『いっぺんさん』という神様に、二人の少年がお願いに行く、というストーリー。 これが…もう涙なくては読めない話で…!! 何を願ったのか、などなどは話の重要な伏線になるので伏せますが…二人の少年の純真さと世界の残酷さ、そして『いっぺんさん』の粋な計らい...
人生で一度だけ願いを叶えてくれる『いっぺんさん』という神様に、二人の少年がお願いに行く、というストーリー。 これが…もう涙なくては読めない話で…!! 何を願ったのか、などなどは話の重要な伏線になるので伏せますが…二人の少年の純真さと世界の残酷さ、そして『いっぺんさん』の粋な計らいに心を揺さぶられました。 他収録作品も、どれもノスタルジックで面白い。短編としてのまとまりが最高に良いです。 最後の『八十八姫』という話も、悲しいながらも爽やかなラストで… 読み終わった後に泣き出したくなる様な、切ない気持ちになりました。
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8編の短編集。 冒頭の表題作がじんわりと温かさと切なさを残す素敵な作品だったので、そのままの感じで行くのかと思いきや、結構ダークでした。 特に『コドモノクニ』と『山から来るもの』の救いの無さには、後味の悪さを感じつつも巧いなーと。 居場所を無くしてしまった子供達の心に容赦無く絶望を突きつける様は、読んでいて胸が苦しくなる。 作中で出てくる"小鳥のおみくじ"ですが、私は見たことが無いのでYoutubeで見てみました。 可愛らしいですね。 チュンスケのいじらしく健気な様子と重なるものがありました。
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ノスタルジックホラー短編集八編。表題作《いっぺんさん》祖母から聞いた過疎の村にあるいっぺんしか願いを叶えない神様を探す少年とその友人しーちゃんの奇跡を描く。二人が何を願ったかが主題の感動作。《コドモノクニ》四季をバックにしたぞくっとする四つの恐怖、読後感は良くない。《小さなふしぎ》鳥のおみくじの手伝いをする少年と鳥使いの老人、ヤマガラのチュンスケとの交流を描く。以降童話のような語り口で、救いのないホラー作品が続き挫折に近い形で読了。「いっぺんさん」がよい作品なので、それを長編として読みたかった。
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