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いっぺんさん の商品レビュー

3.8

47件のお客様レビュー

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    7

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2011/04/11

恒川光太郎さんの作品のような雰囲気かと思ったけど口調が柔らかめのせいか、またちょっと違う感じ。 「外したかなー;」と思ったけど、後半になるにつれて自分好みの作品に出会えた気がします。 ※この本は後半がホラー、前半はほのぼのいった雰囲気。 『山からくるもの』『八十八姫』…物哀しく...

恒川光太郎さんの作品のような雰囲気かと思ったけど口調が柔らかめのせいか、またちょっと違う感じ。 「外したかなー;」と思ったけど、後半になるにつれて自分好みの作品に出会えた気がします。 ※この本は後半がホラー、前半はほのぼのいった雰囲気。 『山からくるもの』『八十八姫』…物哀しく切ない、ホラー寄りの物語。 後半に関しては★4に匹敵するゾクゾク感と面白さ。

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2011/03/08

個人的な話になる。 私が「朱川湊人」という作家と出会ったのは、一昨年のことである。 友人に彼の作品を薦められたのが始まりなのだが、 もともと、この手の作品は私の好きな類のものである。 しかし私が彼の作品に魅入られたのはそれだけではない。 ホラーというジャンルを飛び越えるほどの 無...

個人的な話になる。 私が「朱川湊人」という作家と出会ったのは、一昨年のことである。 友人に彼の作品を薦められたのが始まりなのだが、 もともと、この手の作品は私の好きな類のものである。 しかし私が彼の作品に魅入られたのはそれだけではない。 ホラーというジャンルを飛び越えるほどの 無常観、そして小説の舞台である昭和30~40年代の懐かしさである。  さぁ、本作品。「いっぺんさん」の話に戻ろう。 今回の作品は、彼の特徴である懐かしさというものよりも無常感が先行されていたように感じた。 異質だったのは、コドモノクニ・蛇霊憑き・小さなふしぎの3作品だ。 彼の作品は、デビュー作、フクロウ男が例であるように、作品中の謎を終わりに近づいていくにつれ徐徐に明かしていき、最後の数行で予想もつかないような重大な謎が明かされていく。というトリックが仕掛けられているものが多い印象が有る。(もちろんすべてではないが。) けれど、この3作は違かった。 最後までトリックが明かされているはずであるのに、断言をしない。 つまり読者側としても、事の顛末ははっきりとしているのに、それが事実なのかどうか、わからないのである。実に悔しいものだ。 しかし、こう考えるのはどうであるのだろうか。 世の中には触れてはいけない事がある。たとえそれがどんなに近しい人間であっても。 そう考えると、私は本作品を深く理解する事ができたような気がした。  本作品の多くの話は、誰からも必要とされない1人になること。そして、近しい人間が消えてしまうものだ。 大人も子供も、他人が考えている以上に人を想い、世を憂い、自己の必要性を求めているのだ。 そういった、感情や無力感をきめ細かく情景として彼は描いていた。 つまり彼は初期の作品のようなトリックにこだわらずともここまでのものを描いているのだ。こうなったら、口の出しようも無い。  最後に、本作品は1回ではなく2回、3回と繰り返し読めば読むほど 違う味が出るものであると思う。食べ物で言うと、スルメのようなものだ。 私は本作を人に薦めるときにこういうだろう。「2回以上読んでほしい」と。 斯く言う私も現在2週目に入っている。

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2011/08/27

今まで読んだ朱川作品の中でもホラー色強めな短編集でした。 特に「蛇霊憑き」「山から来るもの」はすごく怖かった。 「蛇霊憑き」はとにかく蛇に取り憑かれた妹の描写が怖い!! 「山から来るもの」はラストで豹変する祖母に背筋が凍りました。 「いっぺんさん」「八十八姫」はじんわり沁みるお話...

今まで読んだ朱川作品の中でもホラー色強めな短編集でした。 特に「蛇霊憑き」「山から来るもの」はすごく怖かった。 「蛇霊憑き」はとにかく蛇に取り憑かれた妹の描写が怖い!! 「山から来るもの」はラストで豹変する祖母に背筋が凍りました。 「いっぺんさん」「八十八姫」はじんわり沁みるお話。 特に「八十八姫」は読み終わって本を閉じたあと余韻に浸ってしまいました。

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2010/10/14

どんな願いも、一回だけ絶対に叶えてくれる神様へのお願い。前歯がきれいに半分折れた白バイ警官の顔を見たとき、ふいに思い出した幼馴染の小さな願いとは・・・「いっぺんさん」 ソシテ子ドモタチハ、ダレモ、モウ二度ト戻ッテハ来マセンデシタ。おそろしい現代の<むかしばなし>・・・「コドモ...

どんな願いも、一回だけ絶対に叶えてくれる神様へのお願い。前歯がきれいに半分折れた白バイ警官の顔を見たとき、ふいに思い出した幼馴染の小さな願いとは・・・「いっぺんさん」 ソシテ子ドモタチハ、ダレモ、モウ二度ト戻ッテハ来マセンデシタ。おそろしい現代の<むかしばなし>・・・「コドモノクニ」 小鳥のおみくじ屋のおじさんとチュンスケ、二人の絆が見せてくれた、小さな悲しい不思議・・・「小さなふしぎ」 見かけは7歳の男の子が語る、おぞましい体験談・・・「逆井水」 妹の死の真相を知るため、刑事に語り出した姉。話は意外な方向に進んでゆき・・・「蛇霊憑き」 母に恋人ができ、疎外感から田舎の祖母の家に行ったクリスマス。そこで阿佐美が見たものは・・・「山から来るもの」 叔母の見舞いに訪れた北陸の海で出会った、イヤリングを探す女。彼女の正体は・・・「磯幽霊」 今なお残る、村の奇妙な風習。そのせいで僕は君を失うのか・・・「八十八姫」 ブラックなんだけど、それだけじゃない、不思議な朱川さんワールド8編です。

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2010/10/03

ラストの話はちょっとしんみりしてしまった。実際あっても不思議じゃない感じが良かった。 最初のいっぺんさんもなかなかでした。ただこっちは神様よりもただの御伽噺信仰の偶然のような・・・

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2010/08/14

そして,だれも帰ってこなかった~「いっぺんさん」:友達は白バイのお巡りさんになりたいと山奥の神社まで行って石を拾ってきたが,間も亡くなってしまった。僕は石を取り出して友達の病気が治るように念じたのに・・・,弟が病気になり,石に必死で願うと先導してくれる白バイが現れたのだが,それは...

そして,だれも帰ってこなかった~「いっぺんさん」:友達は白バイのお巡りさんになりたいと山奥の神社まで行って石を拾ってきたが,間も亡くなってしまった。僕は石を取り出して友達の病気が治るように念じたのに・・・,弟が病気になり,石に必死で願うと先導してくれる白バイが現れたのだが,それは亡くなった友達に違いない。「八十八姫」:幼馴染みの唯一の同級生は女の子で,11のある日,僕が流れてきた櫛を拾って渡すと,覚悟を決めたハスミは次の八十八姫となった~過疎の村,振り返られなくなった祭りと風習。「コドモノクニ」は更に短い。「ちいさなふしぎ」(思い出せない)「逆井水」:女しかいない村の若返りの井戸(これは辻褄が合っていて良い)「蛇霊憑」(妹は白血病を克服したが,子供の産めない体になり,男漁りを始め,姉である私の亭主まで誘惑して)「山から来るもの」(風だったか?)「磯幽霊」(叔母を見舞いに行って暇で海岸に降りていくと女の幽霊が海へ引きずり込もうとし,妙な関係者から謝罪を受ける)

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2010/06/26

何処か「遠野物語」を彷彿とさせる、田舎で出会った8つの不思議なお話。 田舎で生まれ育った私にとっては、感情移入し易い作品だった。 舞台が現代のもの、ひと昔前のもの、ほんわかするものから、ぞっとさせるものまで色取り取りの内容である。 興味深かったのは、S・キングの「恐怖の四季」を想...

何処か「遠野物語」を彷彿とさせる、田舎で出会った8つの不思議なお話。 田舎で生まれ育った私にとっては、感情移入し易い作品だった。 舞台が現代のもの、ひと昔前のもの、ほんわかするものから、ぞっとさせるものまで色取り取りの内容である。 興味深かったのは、S・キングの「恐怖の四季」を想わせる「コドモノクニ」の形式と、水木センセイを想起させる人物が登場する「小さなふしぎ」、楳図作品へのオマージュと思われる「蛇霊憑き」。 失われゆく日本の原風景に想いを馳せつつ、過ぎ去りし過去と、著者に影響を与えた作家や作品に敬意を払う-そんな感じでしょうか?あくまでも、勝手な推測ですが、そう受け止めて楽しみました。

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2013/05/12

短編集。それぞれの話で怖さが違って、楽しめた。読んでいて幼少期にあった気味悪い場所を思い出してしまった。

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2010/06/07

巻頭の表題作はさすがにうまいなぁ、と唸らされた。これくらいの長さの短編が朱川氏には一番向いているのかも知れない(と勝手に思う)。しかしそのあとに続く話は……いややっぱりうまいにはうまいのだけど氏としては次点レベルというか。でも「山からくるもの」のラストシーンで豹変する婆さんのゾク...

巻頭の表題作はさすがにうまいなぁ、と唸らされた。これくらいの長さの短編が朱川氏には一番向いているのかも知れない(と勝手に思う)。しかしそのあとに続く話は……いややっぱりうまいにはうまいのだけど氏としては次点レベルというか。でも「山からくるもの」のラストシーンで豹変する婆さんのゾクッとするような台詞などはやはり、人間心理の暗部を抉る氏の面目躍如たる凄みがある。ところで最後の「八十八姫」は少女コミックから深夜アニメ化された「地獄少女」の設定にそっくりなんですけど……気のせいですか、そうですか。

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2010/01/14

ほんわかしたりぞくっとしたり、どちらかといえばホラー寄りの短編集。 表題作「いっぺんさん」にはやられました。「いっぺんさん」の意味にもやられたけど。このストーリー、「昨日公園」に並びますよ。悲しくて切なくて、でもラスト(特にラスト一行!)には温かいものがしっかり残ります。友情って...

ほんわかしたりぞくっとしたり、どちらかといえばホラー寄りの短編集。 表題作「いっぺんさん」にはやられました。「いっぺんさん」の意味にもやられたけど。このストーリー、「昨日公園」に並びますよ。悲しくて切なくて、でもラスト(特にラスト一行!)には温かいものがしっかり残ります。友情っていいなあ。 一方で「コドモノクニ」「山から来るもの」もお気に入り。こっちはひたすら不気味で怖い路線です。特に「山から来るもの」のラストはあまりに痛かった……得体の知れないものよりも、この言葉の方が数段怖いです。

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