1,800円以上の注文で送料無料

会社は頭から腐る の商品レビュー

4.1

62件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

    15

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/12/24

『挫折力』が面白かったので、遡って読んでみた。 その昔、毎日のようにニュースで見た産業再生機構の4年間のドラマはすごく刺激になった。 P132 重要なことは、カネボウの意思決定者が、合理的な意思決定を下せるように、プラットフォームをすっきりしてあげることなのだ。 P146 経...

『挫折力』が面白かったので、遡って読んでみた。 その昔、毎日のようにニュースで見た産業再生機構の4年間のドラマはすごく刺激になった。 P132 重要なことは、カネボウの意思決定者が、合理的な意思決定を下せるように、プラットフォームをすっきりしてあげることなのだ。 P146 経営というのは、基本的に自由裁量行為である。違法行為や反社会的行為は論外だが、何をするのかは経営に委ねられる。執行と監督を分離した取締役会なら、ビジネスジャッジメントの範囲である限り、そこで口出しはするべきではない。 P152 (株主主権に関する記述) マルクスではないが、生産手段、付加価値の源泉は、再び「働き手」、人的資本の側に戻ってきたのである。そんな彼らにとって、納得感のない統治権など、現実には機能しない。観光客に選挙権を与えるような仕組みがあるなら、そこに住む住民は、たまったものではないだろう。

Posted byブクログ

2020/02/24

確かにこの著者は経験・実績もあり、言ってることも筋が通っている。 経営者をやるからにはそれなりの覚悟を持ち、私利私欲だけではなく、社会のために・・・ということだが、なにかしっくり腑に落ちないところもあった。 だが、ところどころ良いことも書いてある。 P118 ・人間は安心したい...

確かにこの著者は経験・実績もあり、言ってることも筋が通っている。 経営者をやるからにはそれなりの覚悟を持ち、私利私欲だけではなく、社会のために・・・ということだが、なにかしっくり腑に落ちないところもあった。 だが、ところどころ良いことも書いてある。 P118 ・人間は安心したい生き物 ・人間は、自分が見たい現実しか見ない生き物 ・企業の再生は言い訳との戦い

Posted byブクログ

2020/02/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

冨山氏の名著 経営、人間ドラマのリアルが描かれており素晴らしい。 自身も出向経験があるだけに共感できる部分なども一部あった。 メモ ・ほとんどの人間は土壇場では各人自身の動機付けの構造と性格に正直にしか行動できないという現実。 ・腹落ちするコミュニケーションの重要性 ・余計なことを考えず、ひたすら何をやらなければならないのかを整理する。合理的に必要最低限の人間と的確な能力と動機付けを持つ人間を揃え、しかるべき役割ときて権能を名実ともに与えて、マネジメントできれば本部機能は少人数ですむ。 ・一人の人間も集団としての組織も、インセンティブと性格の奴隷である。 ・私たちの判断や行動は情理に支配されている。 ・いかに組織の人間を組織目的、戦略目的に整合する方向で勇気つけ、動機づけるか。 ・市場や競争状況は頻繁に変わるが基本的な経済構造は実はあまり変わらない。 ・将来に向けた戦略は予測できない状況変化の察知能力、適応力、戦力の柔軟性。みたい現実でなく、ありのままの現実をみられるか。 ・戦略的自由度を大きく変える意思決定が重要となる。店舗を出店するかどうかなど。 ・情理は日常の小さなところから、実践していくしかない。 ・ガバナンスとは究極的には人間に対するリアルな影響力。自らをリスクに晒さなければその統治力は現実の影響力にはならない。 ・一部のエリートが計画的にものを考えよりも、それぞれが自由に考え、自由にお金と人が結びついた方が効率的。社会主義と資本主義経済で実証されている話。 ・リーダーに必要なのは人間性✖️能力=人間力。そのベースにあるのは一人一人の市井に生きる人々の切ない動機づけや喜怒哀楽というものが理解できるか。 ・

Posted byブクログ

2019/08/15

”産業再生機構COOとして企業再生に関わってきた冨山和彦さんが「現場を活かすために、真の経営人材を鍛えあげるべき!」と提言した一冊。エピローグに込められた強い想いに共鳴した。同時に、リーダーやマネジメントへの厳しい要求にも背筋が伸びる想いがした。 冨山さんは、2007年4月に株...

”産業再生機構COOとして企業再生に関わってきた冨山和彦さんが「現場を活かすために、真の経営人材を鍛えあげるべき!」と提言した一冊。エピローグに込められた強い想いに共鳴した。同時に、リーダーやマネジメントへの厳しい要求にも背筋が伸びる想いがした。 冨山さんは、2007年4月に株式会社経営共創基盤(Industrial Growth Platform, Inc. (IGPI))を設立。社名に込めた想いは“より良い「経営」と「経営人材」をみなさまとともに創り出していくことを通じて、経済の持続的な成長を実現していくためのプラットフォームの一つとなる”。 <読書メモ> ・組織は、人はなぜ動くのか。そもそも会社とは、企業とは何なのか。経営の基本原理とは。そしてなぜ会社は、人は、基本原則を踏み外すのか。これからの経営者に本当に求められる資質とは。(p.v) ・そこで私自身が今の時点で「考えている」重要な視点は何かというと、それは人間の弱さへの着眼である。(p.4) ・小ざかしい組織論やスキル論などよりも、人間集団を正しく動機づけることのほうが、いかに大きなインパクトを持つかを思い知らされた。そして企業組織の強さの根源が、よくわかった。それは、動機づけられた現場人材たちが、こまごまとした職務規定や指示命令なしに、自発的な創意工夫や相互補完で臨機応変に目的を達成していく力にある。(p.15) ・制度的なものだけでは個々人の個別性や状況の変化に対応することには、必ず限界がある。人間は一様ではない。人の気持ちも事業状況も一定ではない。現実は同期状態を常に狂わすように働く。そこにインフォーマルな働きかけ、非制度的な動機づけの重要性が生まれてくる。(p.31) ・このPDCAを回すというのは一見簡単に見えるかもしれないが、人間の本性と違うものを要求されているのだ。基本的に人間は弱いもので、見たい現実しか見たくない生き物なのである。(p.50) ★マネジメントやリーダーは、自分の仕事の責任の重さ、それも真の重さを認識しておかなければならない。なぜなら、それは他人の人生に影響を与えてしまう仕事だからである。部下が10人いたら、10の人生に責任を持たなければいけない。100人なら、100の人生がある。こういう役割は、誰でもできるような仕事ではないし、誰もがなれるような立場でもない。相当な覚悟、意志、鍛錬がなければ、立ってはいけない立場である。人の人生を背負おうという決心・覚悟のない人は、マネジメントをやらないほうがいい。  (略)  こういったものを背負いながら、リーダーは、情と理、人間的要素と算数的要素の中で、のたうち回っていくことになる。半永久的に矛盾がある構造の中で、苦しみ、もがきながら、自分の柱をつくっていくのだ。そうして「観」は出来上がる。人生観であり、価値観であり、世界観である。(p.213)  #くぅ、ここは胸に響いた。 ・最大の救いは、日本の現場を支えている人々の力、モラールは何とか世界のトップレベルを維持しているということです。(略)だから会社も日本も再生が可能なのです。「会社は頭から腐り、現場から再生する」のです。(p.219:エピローグ)  #冨山さんが言いたかったのは「現場から再生する」の方なんだろうな。 ★リーダー層の脆弱化が国の宝である現場人材を食いつぶす前に、私たちはしっかりしたリーダー、真の経営人材を真剣勝負の修羅場で鍛え、つくり直さなければならない。能力的な要素はもちろん、いやそれ以上に人間的な意味でしっかりとした信念の背骨を持ったタフなリーダーたちを、一人でもたくさんつくる努力、もちろん自分たち自身も少しでもそれに近づく真剣な努力を、ただちに始めようではありませんか。(p.219-220:エピローグ) ★経営において最終的に最も大事なものは、マネジメントする人の志です。経営の仕事は、社会や他人の人生に大きな影響を与えます。経営の単位が企業であれ、国家であれ、使命のために体を張る覚悟がなければ、引き受けるべきではありません。リーダーとは、そういう存在です。「後世への最大遺物は、勇ましい高尚なる生涯である」という内村鑑三の言葉を、私は最も愛しています。(p.222:エピローグ) <きっかけ>  社内読書会 5月の課題本。社長からのオススメ。”

Posted byブクログ

2018/12/09

・性悪説でも性善説でもなく性弱説で見ると見えてくる ・相互安全保障を目的とした会議や根回しの業務量は人と人の組み合わせの数に応じて増えていく ・組織のハコをいじっても、成果主義を導入しても、それらが現実に仕事をする人間の根源的な動機付けに響き、シンクロしていないならば絶対に機能し...

・性悪説でも性善説でもなく性弱説で見ると見えてくる ・相互安全保障を目的とした会議や根回しの業務量は人と人の組み合わせの数に応じて増えていく ・組織のハコをいじっても、成果主義を導入しても、それらが現実に仕事をする人間の根源的な動機付けに響き、シンクロしていないならば絶対に機能しない。 ・戦略が仮説にすぎないことを本質的に理解し、やってみて、検証することに精力を注いでいる会社こそ、経営戦略が実践されていると言える。 ・79 四つたして4で割る ・管理職の地位で付加価値を生むには相当の能力が必要 ・ストレス社会というが硫黄島決戦に投入された兵隊たちを超えるストレスが現代に存在するだろうか。 ・クビになることを厭わないような人間を育てる。周りに上司が誰もおらず、自分が決めなければいけない状況に追い込む。 ・人間のインセンティブの中には非経済的なものがたくさんある。過去からの思いやメンツ、自分の得意なことをしたい、新しいことはやりたくない、といった気持ちが次々に折り重なって人は仕事に向かう ・観の目つよく、見の目よわく 宮本武蔵

Posted byブクログ

2018/11/25

2018年(平成30年)11月、カルロス・ゴーン逮捕により、永らく読みかけのまま本棚に積んであった本書の存在を思い返し、最初から読み直した。 企業再生を生業とした著者の実体験を元に、経営を行う人々の劣化について警鐘を鳴らした書である。 読み進める中、著者は現在のゴーンの姿を想...

2018年(平成30年)11月、カルロス・ゴーン逮捕により、永らく読みかけのまま本棚に積んであった本書の存在を思い返し、最初から読み直した。 企業再生を生業とした著者の実体験を元に、経営を行う人々の劣化について警鐘を鳴らした書である。 読み進める中、著者は現在のゴーンの姿を想像していたのだろうか、何を感じ、未来に向けて更にどんな警鐘を鳴らす必要があるのだろうか、あるいは現在の社会を俯瞰して、本書から何を削り、何を書き加える必要があるのだろうか、ふと疑問に感じた。 警鐘を鳴らしていたのに、カルロス・ゴーンは、結局、瀕死の企業をV字回復させた経営者であるのと同時に、インセンティブの奴隷でもあった。 残念なことに、製造業の製品品質に関わる社会的な問題が顕在化している。 しかし、品質は、製品を評価するモノサシのみにあらず、経営を評価するツールとしても利用されなければならない。 「経営品質」という言葉があったな… と、「品質月間」である11月に、読了し感じた事である。

Posted byブクログ

2018/10/23

 著者は、産業再生機構の元COO。この組織の運営を引き受け、倒産した起業の経営及び再生に従事してきた。この経験からの提言だけに非常に迫力があり、最近メディアで人気になっている経済アナリストや、経済学者、元大臣だった作家などとは、まったく重みが違う。 特に、「ゲマインシャフト(地縁...

 著者は、産業再生機構の元COO。この組織の運営を引き受け、倒産した起業の経営及び再生に従事してきた。この経験からの提言だけに非常に迫力があり、最近メディアで人気になっている経済アナリストや、経済学者、元大臣だった作家などとは、まったく重みが違う。 特に、「ゲマインシャフト(地縁や血縁で深く結びついた伝統的社会形態。日本的)」と「ゲゼルシャフト(利害関係に基づいて人為的に作られた社会。アメリカに代表される。)」との対比からの日本の進むべき方向や優位性に対する言及は、マネージメントの端くれである自分にとっても非常に重要な示唆であった。この話から思い出すのは、「民族は、それを偉大にした特性により滅びる」との塩野七生の言葉である。確かに今の日本企業、特に大企業は、「和(悪く言えば、シガラミ)」によってがんじがらめ。残念ながら、我が社もその例に漏れず、日々社内調整に莫大な時間が浪費される。このような悩みをお持ちのビジネスマン諸氏よ、この本を読み、あなたの組織を変えよう。

Posted byブクログ

2018/10/09

産業再生機構でCOOを務めた冨山和彦氏が日本企業の競争力低下の原因となる構造的問題を語っている。書中何度も引用される、ゲマインシャフト=共同対社会、ゲゼルシャフト=利益追求社会というくくりは正直わかりにくい。当然、前者が日本、後者が欧米ということであるが、ドイツ語で聞き慣れない概...

産業再生機構でCOOを務めた冨山和彦氏が日本企業の競争力低下の原因となる構造的問題を語っている。書中何度も引用される、ゲマインシャフト=共同対社会、ゲゼルシャフト=利益追求社会というくくりは正直わかりにくい。当然、前者が日本、後者が欧米ということであるが、ドイツ語で聞き慣れない概念なので、簡単なことがむしろわかりにくくなっている嫌いがある。説明がわかりやすいだけに勿体ない。 本書では、日本のこれまでの競争力の厳選は、経営トップやそれを構成する一部の高学歴エリートではなく、現場の人たちの底力にあるとしている。カネボウやダイエーなどの再生の実例を通じて、日本の不振企業の問題の本質をえぐり出しているのは面白い。冨山氏が就任した時点での年齢は44際だったという。そして、カネボウで社長として抜擢した当時課長クラスの知識賢司氏は41歳であった。冨山氏は、もし将来リーダーを目指すのであればその準備をしておくべきだと述べている。人事は、関係者に対する経営戦略の最大のメッセージであるというが、当時のカネボウの関係者たちは驚いただろう。しかし、冨山氏は知識氏にはすでにその重責を担うだけの準備ができていたのがすぐに分かったという。

Posted byブクログ

2017/03/04

現場で闘ってきた人の重みがある。内容をしっかりと腹に落とし込めることができれば…と思うが、まさにインセンティブのしがらみが頭をよぎる。

Posted byブクログ

2016/07/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

筆者は、ボストンコンサルティングや産業再生機構で豊富な実務経験をお持ちの冨山和彦氏。著者自身、本書の中で「経営と事業のリアルな本質を語れるものは企業価値や資本政策を語るべからず」と述べられており、実際の現場経験をベースに書き綴っている内容にとても説得力を感じます。 組織を動かしていく上で、筆者が重視する視点の一つとして、「人間の弱さ」が挙げられている。人間は物事を認識する際、「見たい現実を見る」生き物とのこと。「性弱説」に立って人間を理解すれば、社会、組織の多くの現象が理解可能になる。そして、そのような現実にこそ、経営や組織がとんでもない過ちや腐敗を起こす根源があると述べています。 「現場にいる人たちのパワー」の重要性にも触れています。「経営とはとにかく人である」と言い切っておられます。細々した職務規定や指示命令なしに、自発的に働く現場人材の存在が求められる。そのため、小賢しい組織論やスキル論なんかよりも、人間集団に対する動機づけが必要とのこと。この部分が、リーダーシップの一つのポイントなのでしょう。筆者も、産業再生機構のご自身の経験を引用し、「合理」だけでなく、「情理」も踏まえたマネジメントの重要性を指摘しています。 官僚機構の問題点を指摘した部分では、「相互安全保障」を目的とした会議や根回しの業務量は人と人との組み合わせの数に応じて増えていくこと、スタッフ部門が超多忙な状況では、管理職や中高年オジサンの頭数は思い切って減らした方が業務遂行能力も意思決定のスピードと的確性も向上するなどと書かれています。思い切った意見ですが、現在社会のパラドックスの一面かもしれません。 私が個人的に注目した部分に、チームのメンバーの役割に関する記述がありました。筆者は産業再生機構で行っていた「再生の仕事」は「戦時」であると述べています。そして、極度の緊張感がある環境下で、他の職員に業務にも理解を求め、自分の専門外とする態度を認めないようにしたといいます。なぜそのように決めたかというと、仕事が佳境に入るほど専門家はプロであろうとし、チーム内に衝突を生むためだそうです。ただ、それぞれの専門家は壁を破るべく、猛烈な勉強をする必要があります。 私たちは組織の中で働きながら、社会を考えています。筆者は、自己益(=一人ひとりの動機づけ)、組織益(=企業組織として動機づけられている方向性)、社会益(=社会全体の有する動機づけ)がシンクロすることが重要であると述べています。「経営者は飲み屋での話題が昔の自慢話になったら引き際かもしれない。ゴールのない経営に自慢や答えがあるはずがないのだから」と書かれています。経営は本質的に絶え間ない努力が不可欠であり、そのためのリーダーシップが求められているのではないかと考えらさせられます。 本書の後半はリーダー論ですが、とても興味深く有意義な学びの時間を得ることができました。また、いつか、自分の立場が変わってから読み直してみたいと思う一冊です。

Posted byブクログ